エピソード10 アンリ・ルソー
エピソード10「アンリ・ルソー」
ヒロヤマガタが影響を受けたと公言する画家の一人に、アンリ・ルソーがいる。
それは、先のエピソード9の日本画の椙村睦親先生のところでの修行時代のころである。
この、修行時代に一番啓発を受けたというか衝撃を受けたのが、日本画の技術や作風ではなく、アンリ・ルソーの絵にめぐり会えたことだという。
先生の本棚でルソーの画集を見つけてページを開いた時、感激のあまりに本当に体が震えたという。
「世の中にはこんな世界があったんだな」というショックだったそうです。
「もうほんとに大ショック」というくらいに。
「中学のときにダ・ビィンチやミレーの絵画のカラー写真を初めて見て、エキサイト(エピソード)したけど、ルソーのときはもっと決定的にエキサイトしましたね。」
アンリ・ルソーHenri Rousseau (1844-1910) パリ郊外の間接税務局に勤める下級官吏だった。40歳ごろ趣味で絵を描き始める。翌1885年、退職して、バイオリン教師をしながら、アマチュア画家となる。 |
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| 人柄も素朴で、純真、無邪気であったが、描く絵も無邪気なファンタジーに満ちていた。ちょうど、「原始芸術(プリミティヴ・アート)」が流行り出す頃であったので、注目を集める。ゴーギャン、ピサロ、ルノワール、ピカソも、彼の作品に興味をもった。 |
もちろん実物は見れなかったし、その時はナイーフ・インプレッショニストとしてのルソーの本質なんてものは分かるはずもなく、その強烈な色使いとか、素朴で無邪気な空想というか、幻想を見ていると、自分も魂を吸い取られたみたいに、スーッと入っていける世界だったそうです。
そんな幻想的な世界を描いているのに、どこかちゃんと計算され、造形構成されたリアリティアがものすごくあっって・・・。
「それからズーッと、ナイーフ・アートの延長線上を旅しているようなもんです。」
と、それくらい影響を受けた画家である。
また、作品だけでなく、その経歴も興味深いもので、人間的にもとても面白く感じたようです。アンリ・ルソーは40歳位までは、ごく普通のサラリーマンの役人で、通称「ル・ドゥアニエ」(税関史)と呼ばれていました。
「僕は自分がアーティストなんて思ったことは一度もないし、アートだ、何だと騒ぐよりも、
普通の生活をエンジョイして、楽しく生きることが大切といつも思っているから、普通の生活をして、ああいう素晴らしい絵を描いていたルソーにまいっちゃうんだな。」
と言っている。面白いというか共感を得たようです。
それと、もう一つヒロヤマガタが共感したところがあり、ルソーはすごく単純で、すごくだまされやすかったそうで、同じように女の子のコロッとだまされたり、画商にいつもシテやられたりする自分自身に似ていると思ったようです。また、ルソーは税関を退職してから、ヴァイオリンを教えたり、戯曲を書いていたりしたらしく、ヒロヤマガタも85歳くらいになったら、もう一度チェロを勉強して、90歳くらいで、演奏会をやるという夢があり、絵を描くだけでなく、いつかはドラマを書いてみたりもしたい潜在願望もあるようです。
また、「ルソーは3回離婚をした経歴があり、最後にフラレた時に絶望のあまり死んだそうですよ」と聞かされると、
「そこはあやかりたくないですね。だって絶望して死ぬなんて僕の流儀に合わないでしょ」
と笑って答えたそうです。
ただ、ヒロヤマガタはこれまでの人生に3度の離婚を経験している事はあまり知られてない・・・。(詳しくは後のエピソードで)。

