概要:

 併願の目安は持ち偏差値と進学者平均偏差値の差が10以内


はじめに:

 持ち偏差値より四谷80%偏差値(Y80と略します)が低い学校を受験すれば、合格の確率は高まりますが、低ければ低いほどよいとういわけではありません。中学受験の意義として、子供の学力にあった授業を受けられるということを考えると、相対的に低すぎる学校に入学した場合、肝心の授業で退屈してしまう懸念があります。そこで、進学者偏差値を基に併願校の目安を考えてみました。


方法:
 四谷資料には合格者偏差値の他に、進学者偏差値の分布も開示されています。下図はいくつかの学校の進学者偏差値を高偏差値側からの累積分布として示したものです。データは合不合の受験者の多かった2010年受験のものであり、現在の偏差値よりは低めの数字になっています。また、複数回入試の学校に関しては、各回の結果を足しています(一部開示されていない回を除く)。



中学受験をサポートしているつもりですが...


学校によって、偏差値の分布は若干異なっていますが(細かくみると学校毎の特徴があります)、大雑把にいうと似たような分布になっています。各校の進学者偏差値の標準偏差を求めると3.2(JG)~4.7(立教女学院)となりました。ここでは進学者偏差値の標準偏差の代表値として4を用いることにします。
 母集団の中で上位何%が授業を退屈に思うかは、一概に言えませんが、学校で約1人(約0.5~0.6%)、すなわち、同程度の学力の子が少ないということを目安にすることにします。この数字は平均から標準偏差の2.5倍離れた偏差値に相当します。


  補足)偏差値重視の志望校選びというと、親の見栄が絡んだ嫌な感じがするものですが、授業内容との相性という意味では合理的なものです。第1~第2志望の場合、進学者平均偏差値くらいの持ち偏差値があれば無理がないと思います。


結果:
 上記より、進学者平均偏差値より4×2.5=10だけ上の持ち偏差値の場合、授業のレベルが子供の学力に合わない可能性が高くなります。逆にいうと、持ち偏差値と進学者平均偏差値の差が10以内である学校が併願校の目安になります。


応用:
 学校の偏差値として、Y80と進学者平均偏差値の2つの指標を用いるのは煩雑ですので、これらの偏差値の変換差を導入して、シンプルな形式にまとめてみます。以下、次回へ。

概要:
 四谷偏差値表から逆算した偏差値ばらつきは4.75


はじめに:
 四谷の偏差値表と持ち偏差値を基に受験校を検討する際に、持ち偏差値の平均だけではなく、ばらつきがわかれば確度が高くなると考え、全体の偏差値ばらつきや個々の偏差値ばらつきを計算してみたのですが、あまりうまくいきませんでした。本稿では、逆に四谷の偏差値表から、偏差値ばらつきをインプライド(?)に考えてみたいと思います。


計算方法:
 「合格可能性x(%)の偏差値がYx」というのはYxの平均持ち偏差値の人が100人いれば、x人が合格するということです。偏差値の分布関数をf(平均がYx、ばらつきがσで、zである確率がf)、ボーダーライン偏差値をBとすれば、


中学受験をサポートしているつもりですが...


となります。fを正規分布と仮定し、式を変形すると、



中学受験をサポートしているつもりですが...


の関係があることがわかります。すなわち、YxとBの差はσに比例し、その比例係数aは標準累積正規分布から求めることができます。


  補足)正規分布の累積分布関数の逆関数はexcelではnorminv(z,0,1)で求まります。


また、正規分布の対称性から、x=0.5であり、ただちにボーダーライン偏差値B=Y50であることが要請されます。


結果:
 さて、四谷大塚の偏差値表を見るとほとんどの学校でY50とY80の差が4であることがわかります。このことから、norminv(0.2,0,1)=-0.842を使うと、σは4.75と見積もられます。これまでの組分けなどからの検討の結果(あまり信用できるものではなかったですが...)と比較して、σ=475はかなり大きい感があります。15%の人が本番で偏差値換算で約5弱も実力を発揮できないというのは本当だとすると大変厳しいことです。

 見積もられたσが大きい原因として、
 ・正規分布の仮定(特に対称分布の仮定)の誤り
 ・持ち偏差値の平均値が誤差を含んでいること
の2つが考えられます。しかし、前者はY20とY50の差異もやはり4であることから、四谷の合格可能性判定を信じる限り、要因としては小さいと思われます。後者は4回程度の平均値ですから、統計的な誤差があることは以前書いたとおりです。従って、現時点での解釈としては、σが大きくなっているのは、持ち平均偏差値の不確定さをσに押し付けたためだと考えるのが妥当と思われます。この平均偏差値の統計誤差を少なくする手段がない以上、この大きめのσを受け入れるのが安全策となります。


使い方:
 上記σを用いると、持ち偏差値と受験校のY80の差異から合格可能性を下記のように推定することができます。(Y50で比較する場合は差異を4ずらしてください)


Y80と 合格
の差 可能性
11   99.9%
10   99.8%
9   99.7%
8   99.4%
7   99.0%
6   98.2%
5   97.1%
4   95.4%
3   93.0%
2   89.7%
1   85.4%
0   80.0%
-1   73.6%
-2   66.3%
-3   58.3%
-4   50.0%
-5   41.7%
-6   33.7%
-7   26.4%
-8   20.0%
-9   14.6%
-10   10.3%
-11   7.0%
-12   4.6%
-13   2.9%
-14   1.8%


併願校を考える場合、持ち偏差値との差が大きいほど合格可能性はあがりますが、+5の97.1%と+10の99.8%をほぼ100%と捉えるか、3/100と2/1000の不合格確率の差異(約10倍)と捉えるかは難しいところです。
 




概要:

 組分け、学判の偏差値分布は、正規分布と比較して、偏差値50~60で多く、偏差値65以上は少ない。


はじめに:

 80%偏差値や個人の成績の偏差値を相対順位(上位何%か)に変換して、学校の難易度や成績の立ち位置を確認することがあります。この際、集団としての成績分布が正規分布であることを仮定して計算をします。例えば、偏差値60は上位15.9%、偏差値70は上位2.3%などです。しかし、この仮定は素点に上限、下限があることからもわかるように誤ったものです。どの程度ずれているかを週報データをもとに計算してみました。


計算方法:

 週報の順位データを元に相対累積度数(相対順位)と偏差値の関係を計算します。一方、正規分布を仮定した場合の偏差値と相対順位の関係はExcelの関数normdistを用いて計算します。


結果:

 相対累積度数(相対順位)と偏差値の関係のうち、偏差値50以上の部分を下図に示しました。


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大ざっぱにいえば、実際のテストと正規分布を仮定した場合の相対順位の差異は大きくはありません。しかし、細かくみると、学判、組分け、いずれのテストも偏差値約63を境界として、それ以下の偏差値では正規分布よりも相対順位が大きく、それ以上では相対順位が小さくなっています。特に偏差値70では1%(学判)、0.5%(組分け)と正規分布の場合の半分以下の相対順位になっています。これは正規分布と比較して、実際の成績分布が尖っていないことを意味しています。


補足:

・上記結果は統計分布の違いが主因であり(全ての分布が正規分布になる理由はない)、決して、四谷の上位層が薄いことを意味しているわけではないと思います。(上位層の厚いSAPIXではどのような分布になるのでしょう?)

・偏差値30~45の相対順位は正規分布よりも小さくなっていました。

・正規分布との比較は専門的なプロットや、歪度、尖度などの指標を用いると定量化されます。

学判の点数、偏差値、志望校判定の結果がUPされています。

従来と異なり、季節講習の前の試験となったため、準備不足、あるいは、気合い不足の方もいらしたかもしれません。夏休みにしっかりと復習しようという動機づけのテストと位置づければよいのでしょうか。


ところで、学判では男女別の平均、偏差値が公表されています。全体の平均、標準偏差を週報から計算し、線形の式から男女別と全体の関係を調べてみました。結果は


  全体偏差値=男子偏差値×1.02-0.2

  全体偏差値=女子偏差値×0.98+0.5


であり、平均点から類推されるように、全体偏差値は概ね男子では上がり、女子では下がります。


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グラフからもわかるように全体偏差値と男女別偏差値の差異は偏差値が高いほど大きくなる傾向にあります。例えば女子の場合、女子偏差値30, 40, 50, 60, 70が全体偏差値29.8, 39.5, 49.3, 59.0, 68.8に相当します。


学判の出来と組分けの出来を比較するには、上式を用いて男女別偏差値を全体の偏差値に換算した後、学判と組分けの差異を考慮した補正をおこなう必要があります。ただし、後者は偏差値ヒストグラムをみると1~3程度と推定されますが、確度の高い数値を推定する術がありません。ということで、今回の結果もあまり役には立たなそうです。







はじめに:

 コース内偏差値と全体偏差値の関係の目安を調べてみました。あまり役に立たないので、没にしようと思いましたが...


方法:

 例として、第3回組分けのデータを用います。コース分けの基準点から、各コース内での平均点、標準偏差を計算します。これらと全体の平均点、標準偏差から、前回示した線形関係により偏差値の関係を導きます。


結果:

 コース内偏差値を横軸、全体偏差値を縦軸にとると下図のようになります。


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各直線の傾き、Y切片は以下のとおりです。


S C B A
傾き 0.21 0.22 0.28 0.52
切片 55.7 48.6 36.9 12.6

また、各コース内での偏差値50は下記の全体偏差値に相当します。


S C B A
全体偏差値 66.4 59.4 50.9 38.8

使い方: 
 上記の関係の本来の意味は「同じテストおける、コースに分けて計算した偏差値と全体の偏差値の関係」であり、正しい結果ですが、特に有益な情報が得られるわけではありません。

 週テストの偏差値を上記1次直線にあてはめて、組分けでの偏差値の目安が推定できれば、多少は役にたつかもしれません。しかし、この目安はあまり信頼できるものではないと思います。なぜなら、週コストと組分けテストでは問題の難易度が違い、それぞれの母集団内で点数差がでるようにつくられています。そのため、コース内での両者の得点分布は全く異なっています。本来、偏差値は同じ母集団内の異なるテスト間での比較を可能にするために用いられる指標ですが、分布の形があまりにも違う場合は有効ではないでしょう。従って、週テストの偏差値を用いての全体偏差値の推定の信頼度は低いと言わざるをえません。 コース内偏差値50と全体偏差値の対応くらいは使えるかもしれません。