「流通量を向上させる」ためには次のいずれかの戦略が用いられるのでないでしょうか。
「コトラーのマーケティングコンセプト」(東洋経済新報社2003/05/15発行の101ページ~102ページ引用)で
「・既存顧客に対して既存製品をいま以上に売る:顧客を説得して1回当たりの使用量を増やすか、使用頻度を高めるよう仕向ける。
・ 既存顧客に対して新たな製品を売る:既存顧客が必要としそうな新たな製品を開発する。
・ 新規顧客に対して既存製品を売り、販売量を増やす:既存製品を新たな地域や新たなセグメントに対して販売する。
・ 新規顧客に対して新たな製品を売る:新たな市場の要求に応えうる事業を買収、もしくは新規に立ち上げる。」
とした上で、「既存ならびに新規顧客のいまだ満たされていないニーズを感知し、それを満たすこと(アウトサイド・イン思考)で成長を目指すべきだ。」と記しています。
「営業力」はこの四つの戦略に基づいて発揮されます。
「既存顧客に既存製品をいま以上に売る」はパイプラインの出口を大きくし排出量を多くするしかありません。大量押し込みで一時的な見かけの売り上げを作っても課題は達成できません。お得意先の顧客拡大とお得意先顧客の使用量拡大、そしてチャンスロスの排除をお手伝いするのが営業に与えられた役割でしょう。ロジスティクス的には最後のチャンスロス対策です。売れる可能性があるのに品物がない状況をなくすことと常に新しい商品がそろっている状態です。この場合の「営業力」にはお得意先の在庫も常に把握し後方へ情報を常に届けることから始めます。すなわちお得意先の販売を的確にとらえること、お得意先とのよいコミュニケーションを保つといった人間関係力の構築が望まれます。
「既存顧客に対して新たな製品を売る」場合、お得意先の市場環境を分析することが大切です。お得意先の顧客セグメント分析などがそれにあたります。時には試験販売などヒット&サーチも時には有効でしょう。この場合も営業力は情報収集と商品の強みを伝える力が欠かせません。
「新規顧客に対して既存製品を売り、販売量を増やす」方法の場合は競合からパイを奪うことかもわかりません。綿密なロジスティクス面の計画も必要とされます。受注時に確かに商品をお届けするてだてを行っておかなければならないでしょう。こういった面で社内調整能力も必要です。
「新規顧客に対して新たな製品を売る」場合は完全な開拓になりますから営業担当というより全社的な綿密な計画がねられなければなりません。その上で顧客獲得という絶大なパワーをふるうことになります。この計画がロジスティクス計画に他ならないということでないでしょうか。
既存のルートではパイプのつまりをなくすこと(特にお得意先の在庫)、新規ルートでは新たなパイプを作るということですから鮮度の高い商品供給能力があることを商品力とともにプレゼンできることが営業力には必要でしょう。
いずれにしても営業の基本「マーケットイン」の考え方を基本とした能力情勢が求められるのでしょう。
今日のキーワード
“成長はパイプラインの出口の情報を的確に捉えフィードバックすることからはじめ出口を太く、中間のつまりをなくすことからスタートする”