ITAMA ～ 乳幼児救命講習

Itamaのスタッフの配偶者の中に，小児科医がおり，以前から救命講習のリクエストをしていたのだが，なかなか実現までに至らなかった。また簡単な救命に関するパンフレットをもらっていても，実際じっくり読むこともなくそのまま置かれていたが，今回はじめてクローチェ•ヴェルデ(緑十字)の講習会に参加することができた。現在19人いるスパツィオビンビのスタッフのうちの16人が2チームに分かれ参加。過去にない高出席率だった。

救急処置はなるべく遭遇したくないことだが、これだけはわからない。緊急時の役割は，とにかくパニックにならず「１１８番（日本は１１９番）に電話し，救急隊が到着するまで，または病院につくまで応急手当をするというもの。知ってて安心の乳幼児救命講習の始まり始まり．．．．

考えてみれば、我が家の3人の子供達の中で、いざ何処かを切って病院に駆け込み縫った、とか救急車に乗ったという経験はない。男の子がいると一度は経験することなのか？と思っていたが今の所はなし。一度だけ長女が3歳だった頃、ベビーサークルに腰掛けていて後ろ向きで落ち頭を打って，夜中に嘔吐することがあった。長男はまだ乳児。夫は既にミラノで開業しており，単身赴任状態で週末に帰宅するのみ。私たちは，ローマの郊外に住んでおり，運転はしないし，頭は真っ白。すぐにお隣に駆け込み，救急病院に連れて行ってもらったが，私自身がパニックに陥ってしまい，イタリア語が出てこない。アタック（MRI)で脳内部の検査をしたが異常なし。それでも一晩泊まって行った方が良いと言われたが，長女は泣いて家に帰りたいといい，何かあればまたすぐに病院に戻ります，と約束し帰宅したのだ。その後，問題がなかったのは不幸中の幸いである。

ところで，託児所のようなところで，救命救急が必要となるとしたら，けいれんやひきつけなどの発作状態などがあるだろうが，多少熱っぽかったりすれば，まずは学校に連れてくることはないだろう。やけど，ガス中毒，感電なども考えにくい。考えられるとしたら，やはり異物を飲んだ，つかえてしまった．．．ということが一番あり得るかもしれない。

モロッコ人のスタッフは，笑いながら，「足をつかんで逆さに吊るして，ボンっと背中をたたけば問題ないでしょ！」と一言。さすが，アラブ人，発想が違う！

まずは，意識がはっきりしているか，呼吸はしているか，脈はあるか，出血はないか．．．チェックポイントを聞く。脈は手首の動脈か頸動脈を人差し指と中指で軽く触れるようにするという。そういうのは，ドラマの見過ぎかすぐにわかる。笑

やはり重要なのは，心臓マッサージ。心臓が止まっていれば，呼吸も必ず止まっている。生後４，５ヶ月の赤ちゃんの大きさの人形を使い，実際心臓マッサージの練習をする。

右手で赤ちゃんの頭の後ろを支え，右足の上に載せ，左手で胸元をつかむようにして，そのままお腹を下側にして，左足の上に載せ返す。そして，右手の手の平の付け根を垂直にあて，５回するようなたたき方で背中を圧迫させる。再び右足の上に赤ちゃんのお腹が上を向くように向きをかけ，今度は左手の人差し指と中指を垂直に当て，５回早く押したり離したりする。この時，自分の指が長さ的に垂直にできないことが判明。「エジプト型だね」と救命隊員のおじさんに言われてみたが，考えてみれば，日本人はエジプト型が７０－８０％なのだ。

また，大人が意識を失ってしまった場合，気道を確保するために，半伏せに寝かせ，窒息を防ぎ気道を開く寝かし方を習う。

「夫が数年前軽い心筋梗塞にあってね．．．」話しだす仲間もいた。やはり昨年末ご主人が家族の前で心筋梗塞にあい，元看護師の友人が心臓マッサージをし，救急隊が車での間になすべきことはすべてしたけれど，助からなかったという友人の話もまだ記憶に新しいだけあって，いつ自分の身にもおこるかわからない，と思うと，頭では，こんな感じであろうとわかっているつもりでも，読書知識くらいでは，役立たないことがよくわかった。

Itama内で起きた場合，他にも何人も人がいるようならば，パニックになりそうな人は，関わってはいけないと言われた。であれば，救急隊を呼ぶ方に回る。その後に母親に連絡する。たしかに，アラブ人の母親に伝えたら，その場で母親の方がパニックで気絶してしまうかもしれない。分娩の際，陣痛に絶えられないアラブ人女性の声を聞いただけで，逆に自分の痛みが吹っ飛んでしまったくらいだった。あの本能の固まりはなんだ？？？

ITAMAでも過去に２度，生徒のアラブ人女性が興奮して気絶してしまったのを目の前で見ている。数秒で回復したが，日射病以外で人が倒れたのを見たのは初めてだった．

いざという時のために．．．でもやっぱり自分がパニックになりそうだから，怖いわ。