めのさっかく。
道を歩いていると、いろいろな人とすれ違うものだ。 サラリーマン風や、学生風、外国人を見かけるのも珍しくなくなった。 年齢も様々で、赤ちゃん、女の子、お兄さん、おばちゃん、
おじいさん。
このおじいさん。 なんだか、妙に足が長い。 昔、流行った、ヘリウムガスの入った、風船人形のような風情がある。
こんなの。
流行ってないかもしれない。
謎のあしながおじいさん。 このおじいさんが、なぜにこんなにも足が長いのか。 ぼくは気が付いてしまった。 こちらのおじいさん、今時珍しく、腰が曲がっていらっしゃるのだ。 杖こそついていないものの、腰が曲がって、極端な猫背のようになっている。 その結果、上半身が、実際よりも短く見えて、足が極端に長く見えているのである。
と、いうことは
と、いうことはである。
自慢じゃないが、ぼくは猫背である。 熱いものも食べないし、にゃーと鳴かないのが不思議なくらいの、ねこっぷりなのだにゃ。
つまり、
ほら、
このように
足が長く
足が長く
見えない。
シンプルに長かった。
おじいさんの足が
シンプルに長かった。
猫背は関係ない。
なかったにゃ。
ぼくは昔から手足が短く、いや、手足は、短くなったり、長くなったりするものではないと思われるのだが、とにかく短くて、身長は、180弱と、決して低い方ではないのだが、手足が短いせいで、高い棚などに、意外に手が届かないという、残念高身長なのである。
そういえば、ぼくの亡くなったおじいちゃんも、手足の長い、スラッとした人であったのだが、今からでも遅くないので、隔世遺伝とかしたりしないものですかね?
ぼくの人生につづく。
ボタンデリカシー。
信号を待っているカップル風のふたり。 目の前の信号機には、『押ボタン式』の表示。 まぁ、ボタンは押してあるだろうと、信号を待とうとしたところで、少し離れたところにある信号機が、青なのに気が付いた。 この信号機は、ボタンを押すと、すぐに変わるタイプではなくて、ほかの信号機と連動して動くタイプで、その信号機が青なら、こちらも青にならないとおかしいのだ。 あわてて、ボタンを確認すると、案の定『ボタンを押してください』の表示。 ぼくがボタンを押すと、カップル風のふたりは、「あ、ボタン押さないといけないらしいよ」なんて話をしていた。
こういう人たちは、『押ボタン式』の文字を読まないのだろうか? それとも、読んだうえで、機械のボタンを押さないのだろうか?
ぼくは、この『なんとなくボタンを押す人々』の存在が、不思議で仕方がない。 現代社会なんてものは、ボタンで成り立っているといっても過言ではないのに、なぜ、ボタンに対して無関心でいられるのだろうか? こういう人たちは、電子レンジでものを温めても、あっつ熱だったり、ひえっ冷えだったりするし、エレベータの閉じるのボタンも押したことがないし、逆に、いくら押したらダメだといっても、パソコンの電源ボタンを押して、電源を切ったりするのである。 まったくもって、ボタンデリカシーに欠けている。
そんな『なんとなく押す人々』をよそに、今日もぼくは、押しボタン式の信号機が、すぐに変わるヤツなのか、そうでないのかを気にしたり、エレベータのボタンが、入り口以外にも付いているのか、付いていないのかを、を気にしたりしながら、ボタンデリカシーにあふれた日々を送っているのである。
ぼくの人生につづく。
子犬でも怖いらしい。
知人の山本さん(仮)は、学生時代はラグビーでならした大男。 人当たりも良く、声と体の大きい好青年。
ポメラニアンのビリーは、ポメラニアンにあるまじきデカさで、普通のポメラニアンの、倍ぐらいある、大ポメラニアン。 とはいえ、大変に大人しく、無駄吠えもしない、好ポメラニアンでもある。
そんなひとりと一匹が、チョットした集まりで、一緒になったのだが、山本さん(仮)の怖がり方が、尋常じゃない。 実は、山本さん(仮)、子どもの頃に、犬に噛まれたことがあるらしく、大の犬嫌い。 ビリーにも決して近寄らず、「噛む? 噛む?」とくり返している。
大男の大悲鳴が響き渡った。
普段なら、絶対に人を噛んだりしないビリーが、こういう時に限って噛む。 ビリーの名誉のためにいっておくと、ビリーはまったく歯を立てておらず、人が集まって、テンションの上がったビリーが、「はやく遊ぼう!」くらいの感じで、甘噛みしただけなのだが、山本さん(仮)にとっては、人食い狼現る! くらいの事件だったようで、遊んでもらおうと、近づくビリーから逃げ回る山本さん(仮)は、可哀想になるくらい、おびえていた。
ぼくが今回いいたいのは、山本さん(仮)が、見かけによらず、怖がりだとか、ビリーは本当はお利口さんだということではなく、まわりで見ていた犬好きが、笑って見ているだけで、だれも助けに入らなかった、ということなのである。
実際、ビリーが、山本さん(仮)を追いかけまわして、ケガをさせるようなことはなかったし、山本さん(仮)自身、ビリーがお利口さんだということは理解して、恐る恐る頭をなでたりしていたが、一歩間違えたら、事故になっていた可能性は、大いにあったと思う。
犬好きが、全人類が犬好きだと思い込む。 猫好きが、全人類が猫好きだと思い込む。 まぁ、思い込むのは自由だが、現実がそうでない以上、事故が発生した時に、犬や猫が悪者にならないように、気を使う義務があるということは、忘れないでいただきたい。
指をはむはむする、ビリーが、世界一かわいくても、である。
ぼくの人生につづく。