イースシリーズの最新作。
時系列はⅨからかなり遡って、「失われた古代王国」(Ⅰ・Ⅱ)と「セルセタの樹海」(Ⅳ)との間の話。
つまり、アドル・クリスティンの二番目の冒険ということになりそうだ。
アクションが一新されて気持ちよく、そしてヒロインのカージャがひたすらかわいいゲームだった、というのが感想だ。
アクション
アクションはスキルシステムなどは「Ⅸ」までのシステムを踏襲しているのだけど、プレイ感覚は随分変わった。
今までは、相手の攻撃は回避で避ける伝統的なヒット&アウェイの戦いがメインだったけど、今作はガード、特にジャストガードが防御の核になっていた。
普通のジャストガードも気持ちいいのだけど、敵が赤いオーラを発してきた時のジャストガードが決まると、アドル・カージャの必殺技が発動するのが気持ちいい。また、敵が青いオーラを発してきた時(スピードアタック)にジャストタイミングでダッシュでぶつかっていく時も、必殺技が出るときがある。
この必殺技を狙って敵の攻撃を避けずに反動を狙っていくというのがめちゃくちゃ楽しかった。
ジャストガード、特に赤の攻撃へのジャストガードはリベンジゲージが大量に貯まり2人で発動するデュアルスキルの倍率が一気に上がっていくので、ジャストガード→必殺技→倍率の上がったデュアルスキルでさらに大ダメージ、というのが楽しすぎた。
このデュアルシステムでのバトルが本当に楽しく、次作はどうするの?と心配になったほどだ。
設定的に今作一回限りになりそうな気がするけど、この楽しさを知った後で、「Ⅸ」以前の三人パーティバトルには戻れないよ、と思ってしまった。
それぐらいバトルは楽しかった。
探索
今回は、「海」を舞台にした話で、カージャを船長とするサンドラス号で、オベリア湾を旅するという話なので、オープンワールドかなと思ったけど、想像以上にエリア制だった。
ここから先はいけないのか、というシチュエーションも多く、もっと自由に航海したかった、という気はする。
シナリオが章立てのリニア方式なので、一定の自由度を与えつつ、エリア制で区切りをつけるのも致し方なしなのかもしれない。
船は最初は「ちょっと船足遅すぎない?」と思ったけど、海流に沿って進んだり、マナセイルで加速したりとむしろ色々工夫して速度を出す、というところがよかった。
島の探索は、「埋もれた財宝」が厄介だなと思ったけど、アクセサリーをつけてマップを見ると、どこにあるかが一目瞭然なので、それに気づいてからは取り逃がしの心配なく気持ちよく進めることができた。
マナアクション
マナアクションも楽しかった。
アスレチック的な楽しさもあったし、謎解き要素にアドベンチャー風味が出たのも良かった。
一番楽しかったのは白鯨との戦いで、白鯨と追いつ追われつ、滑ったり、ハイジャンプしていくのが楽しかった。
ストーリー
ストーリーは、なんだか全体的におおらかでちょっと緩い雰囲気だな、と思った。(別に悪い意味ではない)
敵のセリフもユーモラスなところがあったり、真剣に殺しにきている場面でも、プレイしている方はそんなに緊張感を感じなかった。
なんなんだろうなあと思いながら話を進めていくと、最後のタッグマッチが「俺たちを乗り越えていけ」(意訳)的な感じだったので、最後にこういう展開にするべく逆算して作られた話だったのかもなあと思った。
最後のタッグマッチは、なかなか燃える展開で、それまでの展開からもピッタリハマる感じだったので、納得感は十分だった。
今までのシリーズの中では、一番気持ちよく楽しく戦えるラスボスだったと思う。
プレイ前は、本作はイースでの冒険の直後の話なので、イースや有翼人伝承などと何がしかの繋がりがあるんじゃないかと期待したけど、そのへんは全くなかった。
ストーリー的にもノーマンの世界観でまとまっているので、有翼人の伝承が出てくる余地はなかったな、というのはわかった。
アドルの年齢を遡ったのは、同年代の女子と一緒に生活せざるを得ないという設定が成り立つギリギリ無理のない年齢だと考えたからなのか、将来的なカージャ再登場を見越してのことなのか、どっちかなんだろうか。
そういえば、「リラの貝殻」のリラご本人が出てきたけど、「イースⅡ」でハダトが使っていたリラの貝殻との関係は不明なままだった。
イースの民がエステリアと後に呼ばれる土地にたどり着く過程で、リラと出会って貝殻を贈られた可能性もあるのかもしれない、くらいだろうか。
イースシリーズは、過去作やっていなくても楽しめるというのがセールスポイントのひとつなのだろうけど、あまりにも「イース」から離れると寂しく思う。
もう少し「イース」の続編であることも意識してほしい、というのが僕の希望だ。
僕は、ストーリー的には「ナピシュテム」からの3作(ナピシュテム、フェルガナ、オリジン)の雰囲気が好きだった。
あと、イースⅠ・Ⅱ完全版を高解像度化したものを現行機に移植してくれたら嬉しい(例えば、steamで出ているYs I & II Chronicles+を日本語化したようなものとか。)。
カージャ
ヒロインのカージャが可愛かった。
可愛らしい外見なのに言動が少年っぽいところがかえってかわいいな、と思っていたら、中盤からはちょっと女性的な話し方も混ぜてくるのは反則的だ、と思った。
こういう元気でカラッとした感じのヒロインは好きだ。
思わず、DLCのコスチュームも全部買った。
マーメイドは、ちょっと普段は着せづらかったので、主に冒険者風のコスチュームでプレイした。
なんかこう、シャツがジャストサイズというか、はちきれそうななところが実にいい(書くかどうか迷ったけど結局書いてしまった。)。
ヒロインといつつ、カージャの方が6割くらいは主人公だったかも。
イースのヒロインといえばフィーナしかありえないだろう、という原理主義者の僕でも、カージャの魅力にはくらくらしてしまった。
最後のお別れの場面は爽やかすぎてなんだか僕がズキンときてしまったくらいだ。
またいつか、8年後のカージャとか10年後のカージャとか、共闘する仲間として出てきてくれたら嬉しい。
グラフィック
グラフィックは、残念すぎるくらいのクオリティだった。
ところどころハリボテ感さえあり、今世代のフルプライスのゲームでこれはないよなあと思った。
しかし、今のゲームはクオリティを高めようとすれば、5年じゃきかないというくらい開発期間がかかるわけで、ある程度のペースで出すには妥協も必要なのかもしれない。
3〜4年に一度、新作を出してくれるなら、それでいいかという気もする。
フレームレートは安定していたし、エリア切り替えとかファストトラベルなんかはロードレスだったので快適ではあった。
トロフィー(断念)
ラスボス戦手前でセーブデータを作っておいたので、クリア後、トロフィーを集めようと着々と収集活動に勤しんだのだけど、途中で人物メモの取り逃がし(時限要素)があることに気づいてしまった。
取ろうと思うと、2周目のナイトメアでもそっちに気を配りながら進めなければいけない、と思うと、そればあんまり楽しくなさそうだ、と感じトロフィーを集めようという気分は急速に萎んだ。
わかりにくい時限要素は、本当にやめて欲しかったなあと思う。
サブクエストさえ拾っていけばいけると思っていただけに、がっくり来てしまった。
感想まとめ
アクションは相変わらず楽しく、新要素が加わって今までで一番面白かった。
ヒロインのカージャがかわいい。
イースや有翼人伝承とのかかわりが全くなかったのはちょっと寂しい。
色々と制約はあったけど、海の冒険も楽しかった。
という感じです。