今日の新聞から。朝日新聞の朝刊3面に連載されている”!聞く”という欄の多田富雄先生の「美しい日本 四つの象徴」に目がとまりました。
先生は「美しい日本」という言葉を折々使っておられたようです。今日はそのルーツについて述べておられます。
「アニミズム」「象徴力」「あわれ」「匠の技」、この四つの特徴が日本の美しさを世界でも独特なものにしてきたし、日本人の行動の規範にもなってきたとされています。
最初の「アニミズム」では絶対的神を持たなかった、一神教のような絶対的神は育たず自然の中に多くの神を見つけそれを敬ってきた、だから宗教対立で戦争を招くこともなかったし、環境を守る、日本のエコロジーの思想もここにルーツがあるとしています。
以前に別の方の講演で日本には山岳信仰というものがあり森の中に根源的なものが宿っている、自然を大切にし共生していく文化が育ってきたとの話を聞いたことがあります。これと同じようなことと思われます。
二つ目は「豊かな『象徴力』」です。
俳句、和歌は事実の記載でなくたった一言で世界を表現します。この象徴力がユニークな美、すなわち能、歌舞伎などの芸能、茶道、華道などに至るまでこの「象徴力」に支えられているしこんな民族はないともしておられます。
三つ目が「あわれ」という美学の発見です。
「もののあはれ」わもちろん、滅び行くものへの共感、死者の鎮魂、人の世の無情、弱者への慈悲など、あわれなものへの思いが日本の美の大切な要素になっているとしています。権威というような外国の価値観とは異なる日本人の心の優しさ、美しさ、デリケートさの根源であるとも述べています。
最後が「匠の技」があります。
美術はもちろん、詩歌や芸能でも、細部まで突き詰める技の表現があるとし「型」や「間」を重んじる独特の美学としています。工業技術のルーツでもあるともしています。
原文はここで書いているより、はるかに美しく的確に表現されています。興味がおありでしたら是非、ごらんになって下さい。
今日のキーワード
”ルーツを探れば自分なりの行動の規範の参考にもなる”