「君の名は。」の呪縛。映画「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」 | 忍之閻魔帳

忍之閻魔帳

ゲームと映画が好きなジジィの雑記帳(不定期)

打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?


▼Kindleセール拡大中

★Amazon Kindle【50%OFF】サイエンス・アイ新書10周年(〜8月17日)
★Amazon Kindle【50%OFF】ラノベ合本版キャンペーン(〜8月17日)
★Amazon Kindle【50%OFF】主婦と生活社フェア(〜8月17日)
★Amazon Kindle【50%ポイント還元】秋田書店キャンペーン(〜8月20日)
★Amazon Kindle【最大70%OFF】心を運ぶ名作フェア(〜8月23日)
★Amazon Kindle【50%ポイント還元】講談社ミステリーフェア(〜8月24日)



▼「君の名は。」の呪縛。
映画「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」



発売中■Book:「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか? (角川文庫)」
発売中■Book:「SWITCH Vol.35『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』」
08月31日発売■Book:「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか? 公式ビジュアルガイド」

「Love Letter」「スワロウテイル」「リリイ・シュシュのすべて」など、
繊細な映像と詩的な台詞で人の心のゆらぎ、
一瞬で消えてしまう美しさを切り取る岩井俊二監督の
初期の代表作をアニメ化した
「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」が今週末より公開。
もともとは「世にも奇妙な物語」から派生した
オムニバスドラマ「ifもしも」のスペシャルドラマとして
1993年に製作されたもので、実に24年を経ての復刻&アニメ化となる。
脚本は「モテキ」「バクマン。」の大根仁。
監督は「化物語」「魔法少女まどか☆マギカ」の新房昭之。
企画・プロデュースは「君の名は。」「怒り」「何者」の川村元気。
アニメーション製作はシャフト。
声のキャストは 広瀬すず、菅田将暉、宮野真守、松たか子など。



「君の名は。」が200億円を超えるメガヒットを記録したことで
日本のアニメーション映画に地殻変動が起きている。
若者の恋愛を軸にした「青春xファンタジー」が定番になりつつある中で
川村元気が目を付けたのが岩井俊二作品のアニメ化だったことは
自然の流れと言えるかも知れない。
新房昭之を監督に据えて、声のキャストが広瀬すずと菅田将暉と聞けば
ヒットは約束されたようなものだが、
残念ながらこの作品、アニメ化に成功しているとは言い難い。




発売中■Blu-ray:「時をかける少女」
発売中■Blu-ray:「時をかける少女」

【紹介記事】アニメ化で人気再燃するも、失われたモノも大きい「時をかける少女」

「君の名は。」の布石として存在しているのは
2006年に公開された細田守監督の「時をかける少女」であろうか。
1965年に発表された筒井康隆の原作の20年後を描くオリジナルストーリーで、
原田知世版に熱狂した私のような世代も巻き込みロングランヒットとなった。

「君の名は。」のバブルがまだ残っているうちに
「時をかける少女」と同じフォーマットでアニメ版を製作したまではいい。
しかし本作はアニメ版「時をかける少女」のように
実写版と完全に切り離すことが極めて難しい。
というのも、オリジナルそのままのカットや台詞が
アニメーションになってあちこちで再現されているのである。
序盤から中盤までは熱烈な原作愛をアピールしておきながら、
アニメ版で追加された後半のエピソードは完全な蛇足であり
オリジナルの余韻をことごとく破壊してしまう。

大林宣彦作品のエッセンスを残しつつ、洗練された映像と音楽で
新時代到来を予感させた実写版の初々しさはなくなり
御都合主義のタイムリープと投げっぱなしのエンディングで唖然としてしまった。
脚本の大根仁は「モテキ」「バクマン」までは良い仕事をしていたのに
放送中の「ハロー張りネズミ」といい
次回作の「奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール」といい
どうも最近ピントがズレて来ている気がしてならない。
往年の名作を愛する大根らしいこだわりが、
本作ではただの説明不足にしかなっていない。
「分かる人だけニヤリとしてね」を、こんな作品でやられても困る。
時と場所を考えて欲しい。


発売中■Blu-ray:「なぞの転校生 Blu-ray BOX」
発売中■Blu-ray:「花とアリス殺人事件」
発売中■Blu-ray:「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか? 豪華版」

本作が参考にすべきは「花とアリス殺人事件」であり、
岩井俊二が脚本とプロデュースを務めた「なぞの転校生」だったはずだ。
「花とアリス」から「花とアリス殺人事件」への流れを知っていれば
こんな誰も得をしない改変(改悪)などしなかったように思う。
「君の名は。」が動のSFだったのだから
「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」は正反対の静のSFとして、
「なぞの転校生」のように、作中に吹く風や水面のきらめきを大切にした
美しい作品にして欲しかった。

原作ファンには薦め辛いし、予備知識なしのアニメファンには敷居が高い。
「君の名は。」を観た人が「次の1本」に選ぶには荷が重過ぎる。
岩井俊二はこの出来映えに何を想っているのだろう。

映画「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」は18日より公開。




発売中■CD+DVD:「打上花火 Amazon限定ver.+DAOKOフォト付き」
発売中■CD+DVD:「打上花火 / DAOKO」
発売中■CD:「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか? OST」



劇中音楽はどれも高水準で文句なし。
ただし広瀬すずの歌う「瑠璃色の地球」だけは却下。
素のままでは「マイティアCL」レベルだったのかも知れないが
オートチューンを使い過ぎてほとんどボーカロイドのような
人工的なボーカルになって何とも気色悪い。
無理矢理歌わせなくて良かったのでは。




発売中■Blu-ray:「君の名は。スペシャル版 3枚組 Amazon限定特典付き」
発売中■Blu-ray:「君の名は。スペシャル版」
発売中■Blu-ray:「君の名は。 4K Ultra HD 5枚組 Amazon限定特典付き」
発売中■Blu-ray:「君の名は。4K Ultra HD 5枚組」
発売中■Blu-ray:「君の名は。スタンダード版 Amazon限定特典付き」
発売中■Blu-ray:「君の名は。スタンダード版」