それにしても、会いたい人は沢山いた。けれども時間に限りがあったし、やはり夏休み中ということで、入れ違いの人も多かった。運よく18年前のローマの生活のはじめから仲が良かったKちゃんとは、仕事でアメリカ出張出発直前に会うことができたのは、なんと幸運。
とにかく、行きたいところ、食べたいものを最小限にリストアップしておいた。
*Ristorante Matricianaのブカティー二・マトリチャーナ。
*Chicco D'oroのコーヒーのグラニータ。
*グラニータよりもキメが粗い、グラッタ・ケッカ。
*そして、今は亡き、聖心の先生でもあり、友人でもあった方につれていってもらった、「マーテル・アドミラビリス」の壁画。「マーテル・アドミラビリス」(感ずべき御母)と名づけられた聖母マリアの絵の原画は、スペイン広場にあるトリニタ・ディ・モンティの修道院の壁画で、19世紀半ば頃、一修道女によって描かれたものという。この聖母像は、学院の創立者、聖マグダレナ・ソフィア・バラが目指した女性の理想像を表すものという。
今回、行ってはじめて気づいたのは、前回行ったのは、長男が生まれる前だったはずだから99年以前。2002年に修復しているとのことで、色がだいぶ綺麗になっていたが、どうも味気ない。そして、今まではフランス政府により委託されてきたトリニタ・ディ・モンティ修道院の管理がエルサレム修道共同体というグループに引き継がれたそうで、私が持っているマーテルのメダイは販売どころか作られてもいない。しかも、祈りが書かれていたカードも今では祈りさえもない。

とはいえ、この絵はバスケットの上に伏せられた読みかけの本によって示される「学問」への関心、手にする糸紡ぎ機に表される労働の貴さ・・・ここに祈り、考え、働くという基本的な人間の生きる姿勢が描かれている。また傍らに咲くユリの花は「清純」の徳を表し、神を信頼して生きた聖母マリアのように、命をはぐくみ、大切にし、神と人への愛にこたえていく女性の品位と使命を象徴しているのだそう。「希望」のある未来を示すあけぼのを背景に、ふと手仕事をやめて、心を神に捧げる若き聖母マリアの姿だという。
