WordPressの方では繰り返し
書いてきた内容ですが、
こちらでも英語における
言語習得の順序について
整理して書いてみたいと思います
言語習得理論でよく言われるのが、
習得順序にはパターンがあり、
多くの場合はこのパターンに沿って習得していくということ
Developmental Sequences(発達順序)と言われています。
つまり、三人称単数の-s、進行形の-ingなどの
文法要素は段階を踏んで習得していくということ。
そしてこういった表現の習得は、
子どもの認知能力の発達とも大きく関わっていると言われています。
例えば、2、3歳で”in the morning“や”two years ago" などの表現を使っていても、
時間の概念は理解していないこともあり、
完全には習得しているとは限らない ということ。
下で書く習得順序は、
英語を母語としている子のもの。
でも興味深いのが
他言語を母語とする子どもが
英語を学習した際の言語発達を
研究した結果、
言語背景が異なる学習者同士でも
習得順序は似ているということが分かったそうです
そのため、下の順序と同じような
言語成長を辿らなくても、
バイリンガル育児をしている家庭は
ある程度 参考になるのではないかと思います
習得順序を大きく3つに分けて考えると分かり易いようです。
文法要素
質問文
否定文
今日は 文法要素について。
下が、Grammatical morphemes(文法的に意味を持つ最小の単位)の発達順序です。
- 現在進行形の -ing(Mommy running)
- 複数形の -s(two books)
- 過去形の不規則変化(Baby went)
- 所有格の ‘s(Daddy‘s hat)
- 連結動詞(Annie is a nice girl)
- 冠詞 the/a
- 過去形の規則変化 -ed(She walked)
- 三人称単数 -s(She runs)
- 助動詞(He is coming)
(Lightbown, P.M. & Spada, N. (2000) How Languages are Learned. New York: Oxford Press)
こういった順序を踏んで
言語を習得していくということが分かれば、
子どもが間違った表現をしていても
「あれ、また間違えてる」と思うのではなく、
「言語成長の過程なんだな」
と思うことができると思います。
たとえば 子どもが
"I goed to school yesterday."
と言ったとします。
これは単純に「間違い」なだけではなく、
規則動詞の -edを習得したサインでもあるのです
それを不規則動詞の go に当てはめただけ。
この間違いは、それまで "went"を使えていたとしても、起こることがあります。
立派な言語成長の証です
これは英語ネイティヴの子もよくする間違いなのです。
興味深いのが ③過去形の不規則変化(went/ brought)の習得。
⑦の過去形の規則変化よりも 習得段階が前です。
これは、子どもの認知能力に関係すると考えられます。
年齢が低ければ、「過去のことだから、動詞の活用を変化させる」とは考えていません。
つまり、"go" と"went" を、現在形と過去形として捉えているわけではなく、
「りんご」と「オレンジ」のように別の物として捉えている可能性があります
だから、音として覚えやすい不規則変化の習得が前に来ているのかもしれませんね
そして ⑤や⑨の be動詞や助動詞の習得。
習得順序としては 後の方に来ていますね。
大人の学習者でも話していて抜かす方が少なくないですが、
それだけ習得に時間がかかるということですね
このように、言語使用における間違いは
習得の過程を表す大切なサイン
そうやって子どもの言語成長を
客観的に観察できるようになれば
バイリンガル育児も より楽しめる気がします
『言語習得の順序②:質問文』につづく