電子回路設計者として37年間の試行錯誤で得た
様々な経験や出来事を思い出しています。


電子回路は、
電流が流れることで動作します。

電流はエネルギーとして消費されます。
どのように消費されるかというと、
熱になったり、電磁波になったりです。

回路設計の際には、
この消費する量を減らす事も考えます。


熱量を減らす目的は、
人が触っても火傷しない程度の温度上昇値に
製品の自己発熱量を抑えることと、
電子部品が熱で誤動作しないことです。




電磁波対策の目的は、
製品が放射する電磁波が、近傍の電子機器を
誤動作させないことです。

特殊な場合として、船舶で使用される場合に、
船舶無線に雑音を入れないこともあります。






熱対策の方法は、
回路の動作スピードを遅くすることや、
放熱性に優れた材料を発熱箇所に密着させること
です。

回路の動作スピードを遅くすると、
何故熱が出難いかというと、

発熱量は、電流が流れた量に比例するため、
動作スピードを遅くすれば、
一定時間内の電流量を減らせ、
一定時間内の発熱量も減るからです。


電磁波対策の方法は、
簡単な方法としては、電磁波吸収シートで製品を
包んでしまう事ですが、特殊な材料を使用していて
高価なので、一般的ではありません。

現実的にはコストを考慮し、回路を工夫します。

電磁波は、電流の流れが、加速/減速する時に
発生しますので、電流を、急加速/急ブレーキ
させない回路を組みます。

具体的には、電流が頻繁に加減速するデバイスの
電源端子近傍に、セラミックコンデンサを繋ぎ、
電流をそこから出し入れさせます。

電流の流れる距離が最小化しますので、
電磁波も出難くなります。


回路を穏やかに動作させることで、
騒がしい電波を減らすことが出来ます。
まるで、エコ運転の車みたいです(笑)