(『新・人間革命』第7巻より編集)
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〈早春〉 21
ジュネーブに一泊した一行は、翌日はイタリアのローマに向かった。
一行は、ローマの空港に出迎えてくれた数人のメンバーとともに・・・。
その後、イタリアの連絡責任者の山岸政雄の家を訪問した。
山本伸一は、山岸の家族をはじめ、数人のメンバーとともに勤行・唱題したあと、イタリアにローマ地区を結成することを発表した。
地区部長には山岸が、・・・。
また、伸一は、絵の勉強のために、ローマの美術学校に留学していた小島寿美子という女性を、ヨーロッパ女子部の幹事に任命した。
彼女は、留学が決まった前年の八月、西ドイツに留学することになっていた高石松子とともに、聖教新聞社にいた伸一を訪ねてきたことがあった。
伸一は、その時、二人に御書を贈り、海外への雄飛を祝福したが、小島のことが心配でならなかった。
海外で、自立して生きていくには、大地に根を張る雑草のような強さが必要である。
だが、彼女には、その強さが感じられなかったからだ。
以来、小島とは、五カ月ぶりの再会である。
伸一は尋ねた。
「小島さんは、イタリア語はできるようになったかい」
「はい、なんとか日常会話でしたら・・・」
「そうか、まず語学を徹底して身につけていくことだね。あなたは学生部員だったんだから、イタリア語といえば小島、小島といえばイタリア語といわれるぐらいになるんだよ。
あなたも、使命があってイタリアに来た。その使命を果たすために、語学は不可欠といえる。
今、本腰を入れてやっておけば、それが将来、きっと役に立つ。
(つづく)