はじめに

 ケアレスミスの背景として、点数に対する執着心が足りない、1点の重みがわかっていないということがあります。そこで、モデルを使って、1点の重みを計算してみました。


計算方法

 点数分布は標準偏差σの正規分布であると仮定します。この累積分布の平均点付近の傾きは1/((2π)1/2σ)と近似されます。図からわかるようにこの式は累積値が0.3~0.7の範囲にあるとき良い近似となります。多くの学校の実質倍率が2~3倍以内であることを考えると、合否境界あたりの点数の重みを考える場合はこの式で十分でしょう。


中学受験をサポートしているつもりですが...


 「a点の重み」を「点数がa点下がったときの受験生全体に対する順位低下の割合」として定義すると、、  


 a点の重み(%)=a/σ×40


となります。aとσは比のかたちで入りますから、素点ではなく、満点に対する割合と考えたほうが一般的になります。ちなみに、このときの偏差値の低下は  


 a点の重み(偏差値換算)=a/σ×10


となるので、


 a点の重み(%)=4×a点の重み(偏差値換算)


となります。簡単に言うと、偏差値が1下がると、順位が4%下がるということになります(偏差値が50±5くらいの場合)。


具体例

(1)組分け

 総合点の標準偏差/満点は15%前後のことが多いようです。算数の計算問題を1問(8点)ミスした場合、


  計算ミス1つの重み(%)=8/550/0.15×100=3.9%


となります。例えば、受験者が5000人とすると、195番下がると見積もられます。


(2)入試本番

 鴎友学園が入試での標準偏差を開示しており、10%前後の数字になっています。学力毎の試験である週テストの標準偏差も同程度であることから、実力が均衡した入試本番での標準偏差として10%を採用することにします。 募集定員200人、受験生600人として、400点満点のテストで6点の問題をケアレスミスで落とすと、


 ケアレスミス1つの重み(%)=6/400/0.1×100=6.0%


となり、順位が36番下がることになります。定員が200人であることを考えるとケアレスミスの重要性が実感できるのではないでしょうか。また、直感的にわかるように、標準偏差が小さいだけに、模試よりも入試本番のほうがケアレスミスの影響が大きくなることに心しましょう。

 課題克服のためには、まずは現状把握ということで、算数の5年上までのケアレスミスをカウントしていみました。ケアレスミスの範囲はなかなか難しいですが、

 

 ・解き方は合っているが、答えが違うもの


に加えて


 ・完全に理解している問題なのに、「うっかり」と何かをミスしてしまったもの

 ・普通に落ち着いて取り組めばできる問題


としました。なお、分類は


 立式(早合点、とばし、条件使用)
 計算(筆算、暗算、少数・分数、汚い字)
 解答(書き写し、単位、指定外)

としましたが、詳細は非開示です(というほどのものでもありませんが)。

 「計算と1行」とテスト(学判、組分け、週テスト)に分けて、ケアレスミス率をまとめると、次のようになりました。


        計算と1行  テスト
 4年上下    4.4%     3.2%
 5年上      9.8%    12.1%


薄々感じてはいたのですが、5年生になって、ケアレスミスが大幅に増加しています。この増加の中身をみると、


 計算と1行
  ・ミス増加の主因は小数、分数
  ・筆算、暗算のミスは減少
 テスト
  ・小数、分数のミスは少ない
  ・組分け、学判では立式段階での「とばし」がみられる
   (丁寧に考えていないということ)

  ・たまに原因不明の筆算ミスがある

  ・ミスが無い回と多い回がある


となっています。このことから、ケアレスミスの原因を下記のように推察しています。


 計算

  ・小数、分数に関しては経験を積むごとに良くはなっており、不慣れが主因

 立式、解答

  ・問題をじっくり読む、図を描く、問われていることを確認するなどの習慣が身についていない。

  ・速く解こうとして雑になっている


さて、サポートですが、純粋な計算ミスについてはしばらく静観することにします。計算問題集などを増やすまでもなく、計算と1行、学校のドリルなどで自然に演習量は増えるはずだからです。「丁寧に考える」についてはこれまで以上に口を酸っぱくして言おうと思っていましたが、既に「問題をちゃんと読む。さらにてってい!」と机の前に貼ってありました。



組分けはほぼ想定どおりで、長短所がそのままでている結果でした。

短所をなくしていくのは時間がかかりますが、じっくりサポートしていきたいと思っています。


さて、第5回組分けのコース分けの結果を集計してみました。



旧S 旧C 旧B 旧A
新S 66% 10% 0.4% 0.1%
新C' 34% 53% 10% 0.5%
新BA他 0.2% 37% 89% 99.5%


 表の見方は下記のとおりです。
・横が前回のコース(旧)、縦が今回のコース(新)です。
・例えば、旧Sの列と新Sの行のクロスしたところにある
66%は「前回Sだった人の66%が今回もSになった」ことを
意味し、いわばS残留率(キープ率)を示しています。

成績が落ち着いてきたのか、Sから週報圏外(新BA他)になるケースが非常に少なくなっています。また、旧C→新S、旧B→新C’にコースが上がるにはそれぞれのコースで上位10%程度に入ることが目安になることがわかります。逆にコースが下がってしまうのは概ね下位30~40%程度が目安です。従って、週テストの偏差値が50程度あれば、安心して組分けにのぞめることになります。


ところで、最近の成績上位者に占める女子の割合が漸減傾向にあります。第5回の場合、全体における女子率は47%ですが、Sコースでは32%にすぎません。このあと、算数がますます難しくなるにつれて、このSコース女子率がどう推移するかは、受験とは全く関係ありませんが、興味深いです。

(四谷の組分けが算数偏重であり、一般論として算数が得意な子に男子が多いということを反映しているだけで、言うまでもありませんが、男女の学力の差を示すものではありません。)


p.s. 第4回の結果が若干間違えていたので、コメント欄で修正しました。

 週テストの日になって、はじめて予習シリーズを読んで、教え方が違うと混乱していたらしい。どうも、私の教え方は忘れることにしたようだ。週テストの最後の問題(並列と見抜きにくい並列つなぎ)などは電圧の考え方を使えば簡単にできるのに...


(1)図はネットでみつけた電圧による考え方が便利な例です。

 直列でも並列でもありませんが、各豆電球の両端にかかる電圧を求めれば、電流が容易に求まります。


中学受験をサポートしているつもりですが...

(2)エネルギーの保存

 前回、エネルギーの保存について書きましたが、「保存」というのはあまり適切な言葉ではありませんでした。「変換」のほうがよいかもしれません。また、豆電球の明るさ、電池のもちは理想的には(発熱などを無視すれば)、電力(ワット数)に比例することを付記しておきます。


 理科(物理分野)の場合、多少混乱しても、いろいろな考え方を知っておいた方がよいと思います。次の電気の単元までは十分に時間もあるので、気長に待つことにします。

 一方、算数で予習シリーズや塾の先生と違うやり方を教えるのは毎週の積み重ねが重要な科目なので、リスクが大きすぎます。


理科の授業を受けてきた子供曰く、「豆電球は難しくて、ややこしい。テストは半分くらいかも...」。やはり、「サポートしているつもり」で、あまり役にはたっていなかったようです。


以下の補足は、電気や豆電球が大好きなお子さん向けです。


(1)電圧による考え方が便利な例

 例えば、下図のような回路の場合、豆電球A、Bはつきますが、豆電球Cはつきません。電圧の基本から、豆電球Cの両端の電圧を考えれば、すぐに電流が流れないことがわかります。


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(2)ショート
 電池に配線だけがつながっており、豆電球がない場合、ショートして大電流が流れます。
これを電圧で説明すると困ったことになります。すなわち、-側の電圧0と+側の電圧1が切り替わるところが存在しなくなってしまいます(左下図)。
この場合、普通は無視している配線の抵抗や電池の内部抵抗を考え、右下図のような回路を考える必要があります。すなわち、この配線の抵抗(または電池の内部抵抗)で電気が使われ、この抵抗が豆電球の抵抗より小さいために、大電流が流れるわけです。
なお、何か(ここでは配線の抵抗や電池の内部抵抗)を無視してよいのは、それが、他の何か(ここでは豆電球の抵抗)と比較して十分小さいときだけであるというのはとても重要なことです。ショートのように他の何かがない場合は例え小さいものでもちゃんと考えにいれなくてはいけません。


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(3)配線に電流が流れない?
 基本の回路の配線上のA点とB点を考えます。電気の基本によると、電流は2つの点の間の電圧差に比例します。しかし、A点とB点の電圧は等しいですから、電圧差は0である、電流は流れないことになってしまいます。
電流は一方で、AB間の抵抗に反比例します。この2つを同時に書くと、電流は0/0に比例することになり、計算できなくなってしまいます。この場合、配線に少し抵抗があって、その分電圧差が少しあるために、結果として豆電球と同じ電流がAB間にも流れると考えてください(厳密に言うと、その少しの抵抗のため、全体の電流は小さくなります)

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(4)エネルギーの保存
 豆電球が光るのは電池のエネルギーが使われるからというのは、小学生でも直感的にわかると思います。ここでは、電池と豆電球の直列、並列つなぎの組み合わせでこの変換の保存則がなりたっているかを確認してみます。

 下表は 各接続で、豆電球、及び、電池に流れる電流を示したものです。以前示したものと異なるのは、豆電球や電池が2個の場合は1+1のように和の形式で表したことです。


中学受験をサポートしているつもりですが...

 最も簡単な電池1個、豆電球1個の場合、電池での電流がそのまま、豆電球での電流になっています。豆電球2個並列、電池1個の場合、電池の電流2が豆電球2個で1づつ使われており、電池と豆電球での電流の総和は等しくなっています。しかし、豆電球2個直列、電池1個の場合、電池の電流1/2が豆電球2個で1/2使われていることになり電流の総和が等しくなりません。同様に豆電球、電池のいずれか一方が直列の場合に電流の保存が成り立ちません。

 これは言うまでもなく、保存されるのが電流ではなく、エネルギー(ワット数)だからです。

下表は電流をワットで置き換えたものです。置き換えはエネルギー=電流×電圧=電流×電流×抵抗と電池では電圧が一定、豆電球では抵抗が一定であることを用いています。


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これで、全ての組み合わせで、
 電池での電力の和=豆電球での電力の和
となります。

 しかし、これらの電力の数字が試験問題にでる可能性はほとんどありません。なぜならば、明るさが電力に比例するのはあくまでも理想的な場合であり、豆電球では無視できない量のエネルギーが明るさではなく、熱として消費されてしまうからです。実際、予習シリーズの6年上には「電球の明るさは電流やワット数が大きいと大きくなるが、比例するわけではない」とはっきりと書かれています。