「あの…言いにくいのですが、私は香りに過敏に反応してしまう体質で…、このショール柔軟剤の匂いがしんどくてお借りできません。本当、せっかくなのにすみません」…これは数年前、私が当時お世話になっていた仕事仲間から言われたことです。仕事場のエアコンがフル稼働(ビルで管理しているため温度調整不可能なパターンでした)していたせいか、少し寒いね…と話しておりました。真夏でしたから最初は「あー、すーずしー」と天を仰ぐような気持ちでいましたがだんだん「さーむーいー」のテンションに。素直というか何というか…贅沢なものですが。私は羽織るための薄手のカーディガンとショールを持ってきていたこともあり、彼女に「ショール巻いたらマシかもしれません。どうぞ」とショールを渡しました。彼女は「わ、すみません。お借りしちゃいますね」と受け取りショールを巻いて…数分後に発生した事案でした。確かにショールを巻いた後、ちょっとむせるような、咳き込むような感じになっていた…と彼女の変化を思い出し、ショールを引き取りました。ショールもカーディガンも同じ柔軟剤を使い洗いたてを持ってきてしまったなぁと振り返り「過敏な人にとっては柔軟剤も凶器的なアイテムに変わる…だから無臭の柔軟剤があるんだなぁ」と改めて無香の存在の大切さを知ったのでした。
その後ビルを管理していると思わしきスタッフ殿にかけあい、我々がいるフロアだけ少し温度調整をしてもらえて何とか温度問題は落ち着きました。
柔軟剤、香水、体から出る元々の匂い等々、「イヤだと思われる匂い」を他者に感じさせてしまう、いわゆる「スメルハラスメント」。ハラスメントの中でも相手に指摘しにくかったり、言い方によっては相手を余計に傷つけたり怒らせたり、なかなか改善しにくい問題のようです。一方で体の匂いを医療関係者の方に「○○の数値が上がると体から独特な匂いがする場合がある」「××の傾向が見られますが、お体や衣類に妙な匂いを感じることはないですか?」などの医療アドバイスと称して指摘してもらい、本人も意識するようになったという「専門家を挟んだ対策で双方が傷つかないで済みました」ような話も聞きます。
私が経験した「私は良い匂いだって思っていたけど、それが辛くなる人もいるんだ…」的なケースもあるため、きっと万能な対処法はないでしょう。最初は正直ちょっとショックでしたが、確かに香水も好きな上に柔軟剤まで…ちょっと使いすぎているかも、と考えを改めるきっかけになりましたね。とりあえず香りと香りがぶつかってケンカを起こさないようにします。