野に出て遊ぶ ④ 〔暮らしのさんぽみち〕

いち早くタケノコを見つける園児H。おとなたちに褒められてご満悦。そう言えば、蝶やトンボを見つけるのも早い。足許のバッタやカナヘビやアリの巣もいち早く見つける。うずくまって何してるかと思うと観察していたり、彼らを手に乗せていたりする。
帰宅してHが何処にいるか捜すと、たいがい絵を描いているか何か作っている。それらの作品の一部を画像にしてみた。1つ目は段ボールで作った「タケノコ」。タケノコ・ニョキニョキ。2つ目は「クモ」。カーテンに貼り付けてリアルだ。3つ目、壁を這い上がっている虫。虫の名はわからないが。いずれもが、コロナ禍の休校・休園中の野の生活・遊びを映し出しており、Hならではの作品となっている。

男坊主たち(学童K、従兄弟の中学生T)に薪割りを頼む。節目のない頃合いの薪を四、五本渡す。Kは、ここでもやはり剣士(鬼滅の刃の主人公?)に成り切ってナタを振り下ろそうとする。スパッとうまくいかない。薪にナタが刺さったままになる。ゲンノウを打ちつけて、ようやく薪が割れる。その点、中学生になるとナタ使いの要領が違う。二、三回打ちつければ小気味よく割れる。Kは、それを見ていて「オレも」と挑戦する。そのうち要領がつかめてきた。「もっとやりたい」と言いだし、薪が一山できる。夕飯の支度の時間となり、カレー鍋の煮炊きも二人に頼むことにした。焚きつけ用の小枝から点火することだけ教え、後は任せてみた。交替しながら団扇をバタバタ仰ぎ、手作り竈(かまど)から赤々と炎が吹き出した。

自宅と野っ原だけの、ひとときの暮らしだった。幸いに雨天が少なく、晴れた日はいつも野に繰り出していた気がする。ここまで書いたこと以外に、竹とんぼ作り・飛ばし、斜面での草すべり、凧あげ、ワラビ・山菜採り、自転車乗り(野っ原で悪路だから面白がった)、棒きれ遊び(棒切れは何にでも変身する)、などをした。
五味太郎さんの言葉を借りて言えば、『子どもに失礼』なことはしなかった。むしろ、『子どもの体質に合った』ことを多くやったと思う。子どもだけでなく、大人も楽しんだ。
プリント学習について補足しておくが、その後、Kは適宜うまく進めた。それだけ、書いておく。
休校が終わって「疎開」が終了することになった。父親が迎えに来た。KやHに、「それじゃ、元気で」と言うと、Hは返事したがKは横を向いたままだ。もう一度Kに言う。すると、Kがしがみついて来た。背中をポンと叩きながら、「うんうん」。爺もなんだか言葉が出て来なかった。 (おわり)
野に出て遊ぶ ③ 〔暮らしのさんぽみち〕

野っ原に竹があったので、割ってヒモをつけて弓を作った。弓のしならせ方は、ちょっと難しかった。矢はどうするか。割った竹の余りを更に割って作って飛ばす。しかしどうにも、真っ直ぐに飛ばない。セイタカアワダチソウの枯れた茎が真っ直ぐだから、どうか。すると、軽くてよく飛ぶ。すぐに、遠くへ飛ばす競争が始まる。
ベビーカーをゴトゴト揺らしていた母親(娘)が、乳児Sが寝るのを見計らってノコギリやナタで竹細工を始めた。竹の食器作りだ。竹のコップ、竹の箸、お皿はちょっと難しいか。園児Hは、弓矢よりこっちがおもしろそうみたい。お昼の野外料理で使える。

竹? それならひょっとしたらタケノコがもう出ているだろうか。どうだろう。付近を見に行くと、地面がボコボコと荒れている。イノシシの仕業らしい。真新しい凹みに、竹の皮が散乱している。へぇー、タケノコが地面から出るか出ないかのこの時期に彼らは見事に探索し穴を掘り、平らげていくのだ。もう、無いだろうか。総出で探すが、見つからない。ウロウロしていると、園児Hが「あそこ!」「ここにも!」と指差す。すると確かに下草のなかからタケノコがチョコっと焦げ茶色の頭を出している。「すごいね、H」 タケノコを見つける要領がわかると、次から次へと見つかっていく。
早速、スコップやクワを持ってきてタケノコ掘りが始まる。周りをグルリと爺が掘り下げておいて、Kが根元をグッと突き刺す。ソレッ、エイッ、二度三度突き刺して、ようやくタケノコがグラッと横倒しになり、ポコッと取れる。「やったー!」 Kは、もう夢中になる。周りを掘ることからも、全部やると言ってやり出す。爺も、応援にまわる。ソレッ、突き刺せっ!

その次からは、深鍋が用意されてタケノコを野外で煮炊きした。野菜や肉も調理されて、贅沢な昼ご飯となった。従兄弟の中学生Tとその母親(長女)も参加する日もあって、野外の食事会はたいそう賑やかになった。
(つづく)
野に出て遊ぶ ② 〔暮らしのさんぽみち〕

虫取りは、自然発生的に始まった。ホクホクの顔をして帰って来て、しまってあった昆虫図鑑を二人して開いて、なんだかんだと話している。「アッ、これって○○蝶だ」「これ、オニヤンマに似ているけど、違うんだ」 図鑑から知識を吸収していく速度と密度が、スゴい。
魚つかみは、こちらから持ちかけた。2Lペットボトルの底に切れ目を入れて魚道を作り、中に金魚のエサを入れて小川の淵にうまく沈めておく。即席の魚篭(びく)だ。ここまでは二人とも実感が湧かなかったようだが、翌日見に行くとペットボトルの中で動いているものがある。「アッ、入ってる!」 Kが身を乗り出して小川の中に入らんとする。手を取り、岩の上に乗せさせて魚篭を一緒に取り出す。「ワァッ」 ドジョウ、沢ガニ、小さいハヤ、魚篭の中が騒がしい。Hは容れ物に石ころを入れて持ち帰って、エサをやらなきゃと言って残飯などを入れ、しばらく覗いて見ている。

借りている畑に何本かの栗の木があり、枝からロープを垂らして簡易ブランコを作る。二人が代わり番こに「押して!押して!」 Kはそのうち、ロープをグルグルねじってくれ、手を離すとクルクル回るから、面白いからと。今度は次にブランコを大きく揺らしておいて、棒きれでブランコとの「闘い」をしはじめた。それを見ていた爺が、別のロープにペットボトルを結わえ、別の枝から垂らして「コイツと闘ってみろ」とけしかける。ペットボトルは不規則に跳ねてから襲いかかって来る。Kは、ひとしきり「敵」とたたかう。「エイッ」「ヤーッ」 これぞ、塚原卜伝の剣術修行なるぞ!(卜伝は知らないか、アイツらは……)

Kは、そのうちどうしても、もっといい「剣」を手に入れたくなったらしい。棒きれを探してきて、「刃(やいば)」をつけられないか、「刀(かたな)」らしくできないか、「鍔(つば)」は自分で作ると言う。自宅に戻って、電気カンナで削って刃先をとがらせてやる。ついでに思いついて、その刃先にアルミホイルを巻いてやった。棒きれが、刃が光る剣に変わった。Kは小躍りして喜び、振り回す。どこに行っても持ち歩いた。伸びた草があると、シュパッ、シュパッ、振り回し、パパに見せたい、東京まで持って行きたいとご機嫌だった。 (つづく)