説得・交渉の技術 | 人間力を磨く本を読みあさる!

説得・交渉の技術

谷原 誠
思いどおりに他人を動かす交渉・説得の技術―現役弁護士が書いた

【オススメ度】★★★



著者は23歳で司法試験に合格し、25歳で弁護士になった人・・。
確かに、弁護士としての「説得」歴はかなり長そうだ・・。



読んでみると、やはり弁護士としての視点から、
よくある民事系の事例を挙げつつ説明してくれるので分かりやすい。



離婚事件、借金の取立て、相続問題、賃料交渉・・・




どれも、身近な話を事例にしていて、
どんな交渉・説得方法があるのか、スムーズに理解ができた。



その交渉・説得の方法だが、


 - 権限がある者と交渉する


 - 交渉の結果を自分でブレーンストーミングする


 - 他の選択肢を用意する


 - 決裂の覚悟を決めておく




など、なんとなく聞いたことのある内容がならんでいる。



その中でも、個人的に気に入ったものを紹介したい。



まず、「期限の考え方」というもの。



交渉の際には、だいだい「期限」があることが多い。


期限も2つに分けることができる。


「自分自身の期限」と、「相手の期限」である。



そして、「なるべく自分に期限を設定しないようにする」ことが大切という。

例えば、「7日以内に、この件に関する返答を出すように」と相手に言われたとしよう、




そこで、この期限に「わかりました」と答えてしまったら、
自分は、「7日以内に返答を出すこと」に縛られることになる。



結果、7日以内に返答できなかった場合、
相手につけいる隙を与えてしまうと言うのだ。



もしくは、あなたが真面目な人間なら、この期限を守ろうと、
プレッシャーをかけて取り組み、ミスを犯してしまうことだってありうる。




だからこそ、相手に期限があるときは、
それを見抜く努力を惜しまないほうがよい。



相手の期限が分かれば、期限ギリギリまで粘れば、
相手が譲歩してくる可能性もある。



逆に、自分に期限があるときは、
それを悟られないようにしなければならない。



例えば、先に自分の期限を、相手に錯覚させるという方法がある。

設定期限を極端に短く公言してしまうのだ。



「どうしても、この交渉を今月中にまとめたい」



こう言っておいて、実は2ヶ月先が本当の期限だということであれば、
相手は、自分の期限を錯覚する。



でも、本当の期限は2ヶ月先なので、念入りにチンタラ交渉をしていると、


自分の錯覚させた期限が過ぎると、

相手は「交渉が決裂するのではないか・・」



と心配し、譲歩してくれるケースが多いと言う。


期限ひとつをとっても、交渉の重要なキー・ファクターとなりえるのだ。



そして、もう1つ参考になったのが、


「相手の自尊心にスポットを当てて交渉せよ」というもの。



交渉をするのは、人間同士。



お互いに自分の主張を訴えるだけでは、
交渉は進まないし、まとまらない。



そんなときは、「自分の考えにのみスポットが当たっている」可能性が高い。
だれだって、言いくるめられると気分が悪いし、反発もしたくなる。



だからこそ、相手の自尊心にスポットを当てて、
相手の気持ちを汲み取りながら交渉をすることを著者は提案している。




相手の主張に反対するときは、


「しかしですね・・・」




という言葉を使うと、相手の自尊心を傷つけてしまい、

反論を招く恐れがある。




著者が提案するのは、


「そのとおりです。だからこそ~~」



という切り替えしである。



つまりは、真っ向から反対するのではなく、
相手、もしくは相手の意見を受け入れつつ、
自分の意見も組み入れさせるのだ。




また、おもしろかったのが、


弁護士がよく使う「異議あり!誘導尋問です」という言葉。



どういうときに発せられるかと言うと、
前提を決めてかかって質問している時、だと筆者はいう。



例えば、「明日のデート、遊園地がいい?それとも動物園がいい?」

と、突然女の子に聞いたとする。



これは、「異議あり!誘導尋問です!」に当てはまる。




つまり、この質問の裏には、「デートに行くことは当然」
という意味が隠されている。



この誘導尋問のような形式で質問されると、
デートに行く前提で、どちらかを答えてしまう可能性が高まるというのだ。



これは、コールドリーディングの本で「相手を動かす手法」として紹介されていたが、
法廷の場では、それはお見通しということだ。





そして、本書は最後にこう締めくくる。



「自信にあふれた態度で話そう」



そう、人を説得するときには、自分に疑いをもってはいけない。



これは、当たり前のようにも聞こえるが、
実践できている人は、まだまだ少ないだろう。



自分を信じて、疑わない。



それは、自分自身が自分を信頼するに足るだけの
行動、考えを日々実践しているか・・・できまる。



自分に甘い人間は、この自信が弱くなるのかもしれない。