一人△役 | 「ロジスティクス・物流・マネジメント日々雑感」篠原ロジスティクスオフィス 篠原和豊

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 「一人一役」の順送り流れ作業のムダはすでに広く認識されるようになりました。しかし、現実には「一人複数役」をうまく取り入れているところはモデル職場として紹介されるくらいまだまだ大きく普及しているとは言えないのでないでしょうか。

 難しさの大きな要因は各作業者がが一つ一つの作業の手順を確実に習得しなければならないということが上げられます。よく人には「向き不向き」があり個人の得意分野を徹底して伸ばしその道のエキスパートとして鍛え上げるという手法がとられることがあります。

これが一つのものを一から百まですべて仕上げるというエキスパートであれば問題ないのでしょうが一つ仕上げるのに百の工程があり一番から十番までのエキスパート、十一番から二十番までのエキスパート・・・と限定エキスパートの場合は今まで論じてきたように十番から十一番のつなぎ目、二十番から二十一番のつなぎ目で滞留や手待ちが出ることが必定です。


 流れ作業の継ぎ目継ぎ目を固定化する個々人のスキル向上よりも流れのスピードを同期化させる人の育て方、各人が多くのパートを受け持つことができるスキルを習得する方がムダの発生をなくすることができるのでないでしょうか。

 物流現場の一例です。

 出荷指図書通り商品を保管棚から集積し検品工程、梱包工程を経て出荷されるという流れがあるとします。


 一つ目の方法は商品を集めてくる人が集めてきて検品の係へ引き渡す。そして次の指図書を持って集積してくる。これをひたすら繰り返します。検品係は受け取った塊をひたすら検品しできたものから検品係に渡す。梱包係も受け取ったものをひたすら梱包し出荷に回す。すべての係が同じタイミングで次工程に送っているでしょうか?確実に「否」と言えるのでないでしょうか。早くできるところもあれば遅れの出るところもあります。


 二つ目はすべての工程を一人でこなす方法があります。一人仕上げですから三つの工程では手待ちは発生しません。滞留もしません。作業時間は個人の能力相応に仕上がってきます。


 三つ目は基本的には集積するのがメイン作業の人、検品するのがメイン作業の人、梱包するのがメインの人、それらの方がチームとなって作業の中で遅れの出ているところに助けに入るアシスト方式があります。

 一つ目は多分、多くのムダが発生しているのでないでしょうか。二つ目はすべての作業者が検品用のスキャナを持つ必要があり投資金額が多くなる。一台当たりの使用時間は少なくなるということもあります。そこで三番目の方法が注目されることになります。機械投資効果、タイミングあわせが容易にできることが考えられます。

 人の面から考えると多能工の集まりでチーム作業をこなすということになります。

今日のキーワード

“チーム作業にも多能工の考えを用いる。”