屋久島奥山 | 古代文化研究所

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古代文化には、多くの疑問や問題が存在する。そういうものを日向国から検証していきたい。

○藤原定家の小倉百人一首に、

  奥山に紅葉ふみわけ鳴く鹿の声聞く時ぞ秋はかなしき

      猿丸太夫

と言うのがある。古来、人の入らないような、人里離れた山の奥にある山が奥山とされる。

○屋久島を訪れると、そういう奥山の概念をしみじみ感じ取ることができる。一日では入ることのできないような山が奥山なのではないか。もっとも、最近では、交通の便が良くなったので、日帰りで出掛けることも可能になっている。

○それでも、多くの人は、山小屋に二泊して、屋久島奥山を目指す。その小屋が淀川小屋であり、高塚小屋、新高塚小屋になる。淀川登山口から入れば、一泊目が淀川小屋、二泊目が高塚小屋か新高塚小屋になる。白水雲水峡から入れば、その逆になる。

○当古代文化研究所では、今回が四回目の宮之浦岳登山になるが、最初と今回が淀川登山口から入り、二回目と三回目に白水雲水峡から入っている。他に、荒川登山口や永田から入るルートなどがあるが、入ったことはない。

○体力があれば、白水雲水峡から入っても良いが、お勧めは、淀川登山口からのルートだろう。と言うのも、登山口の標高が全然違うのである。淀川登山口の標高は1360mもあるのに対し、白水雲水峡は650mしか無い。この差は大きい。

○ここまで、ブログ『花之江河のシャクナゲ』、『投石平のシャクナゲ』、『投石岳のシャクナゲ』、『安房岳・翁岳のシャクナゲ』、『屋久島のシャクナゲ』、『屋久島シャクナゲ』と、屋久島のシャクナゲを案内して来た。

○しかし、屋久島の魅力は、単にシャクナゲだけでは無いところにある。第一、屋久島を訪れる多くの方が目指すのは、シャクナゲなどではない。一番は、何と言っても縄文杉だろう。そういう人が入るのは荒川登山口からである。

○次に、人々が目指すのが宮之浦岳登山が目的になる。宮之浦岳は九州最高峰の山で、深田久弥の「日本百名山」で知られる。現在、「日本百名山」を登ることが山好きのステータスになっているような気がしてならない。深田久弥には、もともとそんな気は毛頭無かったのに、妙な話となってしまっている。

○それでも、屋久島の奥岳は申し分なく、美しい。特に、屋久島三岳とされる、

  宮之浦岳

  永田岳

  黒味岳

の美しさは、最高である。山は何時登っても良いものでもない。5月から6月に掛けての、この時期、その美しさが最高潮に達する。それが屋久島のシャクナゲであることは言うまでもない。

○今回は、『屋久島奥山』と題して、その見事さを伝えたい。