企業参謀
- 大前 研一
- 企業参謀―戦略的思考とはなにか
【オススメ度】★★★
あのマッキンゼー社の日本支社長を務め、
「アジアに大前研一あり」といわれた戦略思想家が書いた本・・・。
かなり古い新装版で2000年発行。
本に書かれている時事的な内容は古くなってしまっているが、
戦略思考(物事の考え方)は学べるところが多い。
戦略思考とは、手に入るデータをもとに市場の方向性を見極め、
その方向性に対し、どのような計画・戦略を打っていくのかを、
実行面も含めて考えていくことである。
この本の中では、あるケースをもとに市場のデータをどのように集め、判断し、
戦略を組み立てていくのかの思考例が書かれている。
その例自体は、書かれた年代が古いだけに、
あまり現在では考えにくいケースが想定されているが、
考え方自体は現在でも非常に参考になる。
例えば、中期経営戦略の実行計画策定では、
「①目標値の設定」に対し、現状ペースで事業を展開した場合の
「②基本ケース」を確立した上で、「③原価低減の改善ケース」を作成し、
その後「④市場・販売改善ケース」を組み合わせていく。
そこで、①と②+③+④の「戦略的ギャップ」が
生じるため、そのギャップを埋めるために、
「⑤戦略的代替案」をいくつか摘出する。
そして、最終的に、①≒②+③+④+⑤となるように⑤の内容を詰めていく。
という考え方である。
上記の考え方は、現在でも十分通用する基本的なものである。
ただ、本自体が分厚く、文章がとても固いため、読んでいて疲れてくる内容なのは確か。
グラフが多数使われていることは、固い文章を
多少なりとも和らげてはいるが、もう少し読みやすければ満足度は高かったはず。
(なんとなく、偉い思想家が書いた学術書のような感じに仕上がっている)
自分の会社をつくるということ
- 経沢 香保子
- 自分の会社をつくるということ
【オススメ度】★★★
将来、自分の会社を持ってみたいなぁ~と漠然と思っているサラリーマンの方々は、
ぜひ一読してほしい本です。
トレンダーズ・女性起業塾の代表取締役であり、
この本の著者、経沢香保子は26歳でゼロから起業。
「えっー、女性でさらに26歳で起業?!」
結構これだけでも、どうやったんだ?
って思われる方が多いと思います。
これも、著者に言わせると狙いの1つだったとか。
彼女自身、リクルートでの営業経験、楽天での新規事業開発等、
さまざまなエリアでトップビジネスウーマンとして活躍してきた経歴を持つ。
本の中では、彼女の緻密な計画性が見えてくる。
「売上1億円で社員は2~3人、社長の年収が3000万円」を目指しましょう。
その目標設定は、具体的かつ合理的な理由に基づいている。
それは、女性が仕事と家庭を両立していくためには必要最低限な収入であり、
さらに家庭的な会社を好む女性社長にあった会社規模なのだそうだ。
子育ての大変さと社長業を経験している著者の言葉には、非常に説得力がある。
この本は、一見、会社をつくるためのノウハウ本のように見えがちだが、
内容はちょっと異なる。
こと細かい経済面での起業準備や計画、法的な事柄は一切書いていない。
むしろ、社長を目指す女性への一種の精神論的な内容となっている。
その中で、一番印象に残っているのは、
「まずはその場でひとつ頭でるように頑張る」
という言葉。
現在は他の事をやっていて、将来的に起業を目指す方は多いが、
そういう人はまず今の仕事で全力を出し、
他人よりもすぐれた結果を出しておくべきだ!という主張である。
彼女自身、リクルートではトップ営業成績を収め、
その信頼/自信を起業に活用したという。
確かに、今の仕事で頭1つ飛び出せない人が、
いきなり起業して成功することができるだろうか・・・。
そういった努力の積み重ねが、起業では大切だという。
トレンダーズという会社は、広告ではなく、
PRでその注目を集め、顧客獲得と事業拡大ができたという背景を考えると、
この本もPRの一環と考えられないこともない。
なぜなら、「社会のために頑張る」とか「従業員の幸せが社長の幸せ」とか、
ちょっとPR狙いのように感じる精神論もいくつか入っているからだ。
まあ、PR的な目的があったにせよ、一読の価値はある。
ちょっと気になるのは、女性読者向けに書かれた本であるということ。
内容的には、「女性」のためだけではない部分もあるので、問題ないが、
ちょっと買うときに抵抗があるかも・・。
そういう場合は、ネットで買えば問題ないですが。
「創刊男」の仕事術
- くらた まなぶ
- MBAコースでは教えない「創刊男」の仕事術
【オススメ度】★★★★★
あのR25で有名なリクルート。
そのリクルートの歴史の中で、『伝説の男』と呼ばれている男が書いた仕事術の本。
「とらばーゆ」「フロム・エー」「じゃらん」などのメディアを
20年間で14つも開発し、その名をリクルートに刻んだ。
この本のくだりは面白い。
売れるものをつくるコツは、
『ちゃんとふつうに生活すること』とある。
「なんじゃそれ?」と思うなかれ、
その根底にあるのは、当たり前のことなのに、なるほどっと思わせる視点。
「ちゃんとふつうに生活する」というのは、
ちゃんと消費者としての意識をもって生活を送るということ。
例えば、あなたが何気なく朝牛乳を飲むとき、その手に持った牛乳を良く見てください。
そこには商品があり、ブランドがある。
あなたは、一体どのような考えでその牛乳を選んだのでしょう?
「妻が選んだから・・」「安かったから・・」
そう、そこには理由があるはずなんですが、
なかなか皆さん忙しいのできちんと考えていない。
これでは、自分の会社の商品を売るときに、消費者の気持ちなんて分かりっこない!
「あなたが日々消費者としてきちんと意識をしているか」、
この視点なくしては、売れるものが作れるわけがない。
だからこそ、「ちゃんと普通に生活すること」が 必要なんです。
こうやって言われると、「なるほど!」と思ってしまう。そういう本です。
この本は、「仕事術」というタイトルから、ノウハウ本と思われがちですが、
読んでみると、中身は「プロジェクトX」なみの感動話がたくさん盛り込まれています。
「とらばーゆ」開発に秘められた裏話、「じゃらん」という名称になった理由、
「フロム・エー」では経営会議でボコボコになった裏話 など、
リクルートとは、ここまで仕事に熱くなれるのか!
と驚くような話がたくさん詰まっていました。
そして、この本を読んで思うのは、「くらたまなぶ」という人間は、
不器用ながら、しかし、たくましく、ゼロから何かを作り出すために
全身全霊を尽くした男だということ。
MBAなどで教わる「マーケティング」なんていうものは、
うわべだけの概念や、きれいなカタカナ用語の意味を教わるだけのものに過ぎなく感じる。
この本では、「マーケティング」とは、「人の気持ちを知ること」とある。
この概念なくして、今日のリクルートの成長はありえなかったのではないだろうか。
ビジネス本の多くは
「マーケティングとは、個人や組織の目標を満足させる交換を創造するための・・・」と、
わけの分からんことを定義している。
いわゆる、実践不向きな本だ。
勉強のための勉強本といったところだろう。
だが、この本は「くらたまなぶ」という1人の人間が、
実際にリクルートという会社で成功を収めた実話をもとに作ったノウハウ本だ。
そこには、実践でしか分かりえない苦労や、発見、そして、ひらめきが見え隠れしている。
ぜひ、興味があったら読んでみてください。
ロジカルシンキングのノウハウ・ドゥハウ
- HRインスティテュート, 野口 吉昭
- ロジカルシンキングのノウハウ・ドゥハウ
【オススメ度】★★★★
「ロジカルシンキング」を身に着けたい人は、この本を一読するとよいかもしれない。
HRインスティチュートというコンサルティング・グループの野口吉昭さんが編者。
ロジカルシンキングというと、「ロジックツリー」という手法が目立つが、
この本では、それ以外にも8つの手法を取り上げている。
まず、体系としては以下の3つに分かれている。
1) 3つの思考法
2) 3つの基盤スキル
3) 3つのツール
つまりは、ロジカルに考えるために、上から順に
- ロジカルな考え方の原点
- ロジカルな考え方へのブレイクダウン
- ロジカルに整理するためのツール
といった形でそれぞれのパートを構成している。
また、上記の各パートには、それぞれ3つのスキル/ツールが紹介され、
どのように活用するのか、なぜ必要なのか、など詳細に説明してくれる。
さすがに、「ロジカルシンキング」と題名をつけているだけあって、
それぞれの内容が、非常にロジカルに整理され、
おまけに、3つのパートで、各々3つのスキル/ツールとなっており、
非常に頭に入って覚えやすい。
この手の手法本は、技術論ばかりに走ってしまい、
「じゃあ、実際どうやって実行するのか?」
というところは置き去りにされているケースが多いが、
この本は、最後のパートで具体的なケースを交えて、
ロジカルシンキングを活用しているケースと、
そうでないケースの比較をしている。
これには、さすが「ノウハウ・ドゥハウ」とタイトルにあるだけあって、
きちんと「ドゥハウ」をカバーしていることに感心した。
仕事では、ロジカルシンキングが常に求められる。
そんなとき、「そもそもロジカルって何?」
といった疑問にぶつかったら、ぜひ読んでいただきたい。
そうすれば、既にロジカルシンキングができていた人は、
「なるほど、私のやり方は正しかった」
と再認識することができるでしょうし、
ロジカルシンキングでなかった人は、
「こうすれば、ロジカルになるんだな」
と新たな考え方を取り入れることになるでしょう。