有料老人ホームの入居一時金保全 | 向井幸一のブログ

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高齢者住宅の管理運営をしている高齢者のブログ

有料老人ホームの一部には入居時に一時金が必要なタイプのものがあります。利用料の前払いという金額で数百万円から一億円を超えるものまであります。利用料の前払いなので事業者を信頼しなければ成立しませんが倒産してしまった場合には入居者は前払いした一時金がなくなってしまうというリスクがあります。


そこで2006年4月以降に設立された有料老人ホームに関して入居一時金を預かる場合には事業者に保全措置を義務付けました。500万円を限度に預けた入居一時金が事業者の倒産であっても返還されるというもので保険契約みたいな内容です。


しかし2006年3月以前に設立された有料老人ホームは保全義務が除外されていましたが2018年の介護保険制度改定に伴い義務化するとの方針を決めたそうです。高額な一時金を支払って入居した有料老人ホームが倒産して行き場を失う上にお金が返還されないというのは本当に気の毒だと思います。


数百万円から数億円という前払いを必要とする商慣習は有料老人ホームだけにみられるものです。賃貸住宅、老人ホーム、グループホームであっても前払い一時金制度はありません。月払い賃料・共益費で管理運営していくのが通常であると思います。


入居一時金の保全措置もないよりあったほうがいいと思いますが対象者が高齢者であることを考えると高額な一時金を預かるということは不安に感じます。サ高住や他の高齢者施設のように月払い方式に統一したほうが消費者には安心で保護につながるのではないかと感じています。


商慣習について行政が規制できないのであれば業界団体で一時金を廃止するようなアクションがあってもいいのではないかと思います。高齢期の住まいは官民一体となって取組んでいくことが必要だと思います。高額な入居一時金がなくても年金収入で暮らすことが可能な高齢者住宅が増えることを願っています。