昔、よくあった勘違いについて。
有価証券報告書に記載された中から物流費に関連する項目を抜き出して合算した費用を物流費として我が社はあの会社に比較して物流比率が高い低いと一喜一憂しているのをよく聞いたものです。今でこそ少なくなっていますがこの勘違いの延長線上のところでとどまっているところもないとは言えないのでないでしょうか。
有価証券報告書に記載されたものは支払いベースの物流費でしかありません。また、それは運送費であったり車輌費であったりですが、車輌費などは物流に使われるもの営業に使われるものなど区別が分かりません。このようなことから正確に物流費をとらえられないと言えるでしょう。
他社比較はともかく、自社の物流費は有価証券報告書と違い部署別経費を掴んでいれば物流部門のコストはとらえやすくなります。しかし、これも全社的に経費がどう配分されているかを詳しく精査することが必要です。物流に使用されている建物や土地は、光熱費は、人件費は、情報関係の費用・・・、詳しく見ていけば曖昧な部分がいかに多いかが分かるはずです。これを物流費としてとらえられるものをすべて洗い出すことによって何をどうすればいいのかが初めて見えてきます。これは面倒くさがらずにやらなければなりません。極端な例で言えば営業マンが商品を自社保有の営業車で運ぶこともあるとします。営業のための労働時間、車輌使用時間、燃料代などと物流用のそれを細かく分解することになります。こうやることで自社の物流費をすべて掴むことができます。
勘違いを続けている限り物流の本質には迫れません。
なぜ、すぐわかる支払い物流費だけでなく隠れた物流費も知る必要があるのでしょう?そもそも物流は商品そのものの価値を増殖することはありません。使用する人のところへ移動することによって商品本来の価値を発揮させる役割を担うだけです。そうであれば、正確に早く、しかもコストは少なく届けるということがテーマになります。そのためにはかかっているコストをすべて把握するというのがスタートになるのです。
物流をアウトソーシングすればすぐコストが分かるのでないかというのとは次元が違う問題です。それぞれの企業にはビジネスモデルがあり、どんな物流をするかは経営判断になります。それでも物流費はすべて知るということは絶対必要と断定できます。
今日のキーワード
“物流コストは物流に関わるものすべてである”