『ペラペラな親ほど早期英語教育に"冷淡": 英語がダメな親ほど超必死?!』
だいぶ前にインターネット上に出た記事です。
タイトルを見て、正直とても驚きました![]()
わたしもこの記事に関して
いくつか質問に答え、
回答に、娘へのバイリンガル育児の経験と
バイリンガル教育に関する見解を述べたのですが、
記事の内容は、想像していたものと かなり違うものだったからです。
回答した部分がところどころに一部分だけ
抜粋され、記事にまとめられていたため、
結果的に、わたしの意見は
「早期英語教育に反対」という主張の
サポートに含まれてしまったようです ![]()
筆者が言うには、
自身が日英バイリンガルの親は、
自分の子どもの英語教育に対して冷静とのこと。
理由としては、
教えても子どもは成長過程で英語をすぐ忘れてしまう
日本語も英語もダブルリミテッドになってしまう
本人がやる気になれば英語は習得できる
英語を話す仕事は人工知能にとって代わられる
マルチリンガルよりもマルチカルチュアルにしたい
ということだそうです。
わたしが回答に書いたのは、
子どもの言語成長に合ったインプットを与える必要がある。インタラクションのないインプットは、子どもがインプットの要素に気が付かなければ(noticing)、習得に繋がらない可能性もある。
言語はアイデンティティ形成にも深く関係しているため、言語面だけでなく、子どものアイデンティティも考慮して取組みをする必要がある
母語である日本語に触れさせず、どちらかの言語に偏りすぎた場合は、ダブルリミテッドになる可能性もあるため、両言語のバランスを見ながら取組みを進める必要がある
早期英語教育を取り入れるのか、それとも母語が確立してから英語を入れるかは、子どもが置かれている環境や、その子の性質を見て親が決めるといい
・・・というポイント。
つまり、バイリンガル教育は、
子どもの言語成長に合ったインプットを与え、
母語を大事にしつつ、
子どものアイデンティティも考慮しながら
工夫して進めることが求められる
というようなことを回答したのですが、
少し前にテレビで話題になった林先生と同様、
早期英語教育における注意点という論点が、
英語ができる親 vs. 英語ができない親
という論点に替わってしまっていて
読み手に偏った解釈を与えかねないと感じました。
ここで重要なのは、
早期英語教育において
どんな注意点が考えられるか
ということであって
「英語ができる親はこうである」
「英語ができない親はこうである」
と極端に一般化することも出来ないし、
両者を比較する必要性もないからです。
早期英語教育の利点は、
英語への心の壁を低くし、
英語を「勉強」ではなく、「言語」として
意味のある言葉として捉えやすい点。
『6歳からのバイリンガル育児:目指す英語力は?』にも書きましたが、
どのような英語力を目指すかによっても
早期英語教育の必要の要否は
家庭それぞれで考え方が異なります。
BICS(日常会話で使う能力)を重視するのか、
CALP(論理的な思考力)を重視するのか、
それとも両方を重視するのか
それによって、
早期英語教育に求めること、
必要なことは変わってくると感じます。
『早期英語教育』と言う言葉を記事内で何度か使っていますが、
個人的には、
5歳までのバイリンガル育児は
教育的要素は ほとんどなく、
日々の生活で子どもと向き合う時間に
英語という要素が少し加わる・・・
そちらの方が大きいと思っています![]()
もちろん、6歳以降もそれは変わりませんが、
徐々に教育的要素も入ってくるのかな と。
ただ、筆者が記事で述べているように、
「日本で育つ子どもに対し、日本語と同じぐらいの分量の英語を使う環境を作ることは、非常に難しい」
という点は わたしも部分的に同意見です。
「日本語と同じくらいの分量」にする必要はないですが、
『4〜5歳のバイリンガル育児』で書いたように
「母語あるいは第一言語が日本語」という環境では、
日々の英語の環境は
意図的に整える必要があると感じます。
英語に意味を持たせることは
日本という環境では大変なことだし、
だからこそ親の工夫が必要になるのだと思います。