李白:秋浦歌(其一) | 古代文化研究所

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○前回、池州を案内するのに、李白「秋浦歌」詩(其十五)を紹介した。折角だから、李白「秋浦歌」詩をもう一つ、紹介したい。

○紹介するのは、十七もの連作、「秋浦歌」詩の冒頭詩である。この詩がまた、実に佳い。

  【原文】
      秋浦歌:十七首其一
    秋浦長似秋
    蕭條使人愁
    客愁不可度
    行上東大樓
    正西望長安
    下見江水流
    寄言向江水
    汝意憶儂不
    遙傳一掬涙
    為我達揚州

  【書き下し文】
    秋浦、長へに秋に似たり、
    蕭條として人をして愁へしむ。
    客愁は度すべからずして、
    行きて東の大樓に上る。
    正に西に長安を望み、
    下に江水の流るるを見る。
    言に寄せて、江水に向かふ、
    汝の意、儂を憶ふや不や。
    遙かに傳へよ、一掬の涙を、
    我が為に、揚州に達せしめよ。

  【我が儘勝手な私訳】
    秋浦は、その名の如く、年中季節が秋であるかのようである、
    ひっそりともの寂しいさまは、誰もに憂愁の思いを抱かせる。
    まして、旅人である私の旅愁は、計り知れない、
    愁いに耐え切れずに、私は町の東門に登って愁いを紛らそうとする。
    ちょうど西の方角の彼方に、懐かしい都長安があるはずなのだが、
      眼下に見えるのは、ただ、秋浦の侘びしい町並みだけである。
    町並みの先には、滔々と大河、揚子江が白く流れているのが見える。
    伝言を託したくて、つい、揚子江に向かって叫びたくなる、
    お前の中に、少しでも私を思う気持ちがあるかと。
    もし、お前に私を思う気持ちが少しでもあるなら、
      私のこの旅愁の悲しみを、遙か遠くまで伝えて欲しい、
    揚子江よ、遙か下流の揚州に居る家族に、私の思いを伝えてはくれまいか。

○李白は、「黄鶴樓送孟浩然之廣陵」詩でも、
  故人西辭黄鶴樓    故人、西のかた黄鶴楼を辞し、
  煙花三月下揚州    煙花三月、揚州に下る。
と、黄鶴樓で、孟浩然が揚州廣陵に赴くのを見送っている。その武昌黄鶴樓から、およそ500劼曚浜隼匚召魏爾辰燭箸海蹐池州秋浦であり、更に500劼曚浜隼匚召魏爾襪藩判W⇔佑肪する。

○李白の連作詩、「秋浦歌」詩は、甚だ気になる詩である。有名な『白髮三千丈』句にしたところで、絶句の起句であるからして、どうしても唐突の感が否めない。しかし、連作として眺めると、まるでその様子は一変する。出来れば、そう言う話を書きたいのだが、旅行記がまるで進まないから、諦めるしかない。

○今年10月に、揚州廣陵にも出掛けて来た。揚州廣陵は、鑑真和上の故地でもある。そんな話を早く書きたいのだが、なかなか6月の旅行記が終了しない。それでも、折角訪れた池州である。少しずつ、丁寧に追い掛け続けるしかない。