晴天に恵まれた穏やかで暖かい日曜日、マニラ大司教・タグレ枢機卿司式のミサにあずかるため、ドウモへ出かけた。
タグレ枢機卿は、昨年のコンクラーヴェの際、パパービレ(教皇選出可能?)な枢機卿の一人と言われていた。1957年生まれ、57歳。まだまだお若い。
ミラノにはカトリックとしては、3つのフィリピン人共同体が存在する。そして、北イタリア在住近隣諸国のフィリピン人も集まるだろうから、どんだけ集まるの?と思っていたが、推定3万人のフィリピン人が集まったとか。
ドウモ広場はすごい人。ドウモに入るため、列が作られていた。列の最後が見つからず、あっちへいったりこっちへ行ったり・・・やっと並んで 進んでいったが、結局入れず、そのまま広場に残って、巨大スクリーンを見ながらミサにあずかることに。

ところで、昨日22日は、「聖ペトロの使徒座」を祝い、パパ様はコンチストーロ(公開枢機卿会議)を開催、この中で19名の新しい枢機卿の任命式が行われた。
ミラノ大司教でおられるスコラ枢機卿は、そのままヴァチカンに残られたご様子で本日のごミサはいらっしゃらなかった。タグレ枢機卿に花をもたせたのか?!ミサはローマ典礼?それともアンブロジアーノ典礼なの?言語は、タガログ語?英語?それともイタリア語・・・?!あれやこれやと考える。
朗読は、タガログ語であったり、たまにイタリア語で読まれることもあったが、聖歌はすべてタガログ語 。司式はイタリア語で進んでいったので、タグレ枢機卿はイタリア語は問題ないのだろう、と思っていたら、説教の部分で、「私はミラノを非常に身近に感じます。学士をとるために、何人かの教皇について研究もしました。でもイタリア語は公式的には勉強していません。たくさん間違います。」とおっしゃるので、それこそヨハネ・パウロ2世のように、「間違えたら訂正してください」とでもおっしゃるのかと思ったら、「なので、タガログ語と英語で話します。ふ~っ」と思わず緊張が解けたのか、大きな吐息をつかれ、会衆は思わず笑ってしまったほど。
タガログ語は、音とリズムが非常に特徴的。そうでなくても、明るく聞こえるのに、タグレ枢機卿は、ユーモア豊かな方なのだろうか ?フィリピン人たちが、何度も笑う。あ~ん、わかんないよ~。浮いた気分。英語に切り替えてくれるが、要約しかなく、笑えるような面白い部分はなし。
「罪の秘蹟」についての話であった。う・・ん、むずかしい。神に対し、隣人に対する人間関係の中に存在する罪。「記念の欠落は、罪である。」「皆、これを取って食べなさい。これはあたながたのために渡される私の体。」「皆、これを受けて飲みなさい。これは私の血の杯、あなたがたと多くの人のために流されて罪のゆるしとなる新しい永遠の契約の血。これを私の記念として行いなさい。」 この部分はイタリア語で言われた。
ところで、年に一度、聖霊降臨祭に在ミラノの1つのフィリピン人共同体に招待され、共にミサに与るが、彼らのミサは、非常に歌がきれい。日本のとも、イタリアの伝統的な音楽ともまた異なる。歌がそのまま祈りになっており、皆が一緒に歌うから、祈りで一致できるのだ。
ミサの終わりに、「タグレ枢機卿がここに集まるフィリピン人の子供たちに直接挨拶をされたいそうです。3歳から10歳までの子供たちは、祭壇まで上がってきて下さい」と案内が入る。同時に、ドウモ広場の子供たちもドドーっと走り出したから驚いた。もちろん、親がついていく人たちがほとんどだったが、子供の数が多すぎない?と思えるほど、すごい数。
「座りなさい!移動者司牧担当責任者の司祭がマイクでどなっているから笑えた。しばらくして、「君たちは多すぎる。もうこれ以上は来ちゃだめ!!後にしましょう。バスタ~!!」とストップが入った。祭壇前の混乱さが目に浮かぶよう。
タグレ枢機卿は子供たちを前に、「みんないい子にしているんだよ!医者、エンジニア、偉い人になることも大事だけれど、ミラノを担う教会に奉仕をしよう。いいね?」拍手がわいた。さすが、人口の90%以上がキリスト教信者で、そのうち82.9%カトリック信者の国のフィリピンだ(2000年に行われた調査)。ミラノ郊外、サンドナートのドン・サントスもミラノ大司教区のHPで「今日のミラノおよびヨーロッパにおいて、信仰の具体的な証が必要」だと述 べていた。
また、「タグレ枢機卿は、彼らの国でも同様に、難しい環境の中で、どのように信仰を生きるか証しされるであろう。」と加えられた。朗らかな笑顔とオープンな人柄が印象的。
一緒にいった日本人信者たちは、いつの間にか一人もいなくなり、気づくと回りはフィリピン人ばかり。何かタガログ語で話しかけられた。参ったな・・・フィリピン人に間違われたわ。爆ミサ後、枢機卿はドウモの外まで出ていらっしゃり、今度は、直接ドウモ広場に広がる人々に挨拶された。フィリピン人は全体的に,小柄なので、スクリーンを見るのは問題なかったが、カメラを構えての待機はさすがに腰が痛くなった。
余談 その1 今日のごミサの献金は、昨年のフィリピンの台風30号の被害を受け、家や親を失ったフィリピンの子供たちに送られることになっており、先に会場を出た人たちの献金も預かっていたが、さすがに広場の方まで献金を集めに来ることはなかった。ミサ後、ドウモ入り口まで近づいて、警備の方に、「献金ができなかったので、どうしても献金したいのですが。」というと、そっと中に入れてくれた。外の喧騒に比べ、すでに暗く静まり返っているお御堂。献金箱を発見。そこに近づくとなんとお付に囲まれた枢機卿が入られてきたではないか!それなのに、思わずバッグの中の献金がどこに行ってしまったのか、そればかりに気を取られてしまい、通りすぎてしまわれた!
「カルディナーレ!!」とすっ飛んでいって、指輪にキスをさせていただくんだった!あ~惜しい・・・。
余談 その2 今年の10月にシノドス(世界代表司教会議)が召集され、「Le sfide pastorali sulla famiglia nel contesto dell’evangelizzazione (福音宣教から見る家庭司牧の挑戦(仮訳))」がテーマとなった。今朝そのシノドスの3人の責任者が発表され、そのうちの1人がタグレ枢機卿となった。
余談 その3 明日24日は、ミラノ大司教区の聖職者たちがミラノ・ドウモに集まり、タグレ枢機卿による「福音宣教」に関する講話がある。特に、都会における福音宣教について、ミラノ・スコラ大司教は彼の書簡「Il campo è il mondo(畑は世界)」の中でも触れられている内容なので、非常に興味深い。