NISA口座の相続~売却したらどうなる? | 「儲け」のためにできること

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2024年 新NISAがスタートしました。

日本の投資元年、などと呼ばれることもあり、

投資への関心が高まっている方も多いのではないでしょうか。

昨年お父様の相続を経験されたB子さんから、こんな質問をいただきました。
「お父さんがNISA口座で所有していた株を、私が相続しました。
近々この株をすべて売却しようと思っていますが、
父が通常口座で管理していたものと、NISA口座で管理していたものでは、

何か違いはあるのでしょうか」


まず、NISA口座はその方が亡くなると終了となり、

相続により取得した株式を相続人のNISA口座に移行することはできません。

(B子さんのNISA口座に入れることはできません。)

また、そもそものお話ですが
株や不動産は、買った時の金額より売った時の金額が値上がっていれば

(利益が出れば)所得税や住民税がかかります。


通常口座で所有していた株式とNISA口座で所有していた株式との違いは、
その買った時の金額(取得費) にあります。


取得費がどう変わるのか、具体例をざっくり紹介します。
①お父さんは平成30年9月1日に○○物産の株式を1株2,000円で1,000株購入しました

(全部で2,000,000円)
②2024年2月1日にお父さんが亡くなりました。
③2024年2月1日の○○物産の株価(※)は、

直前の1月に不祥事が発覚したこともあり1,000円と暴落していました。
※株価評価額の詳細は割愛します。


 

さて、数年後○○物産の信頼も回復し、

株価が2,000円に戻ったところで売却した場合、

税金の計算はどうなるでしょう?
買った時の金額(取得費)より売った時の金額が上がっていて、

利益が出れば税金がかかることになりますね。


通常口座で所有していたものを相続した時の取得費】
取得費(買った時の金額)は、

お父さんが購入した時の株価“2,000円”で計算します。
B子さんが1株2,000円で○○物産の株1,000株を全部売却すると、

2,000,000円-2,000,000円=0円で利益はゼロとなり、

税金はかかりません。


NISA口座で所有していたものを相続した時の取得費】
取得費(買った時の金額)は、お父さんが亡くなった日の株価“1,000円”になります。
この株を1株2,000円で売却するので、
2,000,000円-1,000,000円=1,000,000円と

利益が100万円出ることになり、この100万円に税金がかかります。

株価は、お父さんが購入した時の2,000円に戻っただけなのに、税金がかかる結果となるのです。


他にも、売却損が出た時に特定口座など他の通常口座の売却益と損益通算ができない・・・など、

違いはいくつかあります。


ただ、NISAは長期運用で利益を出すことを目的とする方が多いとすれば、

個人的には通常口座とNISA口座では取り扱いが少し違うんだ・・・

と頭の片隅を置いておけばよいかなと思いますし、

せっかくの非課税恒久化ですから、運用と並行して数十年後の出口戦略をあれこれ考えてみるのも、

おもしろいかなと思っています。

 

担当:丹下 優子