今朝、いきなり友人から、今日の午後、我が家の近所で、彼女のご主人が指導するコーラス・グループ(Schola Cantorum Basilica S.Antonio di Padova in Milano)のコンサートがあるので、よかったら行ってみて!とメッセージをいただいた。
彼女のご主人は、ミラノ・スカラ座専属の合唱団の一員。
午前中は、ミサに出かけたものの、夫は出張中。特に予定もないし、「行きます」と返事を出した。
場所は、我が家の前にある病院の一角にあるお御堂。数年前に、創立者であるカルロ・ニョッキが列聖されたのを記念に建て替えられた。普段は自分の教会があるし、そちらは、時間帯によってしまっているので入ったことがなかった。しかも、出来立ての時、次男を連れてお御堂に行こうとしたら、入り口にあるドン・ニョッキ博物館に、ガラスのケースに入った司祭服をまとったドン・ニョッキの遺体が安置されており、ショックを受け、その後怖がり行くこともなくなった。先月あたりまでローマに遺体が巡回?されていたと聞いたが、遺体どころか、骸骨を飾ったり、時に、カトリックのすることはわからない。笑
ところで、ドン・ニョッキ財団の病院や施設は特に足の不自由な方を対象にし、リハビリテーションが充実している。お御堂に行くと、車椅子の方がかなりいらしていた。
ドン・ニョッキは2月28日になくなり、今年で58年目。
財団の施設がいくつかあるが、2月28日の前後1週間に、施設のあちこちで特別ミサや記念式典が行われているようで、今日のコンサートもその一貫だった。
四旬節を直前に、わが子イエス・キリストが磔刑となった際、母マリアが受けた悲しみを思う詩の「Stabat Mater」(スターバト・マーテル)最初の1行、Stabat mater dolorosa,悲しみの聖母は立ちぬ、を省略したStabat Mater(スターバト・マーテル)からきているが、作詞はイタリアの修道士ヤコポーネ・ダ・トーデJacopone da Todiによるとされている、ラテン語の詩。
ヴィヴァルディ、ハイドン、ロッシーニ、ドヴォルザーク、ヴェルディをはじめ多くの有名作曲家が曲をつけているが、今日のコンサートはハイドンのものだった。
編成は弦楽器とオーボエ・イングリッシュホルン、そして4声の独唱および合唱。
友人のご主人はテノール。彼の歌声を聞いたのは、はじめてだったかも。お御堂に響く美しい歌声。歌詞のラテン語とイタリア語訳を追いかけてきくが、何せ、嘆き悲しむ歌詞が1時間以上。時に、どこを歌っているかさえ、わからなく時も。
ある時、ふとぐっと胸をつかれる一節に入った。歌詞を追いかけてみると、こうあった。
>Fac me tecum pie flere,
crucifixo condolere,
donec ego vixero.
あなたと共にまことに涙を流し
十字架の苦しみを感じさせてください、
私の生のある限り
ところで、観客の中には、車椅子に乗った重度の障害の方も数人いらして、保護者やアシスタントと来ていたようだが、時にうなったり、声をあげたりしていた。けれど、ふと気付くと、二人の車椅子の青年が腕を高く手首を回し始めた。まるで指揮でもとっているかのように。
コンサートの前に、病院付きの聖職者が、Concerto spritualeといっていたが、まさに魂が震える、スピリチュアル・コンサート。胸がいっぱいになった。その後にアンコール。ぜひ、エウカリスティア(聖体)をお受けください、と紹介され、あ~っぴんと来た。
昨年、地元2つのパロッキアが行った共同コンサートで歌った、モーツァルトの「アヴェ・ヴェルム・コルプス」だった。これまたラテン語であるが、聖体の秘蹟に対する深い信仰がベースで歌詞になっている。
キリストはおとめマリアから生まれ、自らの教え通り人類の罪を救うために命をすてて身を捧げられた。十字架の受難の道を果たされた。その方に向かって祈るのである。つまり私たちは必ずいつか死を迎える。死に前にして向かえるその試練(私審判)の前に、必ず聖体をいただくことができるようにと切に願っている。それがかなえられれば、私たちはなんと力強いことだと信じるからである。(京都教区司祭 国本静三神父HP『音楽サロン』)抜粋)http://
もう自然に涙がぼろぼろ・・・。
音楽でこんなに感動させられたことは、はじめて。
2度目のアンコールとして、Stabat Materの最終章「Paradisi Gloria」天国の栄光が歌われた。
Quando corpus moriètur,
fac ut ànimae donètur
Paradisi glòria,
ut ànimae donètur,
Amen.
肉体は朽ち果てるとも、魂には天国の栄光をお与えください。
アーメン、アーメン。
余談 その1
後から、友人に感謝のメッセージを入れると、コンサートの後友人のご主人は、そのままスカラ座へ直行。Una sposa per lo Zar)Carskaja Nevesta) ロシア歌劇である「皇帝の花嫁」(リムスキー・コルサコフィ作)初日公演に出演とのことだった。歌い手さんは、のどと体調が命。すごい体力と気力だ・・・と思った。
余談 その2
コンサート中には気付かなかったが、後から祭壇に近づいてみると、祭壇自体が棺のようになっており、外からはガラスのケースに入ったドン・ニョッキが丸見え。やっぱりカトリックのやることってたまにわからないわ・・・笑
http://
http://
http://www.dongnocchi.it/polopoly_fs/1.1595.1392641867!/menu/standard/file/Opuscolo%20santuario.pdf
http://

