元過激派の父が起こす大騒動に翻弄されながらも、東京→沖縄への移住を通して家族の絆、息子二郎の成長していく過程を描いている。
前半は、子どもの学校内でのいじめや元過激派ということで、ちょっと硬い社会派小説かと構えてしまったが、やはり精神科医・伊良部シリーズののりで,笑いあり、脱力ありで、加速する物語にのめりこみ、530ページちょっとの分厚い本も一気に読めてしまった。
「卑怯なおとなだけはなるな。立場で生きるような大人にはなるな・・・これはちがうと思ったらとことん戦え。負けてもいいから戦え。人とちがってもいてもいい。孤独を恐れるな。理解者は必ずいる。」 父親・一郎の生き方は、この言葉に集約されている。国家と資本家の言いなりにはならん、ただそれだけだ!というが、根本的な彼の暮らし方は、反権力的な「スロー・ライフ」の実践だった。
主人公の少年・一郎が、東京に住んでいた頃の、担任の先生からの手紙には,「大人は正義より、自分の利益をゆうせんします。大人は基本的におくびょうでずるいのです。・・・」とあった。どんなに過激でも、決して嘘はつかず、表面的な正義は振りかざさず、ある夢に向かって突き進む父親。少しずつ父を理解し,頼もしく思えていくというのは、12歳にしては、すばらしい。
また、西表島の小学校の先生たちは、問題に向き合い,隠し事をしない。揉め事をさけず、生徒どころか、保護者の耳にも入らないよう隠し事ばかりの今時の学校とは違う。教育委員会、学校関係者に読んで欲しい一冊。
2007年には、同タイトルの映画も公開されていた。“奇天烈夫婦”を豊川悦司と天海祐希が演じているが、面白そうだ。物語は、ハッピー・エンドではなかったけれど、やけにすがすがしい気持ちで読み終えた。
夫婦の行く末、成長した子どもたち、そして島のリゾート計画、島の人たちの将来は?!続編,ぜひ書いてほしいわ~。