英語漬けの環境を
定期的に作っていても、
思うようにアウトプットが
出ないケースを数回に分けて書いています。
今回は3番目のケース、
情意フィルターができてしまっている
といった場合について
考えてみたいと思います。
に関しては
3歳以降に特に多く
見られるように思います。
日本語も上手になり、
普段 使わない音や言葉に対して
心地の悪さを感じるのも
理解できますよね。
そういった場合は、
とにかく英語に対する苦手意識や壁を
取り払うことが大切になってきます。
情意フィルターとは、
Stephen Krashenという言語学者が
80年代に唱えた理論で、
簡単に言うと、
学習者には見えないフィルターがあり、
不安、モチベーションや自信の低下など
ネガティブな感情になると、
そのフィルターが上がり、
言語学習を妨げるというという
考え方です(Lightbown & Spada, 2000)。
つまり英語に対して、
いったん壁ができてしまえば、
いくらインプットを与えたとしても
子どもがインプット要素に
気付く可能性も減り、
習得に なかなか繋がらない場合もあるのです。
この点が
思春期以降の学習者と
大きく違う点ですよね。
思春期以降の学習者は、
たとえ、情意フィルターが高かったとしても
成績、ピアプレッシャー(仲間同士からの圧力)、
収入、憧れ、出世、
そういった外的要因が
動機となり、自ら進んで
お金と労力を投資し、
ターゲット言語を
習得しようとしますよね(Norton, 1995)。
でも幼児は違います。
苦手意識が生まれてしまえば
そこで心に壁を作ってしまいます。
だから
インプットの効果を最大限に
上げるためにも、
苦手意識を取り払う。
それには、と
でも書いたように
インプットは
理解可能なレベルであることが重要。
子どもの
「分からない」
「何を言っているのだろう」
「何て言っていいのか分からない」
をまず無くしてあげるのが大切です。
でも これって頭では分かっていても
実践するのは 難しい。
わたしが講師としてのトレーニングを受けた
子どもの情意フィルターを下げ、
不必要なティーチャートークはせず、
子どもが理解できるインプットを提供する
これを徹底して訓練させられました。
そして訓練を受けたあとに感じるのは、
教育現場でこの部分を
実践している先生は
多くないということ。
日本では
英語ネイティヴであれば、
訓練すら受けなくても
英語を教えるポストに
つける場合もまだまだ多いですね。
もちろん、
先生が豊富な語彙や表現を使い、
流暢に話しかける環境でも
英語を習得し、発話に繋がる子も
中にはいます。
でも そうでない子もいます。
なので、イマージョンの環境に
子どもを置いていて、
発話がない場合は、
もしかしたら、子どもが
英語に対して
苦手意識を感じているか、
壁を作っている可能性を
考えた方がいいかもしれません。
そういう場合は、
教室側と相談してみるのも一つだし、
苦手意識を感じさせない先生を
探すことも一つの方法じゃないでしょうか。
もし、
今の教室を変えたくない
・・・という場合は、
レッスン時間を
効果的なものにするために、
家でのサポートが必要となります。
たとえば・・・
教室でやった内容を家でも復習し、
子どもが言えるように練習する
そのためには、
出された宿題をやるだけでなく、
担当の先生に
どういったことを家庭ですればいいかを
聞くのもいいと思います。
どのような表現を
レッスン中に先生がよく使っているか
というのも聞いてもいいかもしれません。
その上でレッスンに参加すれば、
インプットは理解できるレベルになり、
より効果的に
吸収されやすくなるのではないでしょうか。
いずれにしても、
英語漬けの環境に長く通わせているのに
発話が出ない場合は、
何かが上手く作用していない印。
その状況から脱するためには、
先生が英語ネイティヴであることだけを
重視するのではなく、
講師の質
子どもの発話
子どもが楽しんでいるか
レッスン内容
そういった点を包括的に見て、
決めることが必要になると思います。
【参考文献】
・Lightbown, P.M. & Spada, N. (2000) How Languages are Learned. New York: Oxford Press.
・Norton Peirce,B. (1995) Social identity, investment, and language learning. TESOL Quarterly, 29 (1), 17.