(『新・人間革命』第7巻より編集)
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〈文化の華〉 8
夏期講習会が終わると、青年部の各方面の体育大会が待っていた。
前年の体育大会は、各部が一丸となって座談会運動に取り組むために、やむをえず中止となったことから、これが二年ぶりの開催となるだけに、青年たちは燃えていた。
伸一も、この体育大会を楽しみにしていた。何よりも、心身ともにたくましく成長した若人の姿を見ることが嬉しかった。
また、体育大会は、スポーツ競技の大会というだけではなく、信仰の喜びや躍動、さらに、仏法思想の表現の場となりつつあったからである。
伸一は、青年たちには、可能な限り自由に、その特性を生かした活動をさせたかった。
仏法の法理は、永遠に不変である。
しかし、極寒の冬には、人びとはオーバーやコートを欲し、灼熱の夏には、涼風を求めるように、仏法に何を求めるかも、時代や世代によって異なってくる。
これまで学会を支えてきた壮年や婦人の中には、経済苦や病苦の克服の道を仏法に見いだし、信心を始めた人も多かった。
だが、このころには、人びとの生活水準は次第に豊かになり、貧困は減少していった。
そして、多くの若者たちにとっては、経済苦は、以前ほど、切実な問題ではなくなりつつあった。
世は”無責任時代”といわれ、植木等等が主演する映画「ニッポン無責任時代」が大ヒットしていた。
個性が強く、調子のよい主人公が、従来、美徳とされてきた努力や勤勉を嘲笑うかのように、気楽に、要領よく立ち回る様が、人びとに開放感を与え、喝采を集めていたのである。
それは、人間性を封じ込め、画一化していく、管理社会への揶揄(やゆ)でもあり、また、既存の価値観が大きく揺らぎ始めたことを意味していた。