『しのゼミ』 -19ページ目

『しのゼミ』

日常で出会った「気付き・笑い・学び」を綴っています

敢えて語るほどの知識もなく,
どーしてもと言うほど執心でもないが,
「タップダンス」がちょっと好きだ。

履いた固い靴をコツコツ踏みならすという,
考えてみればなんとも不作法極まりない動作。

そもそもダンスと称するのも躊躇われる,
このあまりに原始的且つ単純なる音の踏み鳴らしが,
なぜこれほど自分の心に残るんだろう?



グレゴリー・ハインズという俳優兼ダンサーがいる。

イヤ,居た・・・
と言うべきかも知れない。

彼は6年前に肝細胞癌で他界している。

少し古いが映画「コットンクラブ」とか
「ホワイトナイツ」に出演したタップダンサーと言えば,
わかるヒトがいるかも知れない。

ほとんどアラスジなど忘れてしまっているこれらの映画で,
たった数分のタップダンスシーンが自分の記憶に残っている。

イヤ,正確に言えば,
ダンスを見て背筋がゾクゾクした感じのみが残っている。

彼の瞠目なるタップダンスが,これらの映画の見所だ。

少なくとも自分の場合はそう。





彼のタップダンスでは,
一人芝居のようなレパートリーが好きだ。

たとえば場末の酒場のようなくたびれた舞台設定。

少し冴えない感じの中年男性が,
ゆっくりと語り出す。

どことなく酔っぱらったような覚束ない動きだ。

こんなオレでも昔は少し鳴らしたもんだけど・・・ニヤリ。

彼の動きには年輪のようなものを感じる。

どう言ったらいいんだろう,
勢いに任せて踊るんじゃなく,
仕事として踊るんじゃなく・・・・・

たとえれば行間で語る文脈というか,
沈黙が語る音楽と言ったらいいか・・・・・

そんな味わいがある。





脈絡もオチもないけど,この2010年が良い年になりますように。


近くの市中病院で病理技師をしているノコさん。

先日の夕方にニコニコしながら我が病院病理部に遊びに来てくれた。

業務が終わって疲労漂う病理部に,
まるで頼んでいないサンタクロースのように現れたノコさん。

「・・・いろいろお世話になりました」

「・・・ゼッタイダメやんって思ってたけど」

「・・・ありがとうございました」

皆に笑顔を配って廻っている。

どうやら彼女,
細胞診スクリーナーの試験に受かったようだ。



一年に一回の細胞診スクリーナー試験。

これにパスして得られる細胞診スクリーナーの資格は,
病理技師なら多くのヒトが持っている「身分証明書」と言えるか。

この試験には皆が苦労する。

なにしろ仕事と勉強の両立が難しく,
取得に数年を費やしたり脱落したりするヒトも多い。

それを志したノコさん。

昨年は初挑戦で「一次合格,二次失敗」に終わった。

今年は二次試験の検鏡対策が大事になる。

試験前には,
仕事が終わってからワザワザ我が病院病理にまで足繁く通ってくる。

そして夜中まで検鏡・検鏡。

あるいは週末にも我が病理部にやって来る。

そして,検鏡・検鏡・検鏡だ。

並々ならぬ気合いが伝わってくる。

こんだけやってれば,まぁエエんちゃう?って思ったけれど。

余計なコトは言わず,はるか彼方から応援させてもらっていた。



「シノ先生,お世話になりました」

自分のところにも報告に来てくれる。

「受かりました~,良かったです」

「まぁこれからが大事やねん」

「ハイ」

「あんたはまだ自動車免許取り立てやから,
危なっかしくて見てられへんっちゅーことや」

「ハイ」

「独り立ちにはあと何年もかかるからな,
勉強これで終わりちゃうぞ」

ありきたりのメッセージを述べて,
彼女を送り出す。



必死になって一生懸命やれば,
いつかはパスすることができる。

資格試験なんてそんなもんだ。

一番大事なのは,
なりたいって思うこと。

この経験は,
今後の彼女の人生において,
大きな意味を持つに違いない。



よかったな,ノコさん。


先日の朝にクルマに乗ると,
硬質で落ち着いた声音の女性がしゃべりだした。

「今日はシーラカンスの日です」

―― オイオイオイ,なんやねん,それ?

ナビのおねーさんが教えてくれたところによると,
12月22日はシーラカンスの日らしい。

まぁ生きた化石の日と言われても,
それをみんなで食すワケにもいかず,
便乗する誰かが儲けるワケでもない。

ごく一部のマニアを除けば,
へぇ~そんなんあったん?とか,
どーでもええやんっていう日なんだろう。



ちょっと調べてみると,
今から70年ほど前の1938年の12月の22日。

この日に,
南アフリカ近傍で漁をしていた漁船が,
見慣れない魚を捕獲した。

それがスミスという生物学者によって,
はるか昔に絶滅したと思われていたシーラカンスだと鑑定された。

それを聞いた世界がびっくり!

その発見を記念しての「シーラカンスの日」ということらしい。

実は,
12月20日も「シーラカンスの日」と言われている。

それは上記発見から14年後の,
1952年の12月20日のこと。

最初の発見地から少し離れたコモロ諸島という所で,
シーラカンスが再び捕獲された。

その報に接したスミスは,
このコモロ諸島に急行する。

そして,
14年前のものに比べてはるかに状態の良いシーラカンスの標本を手にすることになる。

それを記念してのことらしい。



しかしそもそもなんだ。

20日なのか,22日なのか?

こういう乱立状態はいかがなものか?
っと思うワケだ。

単純に考えれば,
1938年の初発見の価値を重く見るべきだろう。

どーでもええことやねんけど,
単純に考えれば12月22日でええんちゃうと思うんだが。

それに,
仲間割れしてる場合ちゃうで~
っとも思うワケだ。

一本化されていないのは,
理念が希薄な証拠。

どーでもええことやねんけど,
このままやとこの記念日は消え去る運命にあるような気がするが。

せっかくエエ素材持ってんのに・・・・・あー勿体ないしじれったい!

っということで,
99.99%以上のヒトにとってみればどーでもいいこの
「シーラカンスの日」を盛り上げよう!
・・・っという難題に取り組んでみた。



しのゼミからのどーでもいい提案その1) ビワちゃん化計画

シーラカンスって,
賞味期限が切れ気味やねんな,
ハッキリゆうて。

アトラクションとしての商品価値がけっこう下がってる。

そりゃそーやわ,
考えてみー?

シーラカンスって意外にたくさん居るねんなぁ・・・
ってことが調査で分かってきて,
それが肝心の稀少価値を薄める結果になってる。

ちょっと残念やけどな。

こうなったら,
その流れを先取るべきやねん。

稀少価値じゃ無くって,
「もっと身近に」路線やねん。

たとえば・・・・

日本のどこかでシーラカンスが目撃されたことにする。

それも琵琶湖で。

えーうっそー!

このありえんくらい身近なシチュエーションが,
商品価値を復活させんねんな。

想像してみー,
エッライ騒ぎになるでぇ~。

名前は「ビワちゃん」。

マスコミ飛びつくでぇ。

一大観光スポットになるでぇ。

ネス湖化するでぇ。

えらいこっちゃ。



しのゼミからのどーでもいい提案その2) うなぎ化計画

資本主義の世なれば,
やっぱり経済活動と結び付けるのが手っとり早い。

っちゅーことで,
シーラカンスをなんと日本の食卓に!
という大胆な発想からの提案。

まず,
食卓にあがるにはそれなりの数がいる。

ってことは「養殖」。

シーラカンスの養殖が成功すれば,
えらいこっちゃでぇ。

たとえば・・・・

中国産うなぎに圧され気味の浜名湖で,
シーラカンスの養殖が成功する。

そーして,
12月の22日にはシーラカンスを食する習慣にする。

シーラカンスって食用に適さないと言われてるらしいけど,
わさび醤油付ければなんとかイケるかもしれん。

日本人の魚好きを舐めてもらっちゃ困る。

日本の食文化なら,シーラカンスを料理してくれる!

そして日本人なら食ってくれる!

たぶん。

なんなら「シーラカンス料理コンテスト」を開けば,
料理の達人がなんとかしてくれるって。

ダメなら「シーラカンス・パイ」もあるしな。

とにかく食卓にあげることができたとしたら,
もーこっちのもん。

どこもかしこも「土用の丑」的にシーラカンスを食い始めるでぇ~。

アタラシ物好きなるわが国民性があるしな。

爆発的人気になるでぇ~。

えらいこっちゃ。



しのゼミからのどーでもいい提案その3) ブロンズウィーク計画

5月のゴールデンウィークに続いて,
9月の大型連休がシルバーウィークとして定着し始めてる。

っちゅーことは,
ブロンズやねん!

金・銀と来たからには,
次はオリンピックを持ち出すまでもなく銅になる。

っで,
適当なところと言えば,
ここの時期しかないねん。

ズバリ,
12月の終わり。

23日は天皇誕生日,
24日はクリスマスイブで,
25日はイエスさんの誕生日。

ちょっと宗教的な問題が絡むが,
話題性の大きいこの3連日が既に存在してる。

っで,
その前日の22日を「シーラカンス第一発見の日」,
20日を「シーラカンス第二発見の日」として祝日にすれば,
ブロンズウィークの完成やねん。

そーなれば・・・・

この時期の「シーラカンスに会おう~コモロ諸島の旅」が,
エライ人気になるでぇ~。

グアム・サイパン・ハワイを上回るかもしれん。

そーなれば「小諸(コモロ)市」が黙っちゃおらんでぇ~。

「シーラカンスの街宣言」してくるでぇ~。

えらいこっちゃ。



「ちょっとー,1って何これ~,1って」

「道徳やからええやんか」

「やからって何?やからって」

「どーでもええやん,うるさいなぁ」

「どーやって1なんか取るのか,教えて欲しいわ,この不道徳者!」

機嫌の悪いシノ妻が,長男いっ君と言い争っている。

この日は確か,いっ君の懇談会が中学校にてあったハズ。

また,何かをやらかしたか。



成績が超低空飛行するいっ君。

今回は,あろうことか道徳が10段階評価でなんと1。

ちなみに1の評価を頂くっちゅーことは,
ヒトとしての道および徳が出来上がっていて素晴らしいお子さんだこと!
・・・ってことではない。

その反対だ。

ヒトとして一番外れていて,
ヒトとして一番なってなくて,
ヒトとして一番不出来で,
ヒトとして一番ダメってことだ。

人間失格だ。

こんな不道徳な子に誰がしたんやねん?

中学校から,そう問われているようなもんだ。



とにかくふざけたり悪戯したりで,素行が問題のいっ君。

ヒトの眼を気にするタイプの母は,そんないっ君の落ち着きの無さが我慢ならない。

かなりのストレスを感じているようだ。

でも,まぁ元気ないよりは,ある方がええって。

元気良過ぎるくらいやないと,あかへんって。

道徳の評価なんて,意味あらへんって。

そう言い続ける父だが,さすがに少し動揺する。

1はないやろ・・・って思う。

せめて2くらいにしとかんと・・・って思う。

フツーに目立たなくしてたら,4くらいになるんちゃう?・・・っとも思う。

まぁ,1も可愛げがあってええかもしれん。

そーしとこ。



外勤先の病院検査部で。

乳腺外科医のハニーさんが,検査技師さんと看護師さんに捕まって,忘年会に誘われているのが聞こえる。

この日の仕事がはけた夕方から,この病院の職員有志による忘年会が予定されている。

しかし,どうやら出席者が予約人数に足りないらしい。

―― ねぇ先生,来て下さいよ~,と看護士さん。

―― 先生が来てくれないと,始まらないじゃねいですか,と技師さん。

―― 若手ばかりで,気兼ね無いですよ,全然。

―― そーそー,だってあたしがこのメンバーでは最年長かもしれんもんね。

―― 最年長がS50生まれだからね。

―― それ,言わんといて,年バレるやないの。

―― 多くが20代でピッチピチやんね。

―― 夕ごはん食べると思って・・・ね?。

―― そーそー,ちょっと食べて途中で抜けてもいいですから。

―― 楽しいですよ,○○さんも,△△クンも来るし。

―― 先生が来なくちゃ盛り上がらないんですよ。

―― そーですよ,先生あっての乳腺外科なんですからね。

―― 乳腺外科代表として,ここはひとつ参加してもらわないと。

―― ホントお願いしますよ。

かなり熱心な勧誘だ。

忘年会幹事として,最後のお願いに参りました・・・といったところか?



それに対してハニーさんは,冷静且つ沈着に誘いをかわしている。

―― イヤ,あたしなんてもうトシだからさぁ,ダメだって。

―― 若い子にはついてけませんわ。

―― オバちゃんなんだからさ,とっととウチ帰んなきゃ。

―― やっぱさぁ,辞めとくは。

ちなみに,既婚のハニーさんは二人の子供を持つ。

当然ながら,腹を空かせた子供や旦那がウチで待っている。

なので,一刻も早く帰らなければならない。



幹事と母のベクトルが一致しなかった今回のケース。

自分だったらば,どうするだろう・・・そう想像してみる。

多分,けっこう簡単に折れて,忘年会に行くに違いない。

妻に電話の上,どーしても断れんし・・・スマン,とか何とか言って,誘われるままひょいひょいと参加するだろう。

そもそも飲み会は好きだし,これだけの良いこと並べられちゃ,まぁ行ってやろうか・・・となる。

煽てられたら木でも電信柱でも,それこそ富士山でも登るタイプだ,自分は。

でもそれって,うまく頼みこめば簡単になびく程度の意思しか持ち合わせていないようで,自分の弱さを見る思いがする。

一方で,あれだけのしつこい誘いに対して頑なにノーと言い続けたハニーさん。

どんなにおべっかやら耳障りの良いことを並べられても,ノーはノーだ。

そんなハニーさんに,母の強さを見た。