あの人はさざ波のような人でした…
  
  
寄せては返す波のように気紛れな、あの人の心に
砂のように脆い私の心は掠め取られ

足元の砂をとられてしまえば
真っすぐに立つこともままならず

不安定な状態はやがてバランスを崩して倒れこむ

けれど倒れた先に
あの人の姿はなく
すがりつくものもなければ立ち上がる力もなく

このまま満ち潮になって
あの人にのみこまれてしまえばいいのにと
そんな考えが渦を巻いて

とうに立ち上がることを諦めた私は
引いていく波を見つめながら

次の満ち潮はいつかと
そればかりを待ち望み

やがて砂にのまれた両足は朽ちて
もう、自力ではどうにもならなくなるのです

そうなる前に
海の一部となって
あの人にのまれてしまいたい

そんな風にさえ考えてしまうのです

いつの日か
両足で立ち上がれる日がくることを願って

今日もまた
引いていく波を
ただ見つめるしかできないのでした

  
   
夜空に輝く花火
漆黒の闇に咲く大輪の花はとても綺麗で
 
一緒に見るはずだったそれは
ほんの一瞬の輝きで人々を魅了する
  
花火の輝きはまるで
恋愛のそれのようで
一瞬の輝きはじきに終わってしまう

浴衣に身を包み
手を握り合って寄り添うカップル
親子や夫婦、友達
  
色々な人々の目に映るその輝きは
どう見えているのか…
 
約束していた花火大会も
もう何の魅力もなく
今年の夏
花火と共に散った恋はどこの空へと消えたのか
    
儚いもののなんと美しいことか
けれど
その儚さを知りたくは無かった…
  
夜空に輝く大輪の花
時に美しく 時に儚く
人々の心を魅了する
 
どこまでも広がる空の下
見つめる先が同じものでありますように
  
願わくば
来年、あの人と寄り添って見ていたい…
  
人は言うの
『他にもいい男はいるよ』
分かってる、いい男はたくさんいるよ
  
人は言うの
『時間が解決してくれるよ』
分かってる、時の流れって凄いよね
 
人は言うの
『運命の人じゃなかったんだよ』
分かってる、相性がよくなかったことくらい

   
人が言うどれもが月並みで
でも、正論で
 
頭では分かってる
でも、心が追いついていかない
  
もし、自分が第三者なら
同じことを言ったでしょうけれど
 
分かってるんだよ
ちゃんと分かってる
  
でもね、
分かっててもどうしようもないことって
あるでしょう?
  
否定的な意見を聞けば聞くほど
心は折れて
でも、頑なになって
  
分かってるのは
どんなにあの人を好きかってこと
  
嫌なところもすべて受け入れてるんだから
今更何を言っても
もう遅いでしょう?
  
分かってるんだよ
もう、戻れないこと
 
分かってるの
もう、いくところまで
いくしかないってこと
  
大丈夫、あの人に迷惑はかけないから
分かってるの
できることなんて、たかが知れてる
 
伝えるは、この想い
願わくば、あの人の元へ…