ローマの休日 パートII | ミラノの日常 第2弾

ミラノの日常 第2弾

イタリアに住んで32年。 毎日アンテナびんびん!ミラノの日常生活をお届けする気ままなコラム。

15年前元同僚夫婦とローマで連れ立っていた時期がある。彼らは結婚後ご主人がイギリス留学し、そのあと、ローマとミラノで研修(法律事務所)しに来たのだ。彼らと再び、イタリアで再会したのは、8年前のイタリアの法改正に関する在ミラノ邦人向けセミナー。私は次男が生まれるまでの少しの間、法律事務所でアルバイトをしていたのだが、その事務所主催のセミナーに上記友人弁護士をゲストとして日本から呼んだのだ。当時、彼らのお子さんはまだベビーカーに乗っていたが、その後、彼らは毎年、ローマを拠点にし、南イタリアやギリシャで夏休みを過ごしているが、毎年私が帰国の際、彼女と会っているとはいえ、イタリアでは、なかなかタイミングがあわず会えたためしが無かった。今年は我々が帰国しない分、イタリアで合流したいと思い、彼らのローマ入りに合わせてローマ旅行を試みた。しかし、何処で会っても子供がいると落ち着かないのは仕方ないか。たらーっ(汗)

それにしても、会いたい人は沢山いた。けれども時間に限りがあったし、やはり夏休み中ということで、入れ違いの人も多かった。運よく18年前のローマの生活のはじめから仲が良かったKちゃんとは、仕事でアメリカ出張出発直前に会うことができたのは、なんと幸運。

とにかく、行きたいところ、食べたいものを最小限にリストアップしておいた。

*Ristorante Matricianaのブカティー二・マトリチャーナ。
*Chicco D'oroのコーヒーのグラニータ。
*グラニータよりもキメが粗い、グラッタ・ケッカ。
*そして、今は亡き、聖心の先生でもあり、友人でもあった方につれていってもらった、「マーテル・アドミラビリス」の壁画。「マーテル・アドミラビリス」(感ずべき御母)と名づけられた聖母マリアの絵の原画は、スペイン広場にあるトリニタ・ディ・モンティの修道院の壁画で、19世紀半ば頃、一修道女によって描かれたものという。この聖母像は、学院の創立者、聖マグダレナ・ソフィア・バラが目指した女性の理想像を表すものという。
今回、行ってはじめて気づいたのは、前回行ったのは、長男が生まれる前だったはずだから99年以前。2002年に修復しているとのことで、色がだいぶ綺麗になっていたが、どうも味気ない。そして、今まではフランス政府により委託されてきたトリニタ・ディ・モンティ修道院の管理がエルサレム修道共同体というグループに引き継がれたそうで、私が持っているマーテルのメダイは販売どころか作られてもいない。しかも、祈りが書かれていたカードも今では祈りさえもない。

とはいえ、この絵はバスケットの上に伏せられた読みかけの本によって示される「学問」への関心、手にする糸紡ぎ機に表される労働の貴さ・・・ここに祈り、考え、働くという基本的な人間の生きる姿勢が描かれている。また傍らに咲くユリの花は「清純」の徳を表し、神を信頼して生きた聖母マリアのように、命をはぐくみ、大切にし、神と人への愛にこたえていく女性の品位と使命を象徴しているのだそう。「希望」のある未来を示すあけぼのを背景に、ふと手仕事をやめて、心を神に捧げる若き聖母マリアの姿だという。

思わず、「私は主のはしためです。お言葉どおりこの身になりますように」(ルカ1:38)と頭を下げる事を忘れている日々を思い出す。・・・続く