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『しのゼミ』

日常で出会った「気付き・笑い・学び」を綴っています

夏休みの宿題を,最後の最後までやらずに取っておくいっ君(中二)。

イヤなことは早めにやっておいた方がエエで・・・という理詰めで諭してもダメ。

宿題やらんとゲームとテレビとiPod無し!という強硬手段に訴えてもダメ。

「ダルイからやらへん!」

分かったような分からんような理由で,親の言うことなど聞く耳は無い。



夏休み最終日には,また途轍もない量の宿題が残っている。

そして,最終日になって,やっとお尻に火がつくいっ君。

あれが無いだの,これを教えてくれだの,それは後で良いだの,どれをやるのか分からんだの・・・・・土壇場になってから言いだす。

昨年もそうだった。

そんなイヤ~な体験に懲りた両親は,今年は一切手出ししないと決め込む。

いっ君が何を言っても,「さ~あ,知らんなぁ」「今日は忙しいからなぁ」「自分でやったら」。

示し合せて,いつもより圧倒的早めの22時に寝室へ閉じこもる。



そんな親の非協力的態度に懲りて,少しは計画的とかこつこつとか,マトモな考えになってくれればいいのだが・・・・・

しかしいっ君は,そんな親の浅はかなる知恵など気にする風ではない。

今年は親ではなく,妹たちの手を借りようとする。

「お~い,ちーとみー,習字手伝え!」

妹たちを呼んで,宿題の習字を手伝わせようとする。

すると,「あたしが書いたるワ」と長女ちーが言い出す。

二女みーも「ウチも応援するわ」と参加してくる。

珍しい兄からの頼まれゴトに,いつもなら断る「お手伝い」が二人とも楽しそうだ。

「この漢字,まだ習ってへんし」

「適当でエエから,書いてみ―」

「・・・こんな感じ?」

「ほー,上手いやんか,ちー・・・エエぞ」

この辺のいっ君の人事の巧みさというか,手綱さばきはなかなかのもんだ。



ちなみに,ちーは習字が上手い。

コンクールでは,いつも佳作とかに入る腕前だ。

一方,いっ君はと言えば,これまでに努力賞程度なのが一回有るか無いか。

まぁ簡単に言えば,下手くそっちゅーことだ。

なので,ちーの「代筆」が上手すぎることに気付いたいっ君。

早速,それに対する注文を入れる。

「あっ,そこのハネ,もうちょっと適当でもエエで」

「その字,少し曲がっててもエエで」

「ちー,もうちょっと下手でもエエで」

・・・・・



参加したものの,二女のみーはやることが無い。

最初はモノ珍しげにちーの習字に見入るが,じき飽きる。

つまらないのか,冷蔵庫から取り出したいちごのアイスを食べ始める。

アイスを食べながら,ちーの習字にコメントするみー。

すると,油断したスキに,溶けたアイスが「作品」の上に落ちてしまう。

そこそこ上手く書けていた作品に,みーによって「直し」のような朱色の斑点が入れられる。

それを見つけたちーが,カンカンになって怒りだす。

「おーいー!,何してくれんねん!みーのアホ!」

そんなちーを,いっ君が宥め始める。

「まぁエエやんか,もう一回書けば」

「あーもうイヤや,書きたくない!」

「ちー,頼むわ,もう一回だけ・・・・・みーはあっち行け!」

・・・・・



チャランポランな管理者・いっ君。

マジメな労働者・ちー。

飽き症で注意散漫な傍観者・みー。

これがシノ家の役割分担。
昔,お銀という婆様が居た。

しっかりしたこわい婆様で,家内でのしつけは厳しかった。

息子・娘を叱り,嫁を叱り,近所の子供らまでも叱った。

孫たちは,婆様から優しい言葉などかけてもらった記憶が無い。

そんな婆様は,皆から「お銀ばあ」と呼ばれ恐れられた。



お銀ばあの連れ合いである松吉は,40代半ばの若さで亡くなったことになっている。

この松吉は,山間部と街との間で生活用品等の荷運びをする,今で言う「運送業」みたいなことをしていたらしい。

ある時,いつものように山村に向かった松吉だが,いつまで経っても帰ってこない。

程なく,山中に入った道路の真ん中に,松吉のものらしき荷車が取り残されてあると聞く。

本人は不在。

その山道のすぐ横は急峻な崖へと続いており,下には大きな川が流れている。

落ちたら一溜りもない。

こうした状況下で,死体が見つからないまま崖下への転落死として扱われた。



一家の大黒柱を,突然もぎ取られた形のお銀ばあ。

それからは,女手一つで子供3人を育てることになる。

と言っても,蓄えや手に職があるワケでなし。

普通の百姓だ。

とにかく,地道に田畑をやり養蚕業に精を出すしかない。

そんな中,長男・重吉は学校を卒業後,なにか違った商売を始めることを考える。

それは,やはり「運送業」。

それには,父・松吉が残してくれたモノやヒトのつながりがあったのかもしれない。

重吉の決意を聞かされたお銀ばあは,最初は反対する。

やっと一人前になった可愛い一人息子が,こともあろうに夫を奪った運送業を志すとは・・・・・

きつく反対はするものの,しかし一人息子の決心には逆らえない。



この重吉の始めた商売は,結果的にうまくいく。

今から見れば,たいしたことない商売だ。

山の方で取れる良質の炭などを街の方へ持って行き,その帰りには街で得た生活用品を山へ持って行って売りさばく・・・っちゅーような思いつき。

まぁ新発想ということがあるのなら,それは行き帰りともに積み荷満載。

ムダが無い。

それだけなんだが,当時はそんな発想だけで商売が成り立った。

若くして少し金回りが良くなった重吉。

成金趣味なんだろうか,儲けたお金でさっそく自宅を新築。

当時は,近隣で最も立派な2階建ての建物だったと言う。

そうして重吉は,隣町からタケを嫁に迎える。

あんな立派な家だったら・・・と,タケとの婚約はすぐに決まったらしい。



しかし,嫁のタケが入る余地は無かった。

夫の重吉は商売に夢中だ。

重吉にしてみれば,もちろん商売が純粋におもしろいということもある。

が,母であるお銀ばあの喜ぶ顔が見たい,というのも大きい。

父松吉が居なくなってからのお銀ばあの苦労を,身近に見知っている。

早く楽をさせたい,自分も力になりたい,そう思って育ってきた。

なので,お銀ばあが喜んでくれればそれでいい。

お銀ばあの方はと言えば,絶対的な家の主として君臨し続ける。

商売をどうしていくとか,誰と商売するだとか,何を新たに買うとか,そういうことはお銀ばあ無しでは決まらない。

もちろん,重吉の商売関係も含めた,すべての家の財布を握っているのもお銀ばあだ。

この厳しい世の中,甘っちょろい考えではやってけへん。

まだまだ若いモンに任せちゃおれん。

そんなふうに院政をしくお銀ばあによって,すべてのことがトップダウンで決められる。

気の良い新嫁のタケは,そんな状態を許容し従順する。

結局タケは最後の最後まで,お銀ばあには一度も否と言えなかったという。



・・・・・ちょび髭をたくわえ油で頭を撫でつけた「成金顔」の重吉,ニコニコして真ん丸な「サル顔」のタケ,そして眉間にシワ寄せ背筋をしゃーんと伸ばす「コワ顔」のお銀ばあ。

それら3名の遺影が,シノ実家の仏間には並べてある。

子供のころ,仏間でふざけてると「お銀ばあに叱られるぞ!」と脅されたっけ。

明日は送り盆。

たまにはそのコワ顔を緩めてもエエんやない,お銀ばあ?


米国留学帰りの後輩先生が,帰国の挨拶がてら自分の部屋を訪ねてきた。

「これ,大好きやったんっすよ!どーぞ」

お土産にフレーバーコーヒーを一袋を持ってきてくれた。

「おーありがとー,オレも好きやねん」

久し振りにお気に入りの品を手にして,フレーバーコーヒー論の展開と相成った。



バニラとかキャラメル風味が混じるフレーバー・コーヒー。

米国留学中には,挽いてブレンドされた豆の袋売りを買ってきて,ドリッパーで毎日のように飲んでいた記憶がある。

個人的な好みを言えば,ちょっと薄めに淹れるのが良い。

日本の缶コーヒーを75%程度に薄めたくらいか。

そもそも日本で手に入る缶コーヒーは,少し濃すぎたり甘すぎたりするものが多い気がするが。

なので,最近はコーヒーをあまり買っては飲まない。

例外は,やっぱ冷たいコーヒー牛乳。

幼児期の(共通)体験を持ち出すまでもなく,これを嫌いなヒトは少ないんじゃないだろうか。

そのためかどうかは分からないが,出されたコーヒーにはミルクをたっぷりと入れてしまう。

砂糖は入れない。

With milk & no sugar!

たぶん,こんな自分はコーヒー一般をそれほど好きではないんだろう。

コーヒー嗜好者としては明らかに異端者だけど,フレーバーに話を戻す。



さて,このフレーバーコーヒーを日本の(田舎の)スーパーで手に入れようとしても,置いてないことが多い。

理由は簡単で,たぶん売れないからだろう。

なぜだろう,こんなにうまいものが流行らないなんて・・・?

「・・・多分その理由は,正統的じゃないからやないっすかねぇ」と,後輩先生とのフレーバー論は続く。

「やっぱオトコはブラックやん!っちゅーこと?」

「それもありますが,最初から混ぜ物するなんて軟弱やしアカンっちゅーよーなことです」

「軟弱かぁ・・・日本人はマジメやからなァ」

「味付けするならその後でご自由に・・・っちゅーのが,日本的やないでしょうか?」

「なるほどなぁ」

「野球でも,エースたるもの,やっぱ直球やないっすか」

「まぁ技巧派と言われるヒトでも,ある程度は直球を投げるよなぁ」

「ナックルボーラーってのは,日本ではまだ受け入れられないっちゅーのがあるように思うんですワ」

「ハハハ,たとえば高校野球の県代表エースがナックルボーラーやったら,けっこうニュースにはなるなァ」

「高野連が,高校球児に相応しくないとかなんとか,言いだすかもしれんっすよね」



「・・・やっぱ米国のフレーバーコーヒーってやり過ぎやないやろか?」と自説を展開してみる自分。

「やりすぎっちゅーと?」

「あんたスモーカーやから分かって欲しいけど,フレーバーコーヒーと煙草のピースって似てない?」

「はぁ~,あの甘い香りがなんとなく・・・」

「一部のマニアは置いといて,やっぱピースってごくたまーに吸うのがええんちゃうかな?って思うけどな,煙草吸わん自分が言っても説得力無いけど」

「そーっすね・・・自分はあんまりピースは好きやないっすけど」

「思うに,ピースの香りってほのかに甘いどころか,これでもか!ってくらい甘くない?」

「それは個人に依るとは思いますけど・・・」

「やっぱ隠し味的にほのかに甘いっちゅーのが,この日本ではええんちゃうやろか?」

「隠し味っすか?」

「ドボドボって入れた隠し味がヘンに前に出過ぎっちゅーか,脇役が主役を押しのけてプンプン臭うっちゅーか・・・そういうのは日本ではウケへんちゃうやろか」

「そう言えば,自分もフレーバーコーヒーをブレンドさせて飲むのが好きなんっすが,確かに米国のフレーバーは少し強すぎるのかもしれませんね」



あちこち展開されたフレーバー論,最終的には日本の田舎に至るまでもうすぐフレーバーコーヒーの大ブレークがくるかもしれんっちゅーことで結論は落ち着いたが・・・・・さてどうか?



▼ とある会議のために近隣病院へ向かう。

定刻ギリギリ気味にその病院へ到着すると,運が悪いことに駐車場が工事中。

近くの第二・第三駐車場へ廻ってみるも,こちらもクルマが順番待ちをしている。

マズイ・・・・・間に合わんかもしれん。

巨視的且つ微視的にこの駐車場にまつわる状況を把握し,素早く計算する。

そして,病院に一番近い第一駐車場が最も(回転が)速いだろうという推論にたどり着く。

その答えに賭けるつもりで,順番待ちをする車の列の最後尾に並んだ。



■ その賭けは当たったようだ。

並んだクルマの列は,ノロノロとだが比較的順調に進んでいく。

病院に近くて広い分だけ,想像通り回転は速いようだ。

5分ほど待っただろうか,いよいよ次が自分の番となる。

案内のおじさんに指示されて,ポツンと空いた場所に車を止めようとする。

はぁ~間にあった・・・・・んっ?

すると,そこにはいつの間にやらオバチャンが立っている。

何してんねん,このオバチャン!?

ウインカーを出してみるが,オバチャンは気付かない。

クラクションを鳴らしてみると,オバチャンは気付かぬフリをしている。

そうして「ここはウチの場所やん!」って,自己主張をしている。

どうやらこのオバチャン,順番を待ち切れずに「場所取り」に現れた模様だ。



◆ 「オレの場所やん!」

この掟破りの登場に,さすがに冷静沈着なるしのゼミ管理者もカーっとなる。

いっそのことクルマで轢き殺してやろうかと思うが,オバチャンまでの距離は3mほど。

轢き殺すには,助走距離が足りないようだ。

それに,たとえクルマで体当たりしたとしても,この面の皮ブ厚きオバチャンには,はね返されるかもしれん。

クルマから睨みつける自分と,涼しげに無視する大阪のオバチャン。

この駐車場所をめぐる一進一退の攻防の仲裁に入ってくれたのは,案内係のおじさんだった。

「あのー・・・みんな並んではるし・・・順番やから・・・」

そう中に入って説得してくれてるようだが,聞く耳などオバチャンにあるハズが無い。

「ウチらもけっこう急いでるし」とか「予約時間が過ぎてますねん」とか,案内のおじさんを煙に巻いている。

「ガンバレ,おじさん!」という自分の応援も虚しく,結局オバチャンは根付いたようにその場を離れることはない。

しばらくして近くの場所が空いたので,「すんません,こちらへどーぞ」と案内のおじさんに言われ,駐車場をめぐる醜い争いはオバチャンに軍配が上がった。



● 少し遅刻して病院の会議室に到着。

しかし,この日のヒトの集まりは良くなく,まだ会議は始まっていない様子。

はぁ~なんとか間にあってよかった。

エアーコンディショナーの効いた部屋の窓から,駐車場を見下ろしてみる。

そして,さっきのオバチャンを探してみる。

すると・・・・・

まだ居たっ!

オバチャンは熱い中,あいかわらず「場所取り」をしている。

結局のところ,駐車場の出入口が狭いので,そのオバチャンが取った場所に駐車されるべきクルマは,残念ながらまだ後ろで順番待ちをしている模様。

ハハハ,場所取っても意味無かったな,オバチャン。

それが分かるまで,ずーっと立ってろ(熱中症に気をつけてな)!




▼ ショッピングモールにて。

1Fの食料品売り場の入口に,野菜コーナーがある。

トマト,茄子,キャベツ,胡瓜などが山と積まれていて,そこそこの人気だ。

そのコーナーは,次のような広告ポスターで宣伝されているのが眼に入る。

“豪雨と猛暑のため価格高騰!”
“高値野菜大放出!!”



▼ 突っ込みどころ満載なる広告だ。

まずは「豪雨と猛暑」。

雨が多くて暑ければ,野菜の育ちはええのんとちゃう?

昨今は二酸化炭素濃度も高めらしいし,生物学的には光合成に適した環境になってると言えんことも無いし・・・と突っ込みを入れたくなるが,どうやら長雨による日照不足が原因なようだ。

次に「高値野菜」ときている。

このデフレ時代に,高値の野菜を売ります!との宣伝はいかがなものか?

高値の野菜を割引しています,なら分かるが。

あるいは,品薄野菜を大放出してます,なら良いが。

文句だけを読むと,ハッキリ言って何を宣伝したいのか全く分からない。



▼ 何でこんな意味不明な宣伝文句になったんだろう?

たとえば,このキャンペーンを打つのは全国チェーン店なるが故,卸しに地域差があるのかもしれん。

ひょっとして,とある地域では野菜を高値のまま売らなければならないかもしれん。

つまり,高値の野菜を大量に仕入れて売るというキャンペーンはできても,割り引く値段まではコントロールできないかもしれん。

そんな事情があって,「高値野菜大割引」という文句にできなかったのではないか?

シノゼミ的に想像してみると・・・・・イト○カ堂宣伝部会議にて。

「部長,間近に迫った全国一斉の高値野菜大割引キャンペーンの件なんですが,大阪支店がウチには割り引く野菜などあらへん・・・と非協力的な態度を示してきています」「ふ~む,困ったな」「どうも大阪支店の卸さんが,現状の価格がギリギリと言ってるそうです」「じゃあ,大割引というキャンペーンにならんじゃないか」「そう思われます,最近は消費者側もうるさいので,下手な文句でキャンペーンを張ると,嘘つきなどという投書やクレーム電話が鳴りっぱなしという最悪の事態も想定されます」「そうか・・・このままじゃマズイな」「しかしまだ公式発表前ですし,今からでもキャンペーンタイトルの変更は可能かと思われますが・・・」「そうだな」「問題があるとすると,キャンペーンポスターでしょうか」「ポスターの進捗は?」「ハイ,デザインはすでにできてますが,印刷はまだです」「そうか・・・じゃあポスターデザインの修正もまだ間に合うということか」「ハイ・・・しかしながら,少し問題がありまして・・・」「うん?」「え~っと,ポスターデザインの大きな変更となりますと,デザインの再発注ということになってしまいます」「金か」「そうです,しかし文字変更など微修正であれば,安い修正料金で可能とデザイナー側から言われてます」「って言うと?」「つまり,高値野菜大割引の7文字を守った上での文字変更をすれば,支出を抑えることが可能です」「そうか・・・じゃあ例えば問題となる“割引”の文字だけを何かに変えればいいんだな・・・たとえば“放出”みたいな感じに」「それくらいのマイナーチェンジならデザイナー側もすぐにやってくれるでしょう」「じゃあすぐにキャンペーンタイトルの修正をかける方向で動いてくれ」「わかりました,具体的には大放出への変更でいいでしょうか」「文句なんて何でもいいだろう,人目を引く派手なポスターであれば」「わかりました,今からすぐに手配します」

・・・・・こんな想像をしてしまうほど,ヘンテコリンに思える。



▼ 提案

「日照不足のため価格高騰中ですが・・・取れたて野菜を大放出!!」

「長雨のため品薄気味ですが・・・大量入荷の野菜大放出」

あるいは単純に「野菜,大放出中!」

こんな無難な文句でよかったんちゃう?