幼児期には2度チャンスがある | 人間力を磨く本を読みあさる!

幼児期には2度チャンスがある

相良 敦子
幼児期には2度チャンスがある―復活する子どもたち

【オススメ度】★★★★★☆





「幼児期には2度チャンスがある」




2度のチャンスとはなんだろうか?
そもそも何のチャンスなのか?




この疑問への答えはとてつもなく重要である。





この答えを知っている人と、知らない人では、
子供に対する教育、しつけ、接し方に大きな違いが出る。




ある程度まで、子供は勝手に成長していくように感じられる。


(例)
「寝返り」→「ハイハイ」→「つかまり立ち」→「ヨチヨチ歩き」




あたかも自然に導かれるように、
親が何も教えなくても、成長の過程を自ら歩んでいく。




しかし、この幼児期に、親の接し方しだいで、
その後の人生を左右するような重大な『意識付け』が行われるとしたら、
親として何をすべきか、知っておきたくなるはずだ。





その答えが本書には書いてある。





「3つ子の魂、100まで」




昔からよく聞く言葉だが、この言葉の意味を
以下のように理解してはいないだろうか?






「3歳まではきびしく接しないとだめ」


「3歳までが躾の勝負」






そう思って、子供に「ああしろ、こうしろ」と
指示して躾を焦っている人がいたとしたら、
それが返って子供を悪い方向へと導きかねない。




本書によると、幼児期は、0歳~3歳の「幼児前期」と
3歳~6歳の「幼児後期」に分けられるという。




この2つの段階に、親が子供にどのように接してあげるか、
によってその後の子供の大きな成長につながる。





「3つ子の魂、100まで」とは、



まさしくこの「幼児前期」を指しているのだが、
本書では、この「幼児前期」に間違った接し方をして、
子供が逸脱発育をしてしまったとしても、
3歳~6歳の「幼児後期」で十分に挽回するチャンスがあることを語っている。





では、どのような接し方をすればよいのだろうか。





本書が提案するのは、モンテッソーリー教育で取り入れられている
「自主性を育てる」接し方である。




子供は、自ら学ぼうとする。

それは、親が教えなくても自然に導かれるように、
「つかまり立ち」や、「歩く」ことを覚えていくことからもうかがえる。




これと同じように、子供は様々な「自ら学びたいサイン」を発する。




例えば、1歳半ぐらいになると、台所での作業や洗濯といった、
母親がやる家事に興味を持ち始める。




だが、このサインを「学びたいサイン」だと気づかなければ、
「あぶない」、「邪魔」、「いたずらしないで」などと言いながら、
子供をその物事から引き離してしまってはいないだろうか。




これが、「子供が自ら学ぶチャンスを奪っている」としたら、
子供への接し方を変える必要があると理解できるだろう。





モンテッソーリー教育では、この子供の「自主性」、
つまり、「自らやってみよう」と思った瞬間こそが、
子供に教えるチャンスなのだ。





このチャンスに、正しいやり方を提示してあげることで、

子供は、目を輝かしてその事に取り組むという。





その際、とっても大事なのが、



『やり方をゆっくりと見せ、口での説明はしないこと』







これには目からウロコが落ちた。





「こうやって、こうやって、ここをこうして・・・」




とか、なんだかんだと口で説明していた自分がいたからだ。








試しに、3歳の娘にゆっくりと「裏返しになったパジャマの戻し方」を



ゆっくりとした動作だけで提示してみた。






するとどうだろう・・・。




じっと食い入るように私の動作を見ている。





途中、ポイントになる動作などは、



娘に目で相槌を打つようにすると、



「うん、うん」と首を縦に振りながら理解しているようだ。





そして、一連の動作が終わると、



「わぁぁあ~」




と娘が感動の声を発した。







思わず、私も感動した。





「ああ、こうやって教えるのか・・・」





言葉がないため、娘は動作を覚えることに集中できたようだ。





「あっ!」





そのとき、思い出したことがあった。




『ノッポさん』だ。






NHKの教育テレビで、小さい頃からとっても好きだった。




ノッポさんは、テレビでは言葉を発しない。



ただ、ひたすら、動作で工作を作り上げていくのだ。





いまさらながら気づいた。



ノッポさんが好きだったのは、



「ああして、こうして、次はこうしなさい」



みたいな説明がクドクドないからだ。






しっかりと動作を見せ、自分で理解させる。



だから、楽しく工作を見れたのだと・・・。






本書では、お父さんの仕事は



「黙ってやり方を提示すること」




とあった。







そう、この時期には、言葉での指示よりも、



ボディランゲージで見せるほうがよっぽど伝わるのだ。






改めて、今までの教育方法を見直したいと思った。



2度のチャンス。





娘はもう3歳だが、まだ遅くない。






育児をしている人、これから育児する人も


本書は絶対に一度は読んでおくことをオススメします。