「多能工」の代表例として「一つの機械に一人張り付き状態」の例が上げられます。
主作業は機械自体が行っています。作業者は段取り替えと機械が正常に動いているかを監視すること、そして異常時の復旧作業です。正常に動いている時もじ~っと持ち場を離れません。刑事さんの張り込みと同じです。いつねらっている対象者が動き出すかわからないから四六時中見張っていなければならない状況に置かれているとの認識です。機械に人が張り付いている状態です。
これを主作業は機械が行っているので作業者である人は「異常の監視」と「段取り替え」が主目的です。作業者の目の届く範囲に機械を配置すれば複数台を同時に受け持てるはずです。複数の機械を扱えるよう能力が備わっていれば可能なことです。人に複数の仕事をつける状態です。
もう一つの「多能工」例は同一工程の中でも用いられます。同じスペース、同じ機械で複数品種を生産する方法です。一部の部品を取り替えるだけで異種商品を同一工程で仕上げられる方法です。発展系が異種商品混合生産方式でしょう。同じラインで異なる商品が不規則に流れてくるが問題なく仕上げていく方法です。これも作業者は多能工であるということでしょう。
チーム作業で複数工程を受け持っている場での多能工事例も昨日、記しました。再度、確認しておきましょう。
ある物流センターの事例です。最初の工程は作業指示書に基づいて指示された商品を順番に保管場所から必要量集めます。集めた商品は検品の工程に引き渡されます。検品工程では一つ一つをスキャナで商品バーコードを読み込ませチェックして正確に商品や個数を読み込んでいきます。間違いがなければ梱包の工程に引き渡されます。梱包工程では出荷に最も適したダンボールに箱詰めされ出荷ラベルが貼り付けられ出荷工程に引き渡します。
この三つの工程はそれぞれ異なった独立した目的で行われています。しかし、一つ一つの指示書でそれぞれの工程の所要時間が大きく変化していきます。
そこで、三つの工程で作業者が相互乗り入れしチームとして作業を仕上げていくことにしました。その都度の作業内容で時間が多くかかるところに応援に入るのです。そうすることで誰一人手待ち状態になることなく全体がスムースに流れるようになったのです。
いわゆるボトルネック箇所が作業指示書ごとに変化するのに対処する方法です。
誰もがピッキング、検品、梱包ができるよう「多能工化」しているのです。ちなみにメインの受け持ち工程も毎日、ローテーションしており得意技をつくるというより全工程の能力を満遍なく身につける方を採用しています。
何よりチーム全体が協力して作業を完結することで意識も向上しカイゼンの提案や自分たちでいろいろな試みも行うようになってきたのが何よりの成果でないでしょうか。
今日のキーワード
“一人の専門家より複数の多能工がチームワークには必要”