説得・交渉の技術
【オススメ度】★★★
著者は23歳で司法試験に合格し、25歳で弁護士になった人・・。
確かに、弁護士としての「説得」歴はかなり長そうだ・・。
読んでみると、やはり弁護士としての視点から、
よくある民事系の事例を挙げつつ説明してくれるので分かりやすい。
離婚事件、借金の取立て、相続問題、賃料交渉・・・
どれも、身近な話を事例にしていて、
どんな交渉・説得方法があるのか、スムーズに理解ができた。
その交渉・説得の方法だが、
- 権限がある者と交渉する
- 交渉の結果を自分でブレーンストーミングする
- 他の選択肢を用意する
- 決裂の覚悟を決めておく
など、なんとなく聞いたことのある内容がならんでいる。
その中でも、個人的に気に入ったものを紹介したい。
まず、「期限の考え方」というもの。
交渉の際には、だいだい「期限」があることが多い。
期限も2つに分けることができる。
「自分自身の期限」と、「相手の期限」である。
そして、「なるべく自分に期限を設定しないようにする」ことが大切という。
例えば、「7日以内に、この件に関する返答を出すように」と相手に言われたとしよう、
そこで、この期限に「わかりました」と答えてしまったら、
自分は、「7日以内に返答を出すこと」に縛られることになる。
結果、7日以内に返答できなかった場合、
相手につけいる隙を与えてしまうと言うのだ。
もしくは、あなたが真面目な人間なら、この期限を守ろうと、
プレッシャーをかけて取り組み、ミスを犯してしまうことだってありうる。
だからこそ、相手に期限があるときは、
それを見抜く努力を惜しまないほうがよい。
相手の期限が分かれば、期限ギリギリまで粘れば、
相手が譲歩してくる可能性もある。
逆に、自分に期限があるときは、
それを悟られないようにしなければならない。
例えば、先に自分の期限を、相手に錯覚させるという方法がある。
設定期限を極端に短く公言してしまうのだ。
「どうしても、この交渉を今月中にまとめたい」
こう言っておいて、実は2ヶ月先が本当の期限だということであれば、
相手は、自分の期限を錯覚する。
でも、本当の期限は2ヶ月先なので、念入りにチンタラ交渉をしていると、
自分の錯覚させた期限が過ぎると、
相手は「交渉が決裂するのではないか・・」
と心配し、譲歩してくれるケースが多いと言う。
期限ひとつをとっても、交渉の重要なキー・ファクターとなりえるのだ。
そして、もう1つ参考になったのが、
「相手の自尊心にスポットを当てて交渉せよ」というもの。
交渉をするのは、人間同士。
お互いに自分の主張を訴えるだけでは、
交渉は進まないし、まとまらない。
そんなときは、「自分の考えにのみスポットが当たっている」可能性が高い。
だれだって、言いくるめられると気分が悪いし、反発もしたくなる。
だからこそ、相手の自尊心にスポットを当てて、
相手の気持ちを汲み取りながら交渉をすることを著者は提案している。
相手の主張に反対するときは、
「しかしですね・・・」
という言葉を使うと、相手の自尊心を傷つけてしまい、
反論を招く恐れがある。
著者が提案するのは、
「そのとおりです。だからこそ~~」
という切り替えしである。
つまりは、真っ向から反対するのではなく、
相手、もしくは相手の意見を受け入れつつ、
自分の意見も組み入れさせるのだ。
また、おもしろかったのが、
弁護士がよく使う「異議あり!誘導尋問です」という言葉。
どういうときに発せられるかと言うと、
前提を決めてかかって質問している時、だと筆者はいう。
例えば、「明日のデート、遊園地がいい?それとも動物園がいい?」
と、突然女の子に聞いたとする。
これは、「異議あり!誘導尋問です!」に当てはまる。
つまり、この質問の裏には、「デートに行くことは当然」
という意味が隠されている。
この誘導尋問のような形式で質問されると、
デートに行く前提で、どちらかを答えてしまう可能性が高まるというのだ。
これは、コールドリーディングの本で「相手を動かす手法」として紹介されていたが、
法廷の場では、それはお見通しということだ。
そして、本書は最後にこう締めくくる。
「自信にあふれた態度で話そう」
そう、人を説得するときには、自分に疑いをもってはいけない。
これは、当たり前のようにも聞こえるが、
実践できている人は、まだまだ少ないだろう。
自分を信じて、疑わない。
それは、自分自身が自分を信頼するに足るだけの
行動、考えを日々実践しているか・・・できまる。
自分に甘い人間は、この自信が弱くなるのかもしれない。
成功の教科書
- 原田 隆史
- 成功の教科書 熱血!原田塾のすべて
【オススメ度】★★★★
成功は「技術」である。
著者は冒頭、そう言い切る。
成功が「技術」であるならば、
それは真似ることができ、体得することができる。
実際に、著者はある種の「成功」を収めた人物だ。
松虫中学校の陸上部監督として、
7年で13回も日本一を創出した。
著者がいう「成功」とは、
『自分にとって価値あるものを、
未来に向かって目標設定し、
決められた期限までに達成すること』
著者もこの「成功」を収めながら、
教育指導した生徒たちにも「成功の技術」を叩き込んだ。
その『成功の技術』とは何なのか。
私が重要かつ、おもしろいと思った点は以下だ。
- 成功をイメージし、そして何度も『書き続ける』こと
- 2週間後の『目標設定』から始める(徐々に未来へ)
- 「期日目標」と「ルーティン目標」の2つの『行動目標』を設定する
- 『日誌』を書き、「できたこと」と「次にすること」の仕分けを行う
『書き続ける』ことの大切さは、様々な自己啓発本でも述べられている。
なぜ、書くことが大事なのか。
それは、「書く」ということは、頭の中にあるボヤッとしたイメージを
目に見える形にして、外に出すことだからだ。
書くことで、イメージをより鮮明にし、
書き続けることで、足らないイメージを継ぎ足し、
その一連の作業が、自分の足跡として残る。
あなたは、1週間前に何を考えていたか思い出せるだろうか?
1年間前は?3年前は?
何かに書き連ねていない限り、そのような自分の考えは忘れ去られてしまう。
そして成功をイメージしたら、その「成功」を収めるために、
必ず目標設定が必要となる。
著者は、「2週間後の目標設定から始めよ」、と言う。
なぜなら、いきなり3年後の目標設定を行ったとしたら、
その目標設定が正しく、きちんと達成できたか、
を確かめるのはいつになるだろうか?
3年後に「あー、できてなかったね・・」
といって、修正がきくだろうか・・。
まずは、スモールステップできちんと確認をしていくことが、
重要であり、かつ、効率がよい。
そして、「目標設定には2種類ある」と著者は言う。
1つは、「いつまでに何をやる」を目標にした期日目標。
一般的に、「目標」というとこれを設定する人は多い。
だが、それ以外に「ルーティン目標」、
すなわち「毎日続けて行うこと」の目標も重要だという。
つまり、成功を勝ち取るために、「毎日続けるべき何か」を見つけ、
それを実際に続けて行うことで、『心』を強くするということ。
目標達成には、『心』の強さが欠かせない。
途中ですさんでしまったり、やる気をなくしたりしては、
目標達成に向けた意志も弱まってしまう。
何か決めたことを、毎日欠かさず行うことで、
心を強くし、そして毎日続けたことが大きな自信につながる。
また、この「ルーティン目標」は、
家庭内(生活面)と家庭外(仕事面)の2つに分けて設定することで、
目標の偏りをなくす役割もあるという。
このルーティン目標は、「さぼりたくなる自分との勝負」になり、
自分に勝つ訓練になるのだ。
そして、最後に『日誌』を書く。
これが上記3つのポイントの総おさらいとなる。
つまり、イメージした成功を日誌に毎日書き続ける。
そして、2週間後に設定した目標に向けて、
何ができたか、明日は何をしなければいけないか、を仕分け
新たな、期日目標、ルーティン目標を加えていく。
この一連の作業を行うことが『日誌』と著者は言う。
日記ではなく、『日誌』と言うのにはそれが理由だ。
特に、「成功イメージを書き続ける」、「日誌を書く」という点は
非常に共感できる。
昨日の自分、今日の自分、明日の自分が全くの別人だったと考えたとき、
メッセージを残せるのは、『書く』という作業だけである。
(もちろん、ビデオや録音という手段もあるにはあるが・・)
昨日の自分が何を考えていたのか、
そして今日の自分は何を考えたのか、
それから、明日の自分には何を伝えたいのか・・・・
それを書いて残せば、
その『考え(メッセージ)』がバトンになって、
未来の自分へと続いていく。
私が、読んだ本の感想を書き始めたのも、
この『考え(メッセージ)』を未来の自分に残したかったからだ。
過去の自分から学び、
未来の自分に向けて、今日の自分がしてやれることを続けていけば、
未来の自分も、遠いゴール目指してバトンを届けてくれるに違いない。
そうっとそうっと
- 木村 裕一, 尾崎 真吾
- そうっと そうっと
【オススメ度】★★★★
うさぎ君が、草の葉っぱでおかしな帽子をつくりました。
そして、ちょっと楽しいことを思いついた。
この帽子をかぶって、友達を脅かしてやろう・・・。
まずは、きつね君のところに。
そうっと、そうっと近づいて・・・・・
わっーーーー!
「ひゃあ~~~」
おどろいたきつね君に、うさぎ君は大喜び。
「ごめんねー、驚かして」
でも、驚かすのって楽しい~~~。
今度は、きつね君も加わって、たぬき君を驚かします。
そうっと、そうっと近づいて~~~。
こんな感じで、とっても楽しい絵本です。
驚かす場面は、しかけ絵本になっていて、
そのページだけ、小さくめくれるようになっています。
3歳の娘も、驚かす場面がとっても好きで、
一緒になって
「わぁ~~~~~!」
「ひゃぁ~~~~!」
って言ってます。
そうっと、そうっと近づくときの、
娘のドキドキした顔。
横から見ていると、とってもかわいらしい。
とっても楽しかったのか、一人で絵本を取り出して、
読んでいることもあります。
「そうっと、そうっと近づいて~~」
と言う言葉を覚えたのか、声に出して読んでます。
(おそらく、字は読めていないけど)
そんな娘を、そうっと、そうっと見守りたくなる。
そんな絵本です。
幼児期には2度チャンスがある
- 相良 敦子
- 幼児期には2度チャンスがある―復活する子どもたち
【オススメ度】★★★★★☆
「幼児期には2度チャンスがある」
2度のチャンスとはなんだろうか?
そもそも何のチャンスなのか?
この疑問への答えはとてつもなく重要である。
この答えを知っている人と、知らない人では、
子供に対する教育、しつけ、接し方に大きな違いが出る。
ある程度まで、子供は勝手に成長していくように感じられる。
(例)
「寝返り」→「ハイハイ」→「つかまり立ち」→「ヨチヨチ歩き」
あたかも自然に導かれるように、
親が何も教えなくても、成長の過程を自ら歩んでいく。
しかし、この幼児期に、親の接し方しだいで、
その後の人生を左右するような重大な『意識付け』が行われるとしたら、
親として何をすべきか、知っておきたくなるはずだ。
その答えが本書には書いてある。
「3つ子の魂、100まで」
昔からよく聞く言葉だが、この言葉の意味を
以下のように理解してはいないだろうか?
「3歳まではきびしく接しないとだめ」
「3歳までが躾の勝負」
そう思って、子供に「ああしろ、こうしろ」と
指示して躾を焦っている人がいたとしたら、
それが返って子供を悪い方向へと導きかねない。
本書によると、幼児期は、0歳~3歳の「幼児前期」と
3歳~6歳の「幼児後期」に分けられるという。
この2つの段階に、親が子供にどのように接してあげるか、
によってその後の子供の大きな成長につながる。
「3つ子の魂、100まで」とは、
まさしくこの「幼児前期」を指しているのだが、
本書では、この「幼児前期」に間違った接し方をして、
子供が逸脱発育をしてしまったとしても、
3歳~6歳の「幼児後期」で十分に挽回するチャンスがあることを語っている。
では、どのような接し方をすればよいのだろうか。
本書が提案するのは、モンテッソーリー教育で取り入れられている
「自主性を育てる」接し方である。
子供は、自ら学ぼうとする。
それは、親が教えなくても自然に導かれるように、
「つかまり立ち」や、「歩く」ことを覚えていくことからもうかがえる。
これと同じように、子供は様々な「自ら学びたいサイン」を発する。
例えば、1歳半ぐらいになると、台所での作業や洗濯といった、
母親がやる家事に興味を持ち始める。
だが、このサインを「学びたいサイン」だと気づかなければ、
「あぶない」、「邪魔」、「いたずらしないで」などと言いながら、
子供をその物事から引き離してしまってはいないだろうか。
これが、「子供が自ら学ぶチャンスを奪っている」としたら、
子供への接し方を変える必要があると理解できるだろう。
モンテッソーリー教育では、この子供の「自主性」、
つまり、「自らやってみよう」と思った瞬間こそが、
子供に教えるチャンスなのだ。
このチャンスに、正しいやり方を提示してあげることで、
子供は、目を輝かしてその事に取り組むという。
その際、とっても大事なのが、
『やり方をゆっくりと見せ、口での説明はしないこと』
これには目からウロコが落ちた。
「こうやって、こうやって、ここをこうして・・・」
とか、なんだかんだと口で説明していた自分がいたからだ。
試しに、3歳の娘にゆっくりと「裏返しになったパジャマの戻し方」を
ゆっくりとした動作だけで提示してみた。
するとどうだろう・・・。
じっと食い入るように私の動作を見ている。
途中、ポイントになる動作などは、
娘に目で相槌を打つようにすると、
「うん、うん」と首を縦に振りながら理解しているようだ。
そして、一連の動作が終わると、
「わぁぁあ~」
と娘が感動の声を発した。
思わず、私も感動した。
「ああ、こうやって教えるのか・・・」
言葉がないため、娘は動作を覚えることに集中できたようだ。
「あっ!」
そのとき、思い出したことがあった。
『ノッポさん』だ。
NHKの教育テレビで、小さい頃からとっても好きだった。
ノッポさんは、テレビでは言葉を発しない。
ただ、ひたすら、動作で工作を作り上げていくのだ。
いまさらながら気づいた。
ノッポさんが好きだったのは、
「ああして、こうして、次はこうしなさい」
みたいな説明がクドクドないからだ。
しっかりと動作を見せ、自分で理解させる。
だから、楽しく工作を見れたのだと・・・。
本書では、お父さんの仕事は
「黙ってやり方を提示すること」
とあった。
そう、この時期には、言葉での指示よりも、
ボディランゲージで見せるほうがよっぽど伝わるのだ。
改めて、今までの教育方法を見直したいと思った。
2度のチャンス。
娘はもう3歳だが、まだ遅くない。
育児をしている人、これから育児する人も
本書は絶対に一度は読んでおくことをオススメします。
トップ営業が使う説得学
【オススメ度】★★★
自分の思っている行動を相手にとってもらいたいとき、
あなたは相手を「説得」をする必要がある。
これは、営業シーンだけに関わらず、
生活の様々なシーンにも、同じような状況があるはず。
本書は、この「説得」の様々な手法を、
『説得学』
として、学術的に説明してくれる。
例えば、説得には6つのプロセスがあると本書はいう。
1. 外部環境の整備
2. 自分を演出する
3. 相手を知る
4. 説得力を行使する
5. 説得力を強化する
6. 説得の効果を分析する
この6つを体系的に行っていくことで、
「説得」に磨きをかけていくのだという。
確かに、一般的に「説得」という言葉を聞くと、
「口先だけのテクニック」のようなものを想像してしまう。
本書では、『説得は話す前から始まっている』とし、
説得する環境の整備や、
自分の外見の演出、
相手のタイプを知っておく、
など、話し始める前のプロセスについても大切にしている。
この考えがなくては、
「口先だけの説得テクニック」に終わってしまう。
そして、そのプロセスを踏まえたうえで、
説得の様々なテクニックが紹介されている。
しかしながら、その数の多さに圧倒されてしまった。
- フット・イン・ザ・ドア
(小さなことから徐々に要求拡大)
- ドア・イン・ザ・フェイス
(大きな要求を拒否させて、小さな要求へ)
- ザッツ・ノット・オール
(相手の返事を待たずに要求レベルを下げる)
- ローボール
(受け入れやすい要求の後、悪い条件を付加する)
- リストテクニック
(あの会社も、この会社も買ったとリストを見せる)
- ソーシャル・ラベリング
(人をラベリングすれば、そのとおりになる)
- ブーメランテクニック
(相手と同じ立場を意図的に主張)
その他にも・・・
- 家族のためにテクニック
- フレンドリーテクニック
- ローン推薦法
- 赤頭巾テクニック
- サクセス・ストーリーテクニック
- ランチョン・テクニック
さらにまだまだ記載されていた。
これだけあると、何を言われても「説得テクニック」を
使われているのではないか、と疑心暗鬼になりそうだ。
だが、「自分の思っている行動を相手にとってもらいたい時」、
あなたは、なんらかの説得術を使っているに違いない。
それは、テクニックを知っている知らないに関わらず、
「説得するという目的」をもって相手に接している限り、
頭で考えながら、あの手、この手をつくしているからだ。
「あっ、定期がない」
朝の通勤時に、定期を落としたことに気がついた。
しかも、財布にはお金がない。
でも会社に着かないと、朝の会議に遅れる。
さあ、どうやって駅の外に出るか。
目の前には駅員が立っている。
こんなシーンからも『説得』は始まるのである。
るるるるる
- 五味 太郎
- るるるるる
【オススメ度】★★★
「る」と「れ」だけで構成されている音の絵本。
読むとびっくりするぐらい、言葉はないけれど、
子供にはとっても楽しい本。
「るるるるる」と、
飛行機が飛んでる音がして、
その飛行機が、雲の中に入ったり、
たくさんの飛行機に出会ったりして進んでいく。
そんな、ほんわかした本です。
娘に読んでやると、今では私と一緒に「るるるるる」と
言葉を真似しながら読んでます。
3歳の娘には、とっても分かりやすく、
楽しい絵本なのでしょう。
「箱」
- ジ・アービンガー・インスティチュート, The Arbinger Institute, 冨永 星
- 箱―Getting Out Of The Box
【オススメ度】★★★★
「箱」・・・
タイトルだけを読むと、一体何の本だかわからない。
途中まで読み進んでも、一体何の話だかわからない。
後半部分に入ると、ようやく「箱」の正体が分かってくる。
本書が伝えようとすることは、非常に重要だ。
誰にでも当てはまることだろう。
だが、なかなか気づかない。
しかも、表現するのが難しい。
だからこそ、ストーリー形式にして1冊の本として
説明することにしたのだろう。
まったく読みすすめるほど引き込まれる・・そんな感じだ。
本書では、主人公が、憧れていた会社(以下、Z社)に転職し、
Z社で「特別研修」なるものを受ける出来事から始まる。
その「特別研修」とは、Z会社の好業績の根幹を支えているもの・・というのだ。
「特別研修」は、副社長直々にレクチャーされる。
少し緊張気味の主人公だったが、
次の瞬間、頭を打ちのめされることになる。
『君には、重大な問題がある』
いきなり、そう切り出されたからだ。
誰でも自分に問題があるといきなり正面から言われれば、
こう答えたくなるに違いない。
「一体何が問題なのか」
そう、主人公も問いただした。
そこから、副社長の教えが始まるのだ。
本書では、副社長と主人公とのやり取りの中で、
少しずつ、この「問題」のなぞを解いていくわけだが、
イチイチそのやり取りをここに書くわけにもいかないので、
私の解釈でまとめたもので説明する。
誰もが抱えている問題、それは、
『自分の視点に閉じこもって、外の世界をゆがませてしまうこと』
この現象を本書では、『箱の中に入る』と表現している。
例えば、夜中に子供が泣き出したとする、
その時、あなたは一瞬迷う、
「自分が起きて子供をあやせば、妻は少し休んでられるだろう」
だが同時に、こうも思う、
「明日は仕事だ。少しでも睡眠時間を確保しておきたい」
そして、少し罪悪感を感じたが、
「そのまま寝る」ことを選択したとしよう。
このとき、あなたは「箱の中」に入ってしまった。
あなたは寝ようとするが、子供は泣いている。
妻は、いつまでたっても起きて子供をあやそうとしない。
するとあなたは、こう思い始める。
「なんて妻だ。子供が泣いているのにあやそうとしないなんて」
そして、こうも考え始める。
「俺には明日仕事があるんだ。子供をあやすのは、妻であるべきだ」
人は、一旦、自分の感情にさからった行動をとってしまうと、
とたんに自分の行動を正当化しようとする。
この場合でいえば、「子供をあやさずに寝た」という行動を
正当化しようとするのだ。
つまり、「自分は明日仕事がある」とか、
「妻が子供をあやすべきだ」とか・・。
このような正当化について、
自分自身で思い当たることはないだろうか。
「私はやるだけのことはやった、だが結果がでないのは○○だからだ」
「私に間違いはない。あるとしたら、○○だろう」
「この仕事は○○がやるべきだ。私ではない」
「なぜ私がやらなければいけないのか。○○にやらせればいい」
「私の責任ではない。○○が責任をとるべきだ」
このような自己の正当化は、周囲に悪影響を与えてしまう。
つまり、相手も『箱の中』に入ってしまうのだ。
先ほどの例で言えば、
いつまでたっても子供をあやさない妻に対して
「俺は明日仕事があるんだ。さっさと子供をあやしてくれないか」
と言ったとしたらどうなるだろう。
喧嘩になる、もしくは夫婦仲が悪くなるのは目に見えている。
また、もし、直接言わなかったとしても、
「妻は怠慢だ。怠け者だ、ひどい母親、ひどい妻だ」
と思ってしまっていたら、どうなるだろうか?
自分の妻に対する態度が変わるに違いない。
そして、その態度を感じ取った妻は、
「つめたい夫、ひどい父親」という意識を持ち始めるだろう。
こんなことが、組織の中でも頻繁に起こっている。
この『箱の中に入る』という現象を理解すると、
今後は、『どうやって箱の外にでるのか』を知りたくなる。
『箱の中に入る』ときには、自分を正当化することで、
他人から自分を守ろうとしてしまう。
そうであるならば、『箱の外に出る』時には、
他人を受け入れればよいのだ。
先の子供の夜泣きの例をとってみれば、
「妻が子供をあやさない怠け者」、という
自己を正当化するための感情を抱くのではなく、
「妻もきっと疲れているのだろう」
「もしかしたら、疲れて熟睡してしまっているかもしれない」
「妻は私を頼っているのかもしれない」
という、『相手を受け入れる考え方(他人の正当化)』ができるか否かが、
「箱の中」と「箱の外」を分けているのだ。
自分を正当化せずに、他人を正当化する考えを持てれば、
心の広い行動が取れる、と本書は言いたいのだろう。
当たり前のようなことをだが、
実行するには、意識することが必要そうだ。
特に、昨今の日本は、
『傲慢』がそこら辺に蔓延している気がしてならない。
本書が訴えるようなことが広まり、日本国民が実行できたとしたら・・・・
きっと、すばらしい国になるだろう。
いや、日本にはかつて、このような道徳律があったような気がする。
なくしてしまったのは、いつからだろうか・・・。
旭山動物園の奇跡
- SPA!編集部
- 旭山動物園の奇跡
【オススメ度】★★★★
旭山動物園の奇跡。
日本最北の小さな動物園が、
日本一の入場者数を記録するに至った奇跡の話である。
今では有名な話になり、先日はテレビでもドラマ化された。
それだけ注目されるのには理由がある。
それは、飼育係という本来は裏方の現場職員たちが、
自らの発想をもとに改善策を考え、工夫し、成功を収めたからである。
お客様と動物の両方の視点から、
『理想の動物園とはどうあるべきか』を考え、
業界で常識とされてきた考えを覆していった。
『もうじゅう館』もそんな常識破りの展示施設の1つだ。
トラ、ライオン、ヒョウなどを360°の角度で見れるのだ。
業界では、通常はお客様から見れる角度は一方向だけか、
少なくとも動物が身を隠せる角度を作っておくのが常識とされていた。
これは、動物のストレスに配慮する必要があるからだ。
だが、旭山動物園が閉園の危機に陥って、全く人が来なくなったとき、
人が近づくとライオンやトラのほうから興味を示す傾向が見られたという。
つまり、たくさんの人が毎日のように見にきたら、
ライオンやトラたちも、見物客を景色と一体化させ、興味を失うが、
全く人が来なくなると退屈なのである。
こんな動物の心境をとらえ、
見物客を「猫じゃらし」にする発想が生まれた。
ライオンやトラが気が向いたとき、
ガラス越しに見物客にちょっかいを出せるようにしたのだ。
また、この『もうじゅう館』ではヒョウを真下から見れるスポットもある。
猫科の猛獣は、昼間は寝ていることが多いため、
見物客が退屈しないよう、寝ていても下からのぞけるようになっている。
それも、ヒョウがその場所を好んで寝るように、
風通しがよく、ちょっと小高になっている場所にしてあるのだ。
旭山動物園では、このように見物客と動物の視点の両方がよく考えられており、
だからこそ、この動物園が全国各地から人気を呼んでいる理由だ。
本書は、そういった旭山動物園の魅力と、
そこに至るまでの苦悩と秘話を語っている。
各施設の動物写真が載っており、行ってみたくなる衝動に駆られる。
この話は、「ある動物園の成功秘話」にしておくにはもったいないくらい、
ビジネスの世界でも学ぶべき点が多くある。
例えば、飼育係の自主性の育て方。
旭山動物園では、飼育係が育てたい動物を自分で決めるという。
そして、その動物の飼育の一切の責任を負うことになる。
当然、初めのうちは、慣れた飼育係の世話係として経験を積むのだが、
それでもかなりの自主性を求められる。
自分のアイデアで動物の展示方法を考えるのも自由にできるが、
責任の範囲は非常に大きくなる。
こんな土壌のある環境であれば、
自分から考え、提案していく従業員がどんどん生まれてくるだろう。
だが、これが「飼育係は飼育するのが仕事」と思っていたらどうだろう?
動物の展示をどう改善しようか、という発想は生まれてくるだろうか。
ビジネスの世界でも同じようなことが起きている。
「営業担当は、営業するのが仕事」
「広報担当は、広報するのが仕事」
「企画担当は、企画するのが仕事」
こんな枠組みが勝手に出来上がってはいないだろうか?
大きな組織になればなるほど、その傾向は多く見られる気がする。
でも、少し視点を変えてみれば、
1つのプロジェクトや大きな仕事を成功させるために、
営業担当が企画したり、
広報担当が営業したり、
企画担当が広報したり、
お互いに担当範囲を超えてもよいという考え方が生まれてくるはずだ。
もし、
「自分の担当業務しかしない」
「それ以外の権限は与えられていない」
というような考えがあるとしたら、
「飼育係は飼育だけすればいい」
という動物園業界の常識と同じように凝り固まっていくしかない。
「飼育するのが仕事」と考えるのか、
「飼育を通じて、○○を成し遂げることが仕事」と考えるのか。
本書を読んで、
改めて、その違いがとてつもなく大きなものだと痛感させられる。
ガズーバ!
- 大橋 禅太郎
- ガズーバ!―奈落と絶頂のシリコンバレー創業記
【オススメ度】★★★★
「ガズーバ」
この変てこな名前は、シリコンバレーに創業した会社の名前。
「すごい会議」の著者、大橋禅太郎が創業した会社だ。
本書は、「ガズーバ」という会社の立ち上げ経験を通して、
ベンチャービジネスとは何か、
シリコンバレーでの創業とはどういうものか、
を事細かに説明してくれる。
シリコンバレーでは、ベンチャー企業の買収が盛んに起こっている。
普通に考えると、「買収されることは、経営者にとって痛手」
と考えがちだが、
ベンチャービジネスでは、「買収」は巨万の富を手に入れるチャンスであり、
かつ、ビジネスをひと回りも、ふた回りも大きくさせるチャンスと考えられるのだ。
そして、億単位の金を手に入れようと思えば、
IPO(株の新規公開)をすればよいのだ。
これは、日本のIT長者が誕生した軌跡と同じだ。
特におもしろかったのは、「買収時にクビになるとうれしい!?」
というフレーズだ。
買収されると、不必要と判断された人材はクビになるわけだが、
クビになると、かなりうれしいことが起こる。
通常、ベンチャー企業は、オプションといって自社の株式を社員に与えるのだが、
大体4年間は売買できないようになっている。
それが、買収されて、かつ、クビになると、
買収した側の企業の株に交換され、さらに即売ることができるようになるのだ。
買収する側の企業の株価が、買収によって高騰したとしたら・・・・
考えただけでもすごいことが起きる。
つまり、ベンチャービジネスで大きく儲ける方法としては、
「買収してもらうこと」
も1つの選択肢なのだ。
そんなことを考え、筆者はある会社を起こす。
「マイルネット」
そして、この会社が提供したサービスは、
「Send-to-Friends機能をもったマイル換算カウンター」
当時のICQやホットメールの成功を分析し、
その成功には、「send-to-Friends」、
つまり、「友達への紹介機能で爆発的に利用者が増えたこと」だと結論付けた。
そこで、友達を紹介すれば、カウンターが進むスピードがどんどん速くなり、
その数値を航空会社のマイルと交換できるというもの。
ある種のねずみ講だ。
そして、このサービスの成功には、著者が作った以下の公式がある。
『プロパテンション指数 = A × N 』
プロパテンション指数とは、プロパゲーション(広がり)とアテンション(注目)を
合体させた造語であり、
Aは、「メッセージを受け取った人が友人にすすめる割合」
Nは、「すすめる友人の数」である。
このPIが、1よりも大きい場合、
このサービスは大ヒットを収めるというものだ。
(当然、1より小さければ、広がりは次第に消えていく)
このインターネット上でのバイラル(口コミ)効果は、
今現在、日本で利用者が急増している「mixi」にも共通していないだろうか。
そう考えると、この仕組みは今でもまだ成功のカギとなっている。
このように本書は、
「ベンチャービジネスの成功のカギとなるもの」
を教えてくれる。
シリコンバレーでは、よいアイデアがあり、
それを実行するに足る人物であれば、
お金はベンチャーキャピタルから集められる。
(当然、簡単なことではないが・・・)
そして、ベンチャーキャピタルから出資をもらうことで、
周りからも注目され、信頼されるようになり、
様々なことで優遇される。
そして、金が入ったなら、いかにその金を使って、
有効かつ迅速に実ビジネス(あるいはユーザ獲得)を行うかが勝負になる。
そして、そこで成功を収めれば、
『買収』、もしくは、『IPO』が待っている。
もちろん、このラウンド(工程)の途中でつぶれていくやつらは多い。
しかし、乗り越えれば・・・
それはもう夢物語ではなく、
今でも実際に起きていることだ。
だからこそ、シリコンバレーに夢を求めにいく人たちがいる。
新たな考え方を教えてくれる一冊。
もう、すでに日本でも同様のことが始まっているのだろう。
子供の潜在能力を101%引き出すモンテッソーリ教育
- 佐々木 信一郎
- 子供の潜在能力を101%引き出すモンテッソーリ教育
【オススメ度】★★★★★
「子供に何を教えたいか?」
そう聞かれたら、あなたはなんて答えるだろうか。
数学?語学?スポーツ?音楽?美術?
子供に身につけさせたい能力のジャンルは、
親の好みによって、それぞれ異なる。
でも、
『自分で考え、行動し、学んでいく力』
といえば、どんな親でも子供に身につけさせたいと思うのではないだろうか。
モンテッソーリ教育こそ、
まさにその能力を幼児期から伸ばすことに注力した教育である、
と本書は説明する。
子供は、多くの宿題をかかえて生まれてくる。
寝返りを打つこと、座ること、つかまりだちすること、立つこと、歩くこと・・・・
数えだしたらキリがないくらいのことを、
生まれてからほんの数年で成し遂げていく。
しかし、子供はその宿題を嫌がっているようには全く見えない。
むしろ、喜んでその課題に挑戦し、 達成することを楽しんでいる。
このような子供の自主性に注目し、
子供の潜在能力を101%(←ここがポイント)
引き出そうとするのがモンテッソーリ教育だ。
つまり、子供が自ら学ぶのをちょこっとだけ、
手助けしてあげるのだ。
他の英才教育法と違って、モンテッソーリ教育が特徴的なのは、
あくまでも身の回りの行動を学習に組み入れている点である。
例えば、「注ぐ」、「つまむ」、「洗濯」、「切る」、「靴を磨く」、
「アイロンのかけ方」などがある。
これらの行動は、親の行動を見て、子供自ら「やってみたい!」という欲求が生まれ、
「よし、やってみよう!」と自らマネし、体得していくものだ。
この考え方、つまり、
『子供が学ぼうと思って意欲的にトライしていること』
を認識していないと、
子供がコップをもって、他のコップにお茶を移し変えようとしているのを見ると、
「コラッ、こぼすでしょ!やめなさいっ!」
なんて、言ってしまう親になってしまう。
このような行動を親がしてしまうと、子供の潜在能力を1%も引き出すどころか、
子供の成長の芽をつんでしまうことになる。
でも、現実には、このような親がいかに多いことだろうか。
私の妻も、モンテッソーリ教育を知るまでは、
『子供の行動=いたずら=妻のストレス』
という悪循環があった。
子供の理解不能な行動に苦しみ、
上から押さえつけるように「やめなさい!」と怒鳴りつけ、
学ぶチャンスを失った子供は、泣き叫ぶ。
これでは、育児はまさにストレスそのものである。
押さえつけられて育った子供は、親の言うことは聞くようになるが、
『自分から何かに挑戦し、学んでいく力』は、極端に薄れていくことになる。
(個人的には、これも現代のニート増加に因果関係があるのでは?と思っている。)
本書では、『子供の行動には、意図があること』を教えてくれる。
子供がトイレットペーパーをカラカラ引き出す。
ティッシュペーパーを全部引っ張り出す。
水道の蛇口を思いっきり開いて、水をジャージャーと流す。
これらの行動は、一般的には「いたずら」と考えられてしまう。
でも、モンテッソーリ教育では、これらの行動はあくまで、
「学習」という考えである。
私は、この考え方に出会ったとき、
本当にすばらしい考え方だと思った。
これで妻の育児ストレスも、よい方向に進むのでは・・と思い、
モンテッソーリー教育の本をたくさん借り、
自ら読んで、妻にも読むように勧めている。
今では、妻も育児に対する考えが随分と変わったように思う。
子供が学んでいる姿を楽しむ余裕ができたようだ。
子供がいる人も、いない人も、一度は読むことをオススメする。
この教育がもっと広まれば、日本の将来はきっと明るくなるだろうな。

