以前も書いたが、イタリアの「学校」「郵便局」「警察」「役所」関係はネタがつきない。
滞在許可の件で、先月、長男が14歳になり、保護者から離れる第一歩の手続きがあり警察に出かけてきた。
滞在許可に関する手続きは、数年前から郵便局で申し込みキットを送り、その場で警察でのアポイントをとる。それまでにローマの中央警察へ書類が届けられ、管轄の警察で指紋を取ったり、細かい手続きをするのだ。
在イタリア20年、どれだけ警察にこの手続きで通ったものか。警察の対応は、管轄の警察によっても全く違う。一番嫌な思いをしたのは、ローマの中央警察だった。朝6時くらいから子連れで並び、順番待ち。いつも会計士と出かけており、待遇は他の外国人とは違ったが、その差をみたり、またその外国人の態度の悪さ、国民性の違いにショックを受けたものだ。
とはいえ、かれこれ24,5年前に日本の法律事務所に勤めていた頃、某米国大学誘致に関する人材招聘の手続きで東京の入国管理局を尋ねたことがある。なぜかアジア系外国人に間違われ、非常に嫌な対応をされたことがある。そこで、すぐに上司の名刺を出したところ、がらっと変わった態度に、役人の本質を見たような気がした。所詮、どこも同じなのかもしれないが、外国人に対し、態度のでかい役人、いや人間は胸糞わるい。あっ失礼!
話がずれたついでに、3年前、長女が14歳の際、今回と同じ手続きをしたのだが、我が家は既にCarta di Soggiornoという半永久の滞在許可証を取得している。それを、長女が私の(手続き上の)カードから名前が外れる申請をすると、なぜかCarta di Soggiorno から一般の滞在許可証・Permesso di Soggiornoに変わっていたことが、その2年後、16歳の手続きで判明。カード上はなんら変わりはないが、警察のPCで見た際、初めてわかる内容なのだ。「だれだ!こんなことをしたのは・・・!!」激怒する警察官。あなたですよ・・・そのべたべたのナポリ弁。そして離れた目。誰が忘れる顔ですか・・・・と思ったが、口にはしなかった。それでいて、自分の作成した書類を見直し、なんて俺様、ブラヴォーなんだ!!といっているので、隣で長女が笑いをこらえていた。警察って・・・
話は基、今回の手続きは別の私服の警察官だった。
長男に名前と生年月日の確認。「職業は?」「独身ですか?」冗談ですよね・・・?! そこで、上記あほ(いやっ失礼)な警察官登場。一応制服姿である。「この手続きは自分がする」。私服警察が出て行った・・・すると、PCがフリーズ。「なんだ!このばかもの!」と警察。「警察のPCはハイテクじゃないんですか?」とエージェント。どうも元警官?!または、警察に超コネがあるらしく、どんな難題な滞在許可も彼を通せば、取得できてしまうという噂。頭の回転もよく、無駄なくスムーズに仕事をこなす。そこで、私服警官が戻ってきて、「例のやつらが来た。激怒している。行ってやってくれ!」と制服警官に告げた。手続きの当日になって、やれ書類が足りない、手続きの内容が違っていた!といっては、もめている外国人をよく見かける。何度も足を運んでいる外国人 なのだろう。毎回、 同じことをしていると、対応側も辟易してしまうのは理解できるが、やはりそこは、忍耐をもって接してもらいたいもの。
2年前、長女の件で、何か足りない書類があったが、(そのときに限ってエージェントが来られなかった)日本人は正確で、信用できるからといって、30分以内に、必要だった書類のコピーを私が警察に必ずファックスるすることを約束し、手続きを進めたことがある。本来だったら、絶対してくれないだろうし、日本だったら絶対にありえないことだろう。
「あんなやつらは、Casa Popolareへ送っておけ!!」と激怒。カーザ・ポポラーレ、とは経済的困難な家庭のために市や州が建てたアパートのことだが、我が家の近くには、戦後建てられた地域がある。l現在そこに住んでいるイタリア人は、当時から住んでおり、子供たちは独立してしまい残ったお年寄り、それ以外は殆どがアラブ人、南米系である。そして、半分以上が未払いであったり、不法滞在の人が多いという。
「ジンガリ(ジプシー、ロムのこと。)のいる前のカーザ・ポポラーレに送っておけ!!」
は~っ?!また、怒りのアンテナがピカピカ鳴り出した・・・警察がそんなこと言っていいと思っているの?!目を白黒させ、警察とエージェントを見回す。エージェントの目は冷たい。「まーまー落ち着け!黙っていろ!」目で合図された。どうも胸糞悪い。
その後、長男の身長を測定された。この夏ぐっと伸びた。
178くらいか?と思ったが、「175」いや「180」だ。いや「185だろ?」警官2人とエージェントが適当に言う。10センチの差って何?!180くらいにしておこう。まだ伸びるだろう・・・・いい加減だ!
次に、いきなり黙って長男の顔をみるあほ警官。
「髪も黒。目も黒だよ」とエージェント。記載事項に髪の毛や目の色も記入する。ちなみに、以前日本人で金髪にしている友人がいたが、身分証明書には「金髪」と書かれていた。証明写真には、めがねはかけてはいけないという。では、髪の色を変え、めがねをかけたら、それだけで変装できてしまうではないか?!
指紋は、私もとられたが、長男は指先以外に、手の平も取られた。以前は、手の平中にインクをぬり、撮ったので、後の始末が大変だったが、今は簡単にモニターで撮れるので便利だ。「悪いことをしなければ、こんなことは、何も重要ではないんだからな!」と警官。
30分で手続き終了。2,3週間以内に新たなカードが取得できるという。
「ところで、この警察署って昔はなんだったの?」いきなりエージェントが質問した。良くぞ聞いてくれた!と警官。Casa del Fascioだよ。という。第1次世界大戦から第2次世界大戦までの間、ファシズム体制に抵抗したパルチザン達が、捕まえられ、拷問を受けて帰らぬ場所となったところだ。
「どんだけこの土地に死体が埋められ、浮かばれない霊が残ってるんだろうね・・・」と警官。寒気がした。戦後、国が所有するようになり、そこへ警察署が建てられたわけだが、権力を行使し、傲慢で無責任、危険な場所は変わらない。
もちろん、警官全員がこんな言動をするわけではないだろうが、イタリアのジョークには、いつも警官ジョークが出るくらい、笑いのねたとなっている。
警察を出る際、子供たちに「クリスマスは、最新プレーステーションを頼めよ!」とのことだった。
は~っ?!
思わず中指を立てそうになったが、かわりに人差し指を立て、左右にふった。
http://
http://
http://
