不屈の闘志を胸に秘め、WKBA世界スーパーフェザー級王者の蘇我英樹がディファ有明のリングに登場する。
つねに妥協を知らぬ好ファイトを繰り広げることでメインイベンターとしての起用も多いが、最近は白星から見放されている。
5月に”爆腕”大月晴明との大一番に惜敗し、8月には再起を期して臨んだペッシーニ・ソーシリラック(かつてTOMONORIにKO勝ちしている選手)戦も落としてしまった。
だが、蘇我はこれまでにも千尋の谷に突き落とされては這い上がってきた。
日本バンタム級王者の時には初防衛に失敗したあと、引き分けも含めて5試合も勝てなかった。
一階級上のフェザー級王座も二度王座獲りに失敗したが、三度目の正直でようやく戴冠した。
七転び八置き。
倒されても倒されても這い上がらなければ、蘇我ではない。とはいえ、青コーナーから登場するセーンアーティットYZDは強豪中の強豪だ。
肩書こそ”元”ランカーながら、本人が記憶するだけでも150戦のキャリアを誇り、しかもまだ25歳とバリバリ動ける年齢だ。
特筆すべきは首相撲の強さ。YZDで同門で元ラジャダムナンスタジアムバンタム級王者の肩書を持つシラーをして「もしかして、日本にいるタイ人の中ではセーンアーティットが一番首相撲が強い」と太鼓判を押すほどだ。
ある選手はこのタイ人と首相撲を行い、3日間ほど痛みが残るほどのダメージを負ったという。
果たして蘇我は首相撲地獄から逃れ、得意の乱打戦に持ち込むことができるだろうか。
(スポーツライター 布施鋼治)