一般的にレコーディングとライブ演奏では、演奏環境が大きく違うので、私は状況によって使用するトロンボーンのセッティングを変えています。
多くの場合レコーディングでは、後から残響音などをエフェクトで加工するのが普通で、そのような目的のためには、出来るだけクリアかつ輪郭の明瞭な音で演奏するのが理想的なのです。これは、楽器自体がホール全体によく響く音を出すことが大切な、ライブ演奏とは大きな違いです。
以前オークションで見かけたことがある、1970年代にスタジオミュージシャンとして活躍した新井英治さんが使用していたという特注トロンボーンは、ベルが金メッキで覆われていました。おそらく金の重量により、不要な振動がかなり抑えられた硬いクリアな音色の楽器だろうと思いました。やはりレコーディングには、そのような極端な性質の楽器が適合するのでしょう。
通常では明るい音色のイエローブラスのベルを持ち、スロートが細いトロンボーンが、レコーディング用として昔から一般的です。
さらに最近では、スターリングシルバーのようなもっと固い材質を、ベルやリードパイプに使用した楽器も使われています。この種の近頃増加傾向のトロンボーンは、いわゆる「立つ音」としてソロには向くのですが、アンサンブルでは他の楽器との音合わせが難しく、響きが硬すぎるのではないかと、個人的には感じています。
しかし、デジタル系電子楽器とは相性が良いようで、やはりこれも時代の要請なのかもしれません。
(2009-11-11 18:31:35)