物流コスト比較 | 「ロジスティクス・物流・マネジメント日々雑感」篠原ロジスティクスオフィス 篠原和豊

「ロジスティクス・物流・マネジメント日々雑感」篠原ロジスティクスオフィス 篠原和豊

ロジスティクスや物流現場、日々報道されるニュースなどを直視したり斜に構えたりしてビジネスや社会生活のヒント、情報をちりばめます。

通常の消費市場で販売される商品であれば機能や品質、量などの違いはあるものの比較的販売価格の比較は容易に行うことができるでしょう。例えば薄型テレビでも家電販売店で価格を比較してみればすぐには理解できなくても画面の大きさや付随する機能や発売時期などの条件さえ分かれば「そうか」と納得できるはずです。価格決定はどちらかというと市場が決める価値から割り出されているとも言えるからです。






 ところが「物流コスト」の比較は簡単ではありません。運賃や荷役料など個別の単価はどちらかというと市場の価格に準じていると考えられます。それらが積み上げられてコストになっているのだから比較はできるのでないのという考えもあります。確かに一つ一つを取ってみるとそうとも言えます。しかし、物流コスト総体としては比較が難しいようです。






 例えば「運賃」、一車一日あたりいくら、A地点からB地点まで運べばいくらなど距離や時間で目安がつきます。しかし、物流コストはどんな商品にいくらのコストがかかっているか、企業における物流費はなど商品の市場価格の中に占める物流費、あるいは企業経営に占める物流費などを意味するはずです。






 多くの物流コンポーネントが組み合わされて総体ができあがります。同業種の物流を比較してみれば分かるのですが、企業によって工場の配置や物流センターの位置、拠点数も違えば取扱商品の構成も違います。同じ市場で販売されている商品でも市場価格はお客様に決められるのでよく似た値段ですが、物流費は全然違っているということもあります。いくら安い運賃で運んでいると思っても荷物の積み方で一個あたりの運賃が高くなっていることもあるのです。






 結論的に言えば、物流コストの比較は表面上の比較は意味がない、しかし、一つ一つの組合せやコストの中身を精査してコスト検証すればしくみを解明し物流というシステム自体を一変するヒントを発見できるということができます。






 物流コスト比較は物流のしくみの比較まで行うことで初めて評価できるというのが結論です。






今日のキーワード

“比較は表面だけでは意味がない、しくみを見ること!”