古着回収 | ミラノの日常 第2弾

ミラノの日常 第2弾

イタリアに住んで32年。 毎日アンテナびんびん!ミラノの日常生活をお届けする気ままなコラム。

ミラノのあちこちに黄色の大きいCasonetti  (カソネッティ)と呼ばれるボックスがある。
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これはカリタス•アンブロジアーノがオーガナイズしている古着や古靴の回収をする箱で,定期的にとりにやって来る。

ところで,カリタスとはヴァチカンに本部を置く国際NGO組織だが,加盟国は世界162カ国でもちろん日本にもカリタスジャパンがあり,社会福祉活動の推進と国内外の災害援助,開発援助を行なっている。

カリタス•アンブロジアーノとは,ミラノにあるカリタスだが,ミラノ司教区はイタリアの中では一番大きな司教区であり,その分貧しく困った人たち,ホームレス達の数も多く,彼らへのサポートなどにも献身的。この古着回収サービスは98年から行なわれている。大抵,教会の敷地内に設置されているが,基本的には洗った奇麗なものをいれることが前提。一度回収された古着類は,再び選別され,各小教区当てに分けられ,必要な方々に配られるという。

よくニュースになるのが,ロム(ジプシーのことだが,現在は差別用語らしい)の子供達が,カソネッティの中の古着を盗もうとして,中に落ち,出られなくなって死亡するという事件。私も数人組がカソネッティをあさっているのは,何度も見たことがあるが,注意しよう物なら何をされるかわからない。目が合っただけで威嚇され,つばをかけられたり,棒やら生卵をもっていたのを見たこともある。

 こちらは,近所にあるカソネッティ。朝の9時。前夜か早朝にあさられた後だろう。その午後から大雨になりどうなったのかと気になっていたが,友人によると雨が降っていたものの数日以内には奇麗になっていたという。それにしてもひどい話だ。


古着と言えば,日本ではユニクロが自社製品に限るが,古着回収ボックスを店内においているのは,知っていた。そうしたらH&Mでもやっていた。古着持ち込み一袋ごとに500円のクーポンが手渡されるとのこと。一日につき2袋まで。そして次回買い物で,3000円以上の買い物でも500円の割引が可能とのこと。調べてみたら,H&Mは世界中にあるのでイタリアでももちろんそのサービスがされていた。

クーポンは5ユーロ分。40ユーロ以上の買い物に割引可能。H&Mの商品でなくてもクーポンはもらえないが,回収してくれる。また,古着としてつかえる物は別の衣料店などに売ったり,逆につかえない物は,自動車の断熱材などにリサイクルとして別の会社に売るそうだ。そして古着1キロに対し,イタリアのチャリティーグループ"Save the Children"へ0.02ユーロが寄付されるという。また,昨年は,このH&Mの古着から950万本のペットボトルにリサイクルされたという。

日本だと古着は古着屋さんにもって行っても,お金にはならないし,だからといってゴミに出すよりはまし,といって教会のバザーに洋服をもって行く人もいるようだが,結局残った商品は処分にお金がかかってしまう。物を大切に使うべきだが,その分,持つ量も重要。

毎年,近所の方から古着がどっと回って来る。良いもの,そうでないもの様々である。問題は次男が大柄なので,サイズが微妙な物も多い。ではどこに持って行くか?

夏あたりからサン•シーロ近所の廃校になった小学校にシリア難民が滞在しており,何度も衣服や物資を運んでいるが,倉庫に溜まりにたまっているが,どのように配給されるのだろうと疑問。一度ボランティアも門番も誰もいない時間帯に行ってしまったら,人がどっと集まってきてしまい,「子供のジャケットがほしい」と言われてしまった。私が勝手にあげていいのか?じゃあ他の人に対してはどうなってしまうのか?万が一勝手にしたことで,争いが起きてしまったらどうしよう?これは親切なのか?それとも自己満足なのか?ちょっと気まずい気分になった。

世界で飢餓はなくならない。それでいて美食を好み、残飯も多い飽食時代に生きている。着るものだって同じだろう。

「ご協力ありがとう」カソネッティにそう書かれている。持って行くものは不要なものがほとんどで、豊かさの中からの協力で良いのだろうか?とこれまた思う。でも必要としている人もいるわけで...。

ただカソネッティを荒らすだけ荒らし、いなくなるようなモラルのない人間は別問題。
とはいえ急いでいたからと言って、画像を撮り,過ぎ去った私も同罪か?
どうもモヤモヤ感が残る。



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