塩 | ミラノの日常 第2弾

ミラノの日常 第2弾

イタリアに住んで32年。 毎日アンテナびんびん!ミラノの日常生活をお届けする気ままなコラム。

先日、うちの夫は日本出張で美味しい、お刺身を食べたらしい。醤油ではなく、塩で食べたのだという。 

最近、イタリア人の友人夫婦を日本食レストランに招待する約束をずっとしていたので、その食べ方を紹介してきた。予め、店のほうに、醤油・塩・ポン酢の3種類を準備してもらい、好きなように食べてもらったが、鮭や白身の魚はわさびをのせ、塩にちょっと触れるようにして食べてみてもらった。やはり美味しいと喜んでいた。もちろん、魚の種類や個人の好みにもよるが、白身の魚の場合は癖がない分、そのままが自然。しかも、日本の塩は海の塩なので、日本料理にあっている。そういう意味では岩塩などは、肉料理があうのかも。 

ところで、塩は人間の生存に必須のため、古くから政治的、経済的に重要な位置を占めていた。世界各地に海岸部の塩田や内陸部の塩湖から塩を運ぶ道(ローマのVia Salario)があり、塩を扱う商人は大きな富を得た。ロシアの大商人で貴族にもなったストロガノフ家は塩商人を前身としたという。 

それにしても、塩の効能はいろいろ。 
味付け、脱水・防腐作用、タンパク質への作用、色出しと褐変防止などなど。 

減塩が叫ばれる今日だけれど、人命維持の為には、一日最低1グラムは摂取が必要だという。人体には0.7%の塩が含まれており、体液すべてに塩や主成分のナトリウムが含まれている。けれど、毎日それを排出しているので、それを補う必要があるわけ。それでも、父が心筋梗塞で倒れ、一命を取りとめたあとの塩分調整は、それはそれは厳しいものになった。うちの夫だって気にしなくてはならないのに、塩だ!刺身だ!っていってていいのだろうか・・・笑 

今日の薀蓄。爆 
古代ローマにおいて、兵士への給料として塩(ラテン語 sal)が支給された・・・ということで、英語の salary (サラリー:「給与」)はここに由来しているという。へ・・・っ。そして、納得したのは、食品に関する語彙には当然ながら「塩」に由来するものが多いということ。ラテン系由来の語彙に限っても、「サラダ(salad)」「ソース(sauce)」「サルサ(salsa)」「ソーセージ(sausage)」「サラミ(salami)」などは明らかである。 

そして又、聖書の中でも「塩」という言葉は、たびたび出てくる。 

あなたたちは地の塩である。 - マタイ5:13 
塩は良いもの。 - マルコ9:50、ルカ14:34 
何によって、その塩に塩味をつければよいのだ。 - マタイ5:13、マルコ9:50、ルカ14:34 
自分の中に塩を持ち、互いに平和に過ごしなさい。 - マルコ9:50 

『塩』というのは、料理では、そのものの持ち味を引き出し、上手に演出するものともいえるが、人間にもそういった、味を引き出すもの、味付けを演出するもの(ここでは福音ということ)が必要で、人間は、愛の精神と心の糧があれば、本来の持ち味、つまり「使命」を果たせる・・・といっているのではないだろうか。(あくまでも持論) 

料理上手は、素材の味を引き出すのがうまい人。 
人を育てるのが上手な人は、その人の可能性を引き出すのがうまい人なんでしょうね。 

私は、塩がききすぎて、辛口でしょうか。爆 
あなたの隠し味はなんですか? 

ちなみに塩のことわざ・慣用句はこちら 
http://www.siojoho.com/s07/index.html