日本は国民健康保険や社会保険組合等健康保険制度があり、原則は皆公的保険に加入している事になっていますから、一般的な治療費や手術に関しての医療費負担は欧米などの諸外国に比べるとそれほど高くはありません。
それでも毎月の保険料負担と、治療する度に医療費の3割を自己負担するのですから、少しでも負担を軽くするのには、税制度や公的保険制度をよく知る事がとても重要です。
年末調整や確定申告により税金の払い過ぎによる還付請求を行う、所得税の医療費控除。
公的保険制度による入院や手術に伴う高額な医療費負担を、所得に応じて1か月あたり一定以上の自己負担額が還付される高額療養費制度。
入院・手術費用が予め高額となる事が予測できた場合、事前に申請しておけば限度額以上の自己負担が不要となる限度額適用認定証。
これら3つの制度は知っておきたいところです。
まずは一般的な年末調整や確定申告で行う所得税の医療費控除。
1月から12月までの1年間に本人または同居の家族(生計を同一とする扶養家族は含む)が利用した医療機関や薬局等に支払った医療費が10万円を超えた金額に対して、課税対象の所得から控除される制度です。
例えば、サラリーマンで課税所得額370万円の場合の所得税率は20%ですから、医療費が年間30万円だった場合、10万円を超えた20万円に対して所得を控除します。
そうすると20万円の20%、4万円所得税が軽減します。
ただし、課税所得額が医療費控除の20万円を差し引いた為に330万円という税率区分を下回った場合、仮に320万円になったとすると、所得税率が20%から10%へと半額になりますから、医療費控除の4万円以上に節税効果が高くなる可能性もあります。
課税所得額が350万円だと所得税率20%で納税額は70万円ですが、これが320万円だと所得税率は半分の10%となり、納税額は32万円へと大きく税負担が減るのです。
それゆえ、正しく申告・納税すれば税金も節約できる事がありますから、健康保険など公的な制度とともに、納税についても知っておいて損はありません。
会社員などは給料から天引きされて所得税・健康保険・年金保険料を支払っていますから、正確に税金や社会保険料をいくら支払っているか分かりにくい面はありますが、給与明細で手取り金額との差額を確認すると、かなりの負担をしていることが分かります。
詳しくは国税庁WEBサイト:医療費控除を参照
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1120.htm
この医療費控除の対象は、風邪や歯医者などの比較的軽微な通院や、薬局で購入した薬剤、通院に伴う公共交通機関(バス・電車・歩行不能な場合のタクシー代など)の交通費も医療費として合算が可能です。
会社員などの給与所得者は年末調整で、または自営業者などとともに確定申告により還付されますし、確定申告の時期でなくても還付請求は1年中いつでも請求は可能です。
もし、11月から12月初めにかけて勤務先が年末調整の書類を配布回収した際にその締め切りに間に合わなくても、過去3年前までさかのぼって税務署で確定申告・修正申告による還付請求手続きが可能です。
もちろん、還付請求を受ける為には支出を証明する領収証などの書類は必要ですが。
家族分をまとめて申告するので、夫婦共働きの場合なら、所得の高い方、つまり所得税率の高い方にまとめるとか、世帯主が住宅取得による住宅ローン利用で10年間は住宅取得控除による優遇措置を受けている期間中なら、控除が得られない場合がありますから、そんな時は配偶者が年末調整や確定申告で還付請求するという事も可能です。
③に続く