英語のプリスクールに通わせていたり、
イマージョン(ターゲット言語に囲まれた状態)
の英会話スクールに通わせていたりと、
英語漬けの環境を
定期的に作っていても、
英語の発話がない
英語力が付いているのか分からない
そんなケースをたまに耳にします。
(この記事は、未就学児のケースに限定して書いています。インター系小学校に通えば英語での教育が始まるので、状況は変わると思います)
どうしてそのようなことが起こるのでしょうか?
考えられる理由としては
インプットの量と質のバランスが
取れていない
発話を促す機会が足りていない
情意フィルターができてしまっている
などなど、他にも
さまざまな要素があると思いますが
特に上の3点は
子どもの発話に大きく影響する要素じゃないでしょうか。
まずは について。
イマージョンの英語スクールや
英語幼稚園(あるいはバイリンガル幼稚園)では、
英語ネイティヴの先生がメインで
教えている場合が多いかと思います。
それならば「インプットの質的に良いのでは?」
とも思うかもしれません。
もちろん、英語力が既に
ある程度ついている子ども、
あるいは
家庭で英語に触れている子どもにとっては、
英語ネイティヴの先生による
流暢な語りかけや
豊富な語彙や表現を含んだ
レッスンは とても効果的。
なぜ、普段から英語に触れている子には
効果的なのかというと、
ある程度 英語の土台ができていると、
普段 繰り返し耳にしてしている言葉を
アウトプットしたり、
何となく理解していた語句を
色んな場面で、違う文構造で
耳にしたりすることで、
インプットの文法要素に気が付くことができる。
そして それが習得に繋がるからです。
でも家庭内で
日本語にしか触れていない場合、
あるいは、英語の基礎力が
ほとんどない場合、
まずは、英語の土台(語彙や表現)を
作らなくてはいけない。
そんな時期に
簡潔で分かり易い語りかけを
するのではなく、
より自然で流暢な語りかけをするのは、
子どもによっては
インプットとしては難しすぎて、
効果が薄れる場合があります。
『インプットって何?』という記事でも
書きましたが、
習得されやすいインプットというのは、
- 理解可能であること
- 繰り返し与えられること
- 学習者がインプットに気づくこと
といった点が重要となります。
(関連記事『インプットって何?』)
言語学者のKrashen氏によると、
理解できないインプットは
雑音でしかなく、言語習得には繋がらない
(Krashen, S. D. (1982). Principles and practice in second language acquisition. Oxford: Pergamon.)
つまり、先生がいくら流暢な英語で
話しかけたとしても、
それが理解されなければ、
インプットとしての効果がない
ということになります。
では「インプットの量」の面で考えると
どうでしょうか?
インプットの質が難しすぎても
量が十分に足りていれば
習得には繋がるのでしょうか?
たとえば、
英語漬けの環境に
週4・5回、朝9時から午後2時まで
子どもを通わせたとします。
インターのプリスクール・キンダーガーテンは
これに当たりますよね。
量的にこのくらいあれば、
ある程度は自然に
話せるようになると思います。
でも これが それ以下の量だったり、
・
のような要素が強すぎた場合
週4・5回ペースで通っていたとしても、
発話に繋がらないケースもあるのかな、と。
たとえば、参加時期が
3歳以降の場合、
既に日本語が心地よい言語として
発達していて、
知らない言語・音に対する
心の壁(情意フィルター)が
できてしまっているとしたら、
英語漬けの環境に
定期的に通わせたとしても
インプットが効果的に入っていかない
ということも考えられます。
つまり英語を「心地よくない」と
感じてしまっている場合は、
いくら英語漬けの環境にいても
音自体をシャットアウトしてしまうことも
起こり得るということ。
じゃあ、そういった場合は
どうしたらいいか?
というのを・
を踏まえて
次回の記事で考えてみたいと思います。