禅と水墨画 | 古代文化研究所

古代文化研究所

古代文化には、多くの疑問や問題が存在する。そういうものを日向国から検証していきたい。

テーマ:

○2022年2月に、「京都ぶらり旅」で、醍醐寺、東福寺、泉涌寺、智積院、建仁寺、正伝永源院、大徳寺、金閣寺、大報恩寺、東寺、西本願寺などのお寺へお参りした。このうち、東福寺、建仁寺、正伝永源院、大徳寺、金閣寺が臨済宗のお寺である。

○前々回、ブログ『五山文学』、前回、『禅林墨跡』と、五山文化の話を続けている。それに続けて、今回は『禅と水墨画』と題して、絵画について考えてみたい。

○インタネットで、水墨画を検索したら、偶々、『禅と水墨画―鎌倉~室町』なるものがヒットした。東京国立博物館で、2019年、2020年、2021年と続けて開催されている催し物らしい。その2019年のものには、次のようにあった。

      禅と水墨画―鎌倉~室町

  ・本館 3室  2019年10月22日(火) ~ 2019年11月17日(日)

鎌倉時代からはじまる禅宗の本格的な導入にともない、絵画では中国の宋・元の絵画の影響を受けて水墨画が成立します。また書の分野でも、中国禅僧の書の影響を受けて、日本禅僧による個性ゆたかで気魄に満ちた作風を示す墨跡が生まれました。ここでは鎌倉時代から室町時代の水墨画、墨跡等を展示します。

  東京国立博物館 - 展示・催し物 総合文化展一覧 日本美術(本館) 禅と水墨画―鎌倉~室町 作品リスト (tnm.jp)

○当古代文化研究所は、日向国に存在するので、なかなかこういう文化を享受する機会が無いのが、残念でならない。例えば、2019年の展示作品リストには、

  ・山水図:::伝周文筆 享徳4年(1455) 竺雲等連賛

  ・法語:::夢窓疎石筆

  ・偈頌:::一休宗純筆

などとあって、見たくて涎が出るほどである。

○このように、水墨画は禅宗とは切っても切れない関係にある。そのことは、ウイキペディアフリー百科事典が案内する水墨画項目を見ると、一目瞭然である。

      水墨画

水墨画(すいぼくが)とは、唐代に成立したとされるで表現される墨絵(すみえ)の代表的画法。墨線だけでなく、墨を面的に使用し、ぼかしで濃淡・明暗を表す絵画である。海外ではZen() painting と呼ばれる事もある。

  【日本における水墨画】

水墨画の様式は日本には鎌倉時代とともに伝わった。日本に伝わった絵画は、『達磨図』・『瓢鮎図』などのように禅の思想を表すものであったが、徐々に変化を遂げ、「山水画」も書かれるようになった。

美術史で「水墨画」という場合には、単に墨一色で描かれた絵画ということではなく、墨色の濃淡、にじみ、かすれ、などを表現の要素とした中国風の描法によるものを指し、日本の作品については、おおむね鎌倉時代以降のものを指すのが通常である。着彩画であっても、水墨画風の描法になり、墨が主、色が従のものは「水墨画」に含むことが多い。

  【初期水墨画】

13世紀末から14世紀頃までの日本の水墨画を美術史では「初期水墨画」と呼んでいる。水墨画がこの頃盛んになった要因としては、日本と中国の間で禅僧の往来が盛んになり、宋・の新様式の絵画が日本にもたらされたことが挙げられる。13世紀になり、無学祖元蘭渓道隆らの中国禅僧が相次いで来日した。彼らは絵画を含め宋・元の文物や文化を日本へもたらした。鎌倉にある円覚寺の仏日庵の所蔵品目録である「仏日庵公物目録」(ぶつにちあんくもつもくろく)は、元応2年(1320年)に作成された目録を貞治2年(1363年)頃に改訂したものであるが、これを見ると、当時の円覚寺には多数の中国画が所蔵されていたことが分かる。

  【室町水墨画】

室町時代は日本水墨画の全盛期と言ってよいであろう。足利家禅宗を庇護したこともあり、禅文化や五山文学が栄え、足利家の寺である京都の相国寺からは如拙周文雪舟をはじめとする画僧を輩出した。また、東福寺の画僧の吉山明兆は、濃彩の仏画から水墨画まで幅広い作品を制作した。8代将軍足利義政は政治を省みなかったが、文化の振興には力を入れ、唐物と呼ばれる中国舶載の書画、茶道具などを熱心に収集・鑑賞した。当時の日本で珍重されたのは、中国の南宋時代の画家の作品で、夏珪馬遠牧谿(もっけい)、梁楷玉澗(ぎょくかん)らが特に珍重された。牧谿、梁楷、玉澗などは中国本国よりも日本で評価の高い画家である。なお、室町時代の日本画壇が水墨画一色であったと考えるのは誤りで、この時代には伝統的な大和絵の屏風も盛んに描かれていたことが、20世紀後半以降の研究で明らかになっている。

  水墨画 - Wikipedia

○日本の水墨画が如何に禅宗と関係するかがよく判る。当古代文化研究所では、二十年以上昔に、京都妙心寺の退蔵院に、「瓢鮎図」をわざわざ見に出掛けたことがある。もっとも、当時、退蔵院に飾ってあったのは、模写だったが。

○水墨画については、まだまだ書きたいことが幾らでもある。しかし、ここでは、禅宗に関係することのみを取り上げているので、止めておきたい。