概要 

 合不合でSAPIXが抜けたことにより、上位層は偏差値が上がり、下位層は偏差値が下がる。


はじめに

 既にコンセンサスができていると思いますが、SAPIX不参加の影響を定性的に考察しました。


計算方法

 偏差値の定義に基づいて計算するだけです。2つの母集団を考えます。


  母集団1:四谷系+SAPIX以外の外部

  母集団2:四谷系+SAPIX以外の外部+SAPIX


彼らが同じテストを受けた時の母集団i(i=1,2)の平均、標準偏差をμi、σi、X点 を取った人の偏差値をhiとします。偏差値の定義より、2つの母集団における偏差値の間には


  (h1-50)×σ1/10+μ1=(h2-50)×σ2 /10+μ2


の線形な関係があることがわかります。


結果

 この関係をx軸をSAPIX込の偏差値h2、y軸をSAPIX抜きの偏差値h1としてプロットすると、傾きがσ2/σ1で、 (h0,h0)をとおる直線になります。ここで h0=50-10(μ2-μ1)/(σ21)です。SAPIXが難関校を目指す率の高い集団であるとすると、 μ2>μ1  σ2>σ1 と仮定することができます。すなわち、直線の傾きは1より大きく、h0は50より小さくなります。仮にμ2=52、μ1=50、σ2=12、σ1=10として、グラフにす ると下図のようになります。



中学受験をサポートしているつもりですが...

図からわかるように、h0より大きい上位層はSAPIX込のときと比較して、SAPIX抜きでは高偏差値となり、その差異は優秀なほど 大きくなります。一方、h0より小さい下位層はさらに低偏差値となってしまいます。

 ブログや掲示板などで、SAPIXが合不合を受けなくなったことにより、個人の偏差値が思っていたよりも高いとか、志望 校の80%偏差値が上昇したなどの記事がみられましたが、逆に低いとか下降したとの記事はあまり記憶にあり ません。これは、おそらく、 


 ・書込みする人は上位層が多い

 ・下位校は偏差値が公表されていない場合もある

 ・上昇するという先入観


などが影響しているのだと思われます。


注:

・母集団が変化するわけですから、偏差値は上下するのは当たり前です。80%偏差値などの基準も上下しますし、実力が変化するわけでもありませんので、この偏差値の上下を気にする必要はありません。

・テストの違いを考慮しなければ、学判と組分けと全国統一との関係にも応用できます。



四谷大塚の中学入試案内2012を入手しました。
合不合の受験者が減少したことから、中学入試結果グラフが公表されるか注目されましたが、若干、学校数は減っているものの、今年も掲載されています。女子校を中心にいくつか見た範囲では、SAPIXが抜けた影響は


・進学者/定員として計算した占有率が70%前後から40%前後に低下
・難関校の80%偏差値は+3程度増加、中位校は変化小


などであり、概ね予想されていたとおりの結果でした。


結果グラフから、2011年版のデータで計算したボーダーライン偏差値を計算してみたのですが、桜蔭、女子学院共に


 ボーダーライン偏差値≒50%偏差値


という結果(正確には+0.3)になり、2011年版での結論、


 ボーダーライン偏差値の目安=50%偏差値+1.5


とは異なった結果になっていまいました。その他の学校も概ね50%偏差値との差異が減少傾向にありました。この食い違いの原因としては、


 ・そもそも、ボーダーライン偏差値の推定の論理があやしい

 ・SAPIXが抜け、占有率が減った影響

 ・統計的にやむを得ない誤差


などが思いつきますが、主因は不明です。

ボーダーライン偏差値では合格か不合格が5分5分(=50%偏差値)というのは、直感的にはわかりやすいですが、2倍以上の倍率を考えると、もう少し大きめの数字がでてもいいのではないかと思います。


気は長いですが、2013年のデータを見てから再考したいと思います。

算数を子供に教えることはありませんが、たまに何を勉強しているのかと予習シリーズを見ています。


 第8回で消去算がでてきたとき、これは連立方程式そのままじゃないか、中学受験では方程式の使用は禁止(諸説あり)と聞いていたが、予シリにのっているくらいだから全然問題ないのだと早合点しました。ちなみに消去算の典型的な問題は下記のとおりです。


問1 りんご5個とみかん3個を買うと590円、りんご10個とみかん5個を買うと1150円でした。みかん一個はいくらでしょう


答 りんご1個を□円、みかん一個を△円とすると

    □×5+△×3=590     (1)
    □×10+△×5=1150   (2)

   上の式を2倍して、この式から下の式を引くと、

      □×10+△×6=1180
   -) □×10+△×5=1150
    ----------------

    △=30 円


まさに、中学校で習う連立1次方程式の解法(加減法)そのものです。

 ところが、第12回のつるかめ算の単元ではいわゆるつるかめ算の方法(一方に揃える、表にする、面積算など)で解いており、方程式的なやり方は使っていません。鶴亀算の典型的な問題は


問2 鶴と亀があわせて10匹います。足の数の合計は26本です。亀は何匹いますか。


です。この問題をなぜ、


 答 鶴が□匹、亀が△匹とします。

   □+△=10        (3)
   2×□+4×△=26   (4)

   上の式を2倍して下の式から引くと
   2×△=6、よって、△=3匹


と消去算で解いてはいけないのでしょうか?もちろん、中学受験で必須のつるかめ算の種々の解法を習得するという目的があるのでしょう。何かひっかかっていたところ、ふと、中学のときの先生の言葉を思い出しました。


 「単位が異なるものは足したり引いたりしてはいけません。」


消去算の(1)(2)式は共にお金の単位の等式です。従って、(1)を何倍化した後、引いても意味はとおります。しかし、つるかめ算の(3)式は匹数、(4)式は足の数に関する等式です。従って、(3)式と(4)式を引いてしまうと意味が通らなくなってしまうのです。


でも、中学の時はつるかめ算を連立方程式の解法(消去算)で形式的に解いているはずです。なぜ、これが許されるのか?


本当は(3)式を2倍ではなく、意識しているかどうかは別として、「2本/匹」倍しているのですね。この単位変換が小学5年生には難しいのでしょうか。


また、代入法であれば単位の問題は生じませんが、別の禁止事項、「移項」が必要になってしまいます。

まあ、5年生は中学受験算数に必要なツールを身につけていく時期ですので、いろいろなやり方を勉強していけばいいのでしょう。頭の体操という意味では、何でもかんでも方程式で解くよりは有意義な感じもします。

概要:
 例えば、組分け(5年第3回)の場合の総合(4教科)偏差値と各教科偏差値の関係は


  総合=0.49×算数+0.27×国語+0.18×理科+0.2×社会-7.7


はじめに:
 目標とする偏差値がある場合、総合偏差値だけで考えるより、これをブレークダウンして、教科毎の目標数字をたてたほうが、やるべきことが明確になるかもしれません。そこで、総合偏差値と各教科の偏差値の関係について調べてみました。


方法:
 偏差値の定義に基づき、各教科の偏差値と総合偏差値の関係を式で表すと下記のようになります。(高2のΣを覚えている方は拡大してチェックしてください)


中学受験をサポートしているつもりですが...-偏差値の合成


となります。言葉で書くと次のようになります。


  総合偏差値=各教科の標準偏差の和÷総合の標準偏差

               ×(各教科の偏差値の加重平均-50)+50
 
ここで、各教科の偏差値の加重平均とは各教科の偏差値を標準偏差で重みをつけて平均したものです。四谷のテストでは各教科、及び4教科総合の素点、平均点、偏差値が開示されます。標準偏差はこれらの値から偏差値の定義より逆算することができます。また、各教科の偏差値を変数とみなせば、総合偏差値を計算できることになります。


結果:
基本編
 直近の組分けと学判の推定標準偏差は下記の通りでした。


      総合 算数 国語 理科 社会
---------------------------------
 組分け  91   45  25  17   18
 学判    72   26  23  13   21


配点の比率が組分け、2:1.5:1:1、学判、1.5:1.5:1:1であることを考慮しても算数の標準偏差が大きいようです。なお、他の回も概ね似たような数字でした。

 このデータから、総合偏差値と各教科の偏差値の関係を


 総合偏差値=a×算数+b×国語+c×理科+d×社会+e

とあらわすと、各係数は


     a   b  c   d   e
--------------------------------------
組分け 0.49 0.27 0.18 0.20 -7.7
学判  0.37 0.32 0.19 0.30 -9.2


となります。例えば、組分けの総合偏差値を1上げるためには、算数だけがんばるのであれば、+2、理科だけだと+5、4教科均等だと+0.87上げることが目標となります。


応用編A
 4教科均等の場合の偏差値を推定する場合、各教科の標準偏差として、配点比で規格化した数字を使います。ただし、このとき、総合の標準偏差も補正する必要があります。正確な補正には情報が足りませんが、第1近似として総合の標準偏差σの2乗から増減した分の標準偏差の2乗を加減する程度が適当と思います。


応用編B
 総合の標準偏差と各教科の標準偏差の関係から各教科間の相関係数の平均に準じたもの(本当の相関係数ではありません。図の式を参照)を求めることができます。組分けと学判の場合、この値は概ね0.5~0.6であり、中程度の相関があることがわかりました。受験生全体でみると、科目間の差よりも、個人間の差のほうが大きいのでしょう。ちなみに週報で同様な計算をすると、この値は0.2程度と弱い相関になります。似たような成績を持つ集団の中では個人内の得意不得意の影響が大きくなるのと解釈できます。本番の入試の受験者集団は週報に近いと思われます。また、相関係数が小さいことは、科目毎偏差値の平均と総合偏差値の差が大きくなることを意味します。


補足:

 各回毎の偏差値のばらつきは大きいですから、あまり短期的に目標偏差値を掲げても意味はないと思います。むしろ、毎回の偏差値ばらつきがどの教科に起因しているかを見極めるのに偏差値の合成式を活用できればと思います。

 組分けの直前になると、理社の暗記モノに力を入れてしまいますが、むしろ、落ち着いて算数の試験を受けられるように、のんびり過ごしたほうがよいかもしれませんね。試す勇気はありませんが...



 個人の偏差値のデータから自己ばらつき(標準偏差)を精度良く算出することは

困難であることがわかったのですが、少し粘ってみます。


 ひとつの方法はデータの数を増やすことです。例えば、組分けであれば4年から

現在までで10回分、6年までならば19回のデータを揃えることができます。

 ただし、データが長期にわたるので、ばらつきだけではなく、成績の上昇や下降の

影響がデータに含まれるという問題があります。これを避けるためには、この上昇、

下降トレンドを移動平均や最小2乗法による近似曲線であらわし、元データからこの

近似曲線を引いた差分データに関し標準偏差を求める方法があります。

 この方法を用いると、確かに標準偏差の信頼性は上がるのですが、近似の精度を

あげるほど標準偏差が低下してしまい近似の加減が難しそうです。成績のトレンドが

明確な人にのみ適用可能かもしれません。


 個別の偏差値の自己ばらつきの精度は低くても、それらの平均(平均的な自己

偏差値ばらつき)はそこそこの精度で求まる可能性はあります。週報データから

優秀な方々の平均的な自己偏差値を計算すると2.5となりました。この値は以前

見積もった値、2~3の範囲内にあります。


 注)データ収集の方法からして、本見積もりは過小傾向にあると思われます。