2005年頃の記事で、
進化論の教え方をめぐる小競り合いが、
全米で繰り広げられていたことを
紹介されていました。

今では考えられない、こんな内容でした。
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進化論反対論者が、
理科の授業で宗教的な見方も
進化論と同等に取り上げさせようと
していました。

反対論者を力づけていたのが、
進化論に対する科学的反証があると
言い立てる“科学者”たちでした。
(そんな反証などありはしないのですが)


彼らと徒党を組んでいた
「インテリジェント・デザイン」の一派の主張は、
完全に知的降伏状態でした。

彼らによると、
地球上の生命はあまりに複雑なので、
超越的な知性が創造に関与したと考える以外に
説明がつかないという主張でした。
(もっとも彼らは、
誰もが知っているあのお方のことを
デザイナーとは呼んでいませんでした。

あのお方が誰かはご承知の通りです。
ヒンドゥー教の創造神ブラフマーのことは、
考えにはなかったようです)


そんな小競り合いの1つが、
アメリカ・ジョージア州コブ郡で起きていました。

アトランタの連邦判事は、
米国の生物の教科書が次のような
警告ステッカーを引き続き
表示すべきかどうかについて
頭を悩ませていました。

いわく、
「この教科書は進化に関する
 題材を含んでいます。
 進化というのは生物の起源に関する理論であり、
 事実ではありません。
 偏見にとらわれずに接し、
 注意深く勉強し批判的に検討すべきです」


この最後の一文は、
ありとあらゆる教科書
(と、おそらくほかの一部の本)
に貼り付けるべきでしょう。

あるいはこの注意書きを書き直し、
もっと正確を期してもいいです。

こんな具合にです。

「変異と自然淘汰の組み合わせは、
 進化を説明するのに
 最も広く受け入れられた理論です。
 進化自体の証拠は膨大で、
 その現実を否定する人々は、
 非科学的な主張を持ち出すしかありません。
 彼らがそうした見解を持つ権利は
 完全に保証されていますが、
 それをこの授業で科学として
 教えるのはまるっきり不可能です」


しかし、
そのほかの科学の授業にだって
いちゃもんをつけられる題材は
いくらでもあるのに、
なぜ進化論だけが槍玉にあがるのでしょう?

他の教科書にもコブ郡式のテッカーを
貼ることを提案したいです。


以下にいくつか案をあげておきます。

「宇宙論序説」のステッカー:
 天文学者は宇宙の年齢を
 約140億年と推定しています。
 地球の年齢が
 ほんの6000歳だと信じるがゆえに
 進化論がお気に召さないなら、
 天文学には耳から煙が
 噴き出ちゃうことでしょう。
 望遠鏡の隣には消火器が用意されています。


「現代地理」のステッカー:
 地球が平らだと信じている人々もいます。
 おそらく、
 ビーチボールの上を歩いているアリも、
 自分がいる場所は平らだと
 思っていることでしょう。
 ともかくこの本は、
 地球がちょっと潰れた球形だと述べています。
 では地図でモルドパを見つけてみましょう。


「地学」のステッカー:
 この授業において、
 憲法修正第1条で保障された権利
 (注:表現・宗教の自由)を行使し、
 すべての地層の形成年代を6000年前と
 考えるのはあなたの自由です。
 そしてあなたを落第させるのは、
 私たちの自由です。


「大学生の化学」のステッカー:
 電子は、
 惑星が太陽の周囲を回っているように
 原子核のまわりを飛ぶ、
 小さなボールベアリングのようなものです。
 違うのは電子が実際には波、
 しかも本当は確率の波だということです。
 でもあなたのMP3プレ―ヤーを
 作動させるのも電子です。
 いや、マジメな話です。


「わたしたちの太陽系」のステッカー:
 惑星が太陽のまわりを回るように、
 電子は原子核のまわりを飛んでいると
 化学の授業で習ったのを覚えていますか?
 中には太陽やほかの惑星が
 地球のまわりを回っていると
 考える人々もいますが、
 惑星全部に太陽のまわりを回らせたほうが、
 計算はずっと楽です。
 信用なさい。


「新入生のための物理学」のステッカー:
 この本に書かれていることの多くは間違いです。
 もし運が良ければ、
 いずれ、
 もっと多くが間違いだったとわかるでしょう。
 ただし、
 それほどトンチンカンな間違いはしていません。
 ここまで来るにも、
 何人かの真の天才を必要としました。
 何もなかったよりはずっとましです。


「サルでもわかる天地創造説」のステッカー:
 宗教的信念は信仰を基盤としています。
 ですから、
 自らの信仰に基づく信念を裏付ける
 経験的証拠を追求するのはよくて的外れ、
 悪くすると罰当たりとさえみなされかねません。


「現代光学」のステッカー:
 注意!
 鏡の中の暗黒時代の到来は
 意外と近いかもしれません。

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たかだか20年程前のアメリカでは、
そんな注意書きが教科書に貼ってあったんですね。

判決は、
インテリジェント・デザインは
学校で教えるべき科学的妥当性がない。

というものでステッカーは除かれました。

個人的に信じているのはかまいませんけど、
教科書にあの注意文を貼るのは
ありえないでしょ!😱