ディズニーも安心のマーベルヒーロー。映画「ドクター・ストレンジ」 | 忍之閻魔帳

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ドクター・ストレンジ


▼ディズニーも安心のマーベルヒーロー。映画「ドクター・ストレンジ」


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登場キャラクターが増加し続けているマーベル作品が
新たに送り込んできたのは何と医師。
事故で全てを失った元・天才外科医が
東洋の神秘を通して時間や空間を超越する能力を会得し、
悪を討つ正義のヒーロー『ドクター・ストレンジ』として活躍する。

主演は「イミテーション・ゲーム」「SHERLOCK」など
数々の話題作で主演を務めるベネディクト・カンバーバッチ。
共演はティルダ・スウィントン、レイチェル・マクアダムス、
キウェテル・イジョフォー、マッツ・ミケルセン。
歴史大作でも社会派のサスペンスでも撮れてしまいそうな個性派キャストだ。
監督は「エミリー・ローズ」の頃からずっと応援してきたスコット・デリクソン。

【紹介記事】一級の法廷サスペンス「エミリー・ローズ」
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【紹介記事】真実はどうでも良い人達。映画「デビルズ・ノット」

「フッテージ」「NY心霊捜査官」など、ホラーを中心に撮ってきたが
製作と脚本を務めた「デビルズ・ノット」では社会の闇を抉り出し、
ホラー以外でも通用することを証明した。
同じホラー出身でトントン拍子で出世していった
ジェームズ・ワンに比べると「エミリー」からほぼ10年は長かった。
それだけに、マーベルの大作を任せられるまでになったことが嬉しい。


上映中・「ドクター・ストレンジ」

医師だけに殺傷はしないという異色ヒーローのデビュー作。
ヒットメーカーであるマーベルを傘下にしたはいいものの、
性格の歪んだ金持ち(トニー・スターク)やら
腕っぷりだけが自慢の雷神(ソー)やら
事態収束のためなら手段を厭わない問題児も多いアベンジャーズを
苦々しく思っていた(かも知れない)ディズニーも、
殺生をしないヒーローならば安心だろう。
ディズニーの辞書に「殺す」はなく、あくまでも「こらしめる」なのだから。

ただしこの医師、性格は最低である。
知識やテクニックは超一流だが、その分自意識過剰で尊大、
己の名声を高めてくれそうな患者しか診ない。
そんなスティーヴンが事故に遭って医師としての未来を奪われたところで
観客の多くは彼を不憫には思わない。
本作は、人間として未熟なひとりの医師スティーヴンが
偉大なる師匠エンシェント・ワンと出会うことで生まれ変わり、
『ドクター・ストレンジ』として生きてゆくことを決意する”序章”。
ストーリーとしては、ただのガキ大将が父の座を受け継ぐに相応しい
ヒーローへと成長するまでを描いた「マイティ・ソー」の第1弾に近い。
マシンや武器を使用しない、ESPグループという意味でも
ソーとは近しい存在なので、「アベンジャーズ」の新作に参入する時は
ソーとのコンビでの活躍が期待出来そう。
(少しだけネタバレすると本作の本編終了後のおまけでもソーと共演している)

「インセプション」の進化版と言われる
ビジュアルインパクトはマーベル作品中でもトップクラス。
ただ2回目以降は慣れてしまい、ストーリーの粗が気になって来る。
一番の問題は、スティーヴン以外の登場人物の作り込みが甘いこと。
ロマンス担当のクリスティーン(レイチェル・マクアダムス)は
今後登場の機会も多かろうし、少しずつキャラも立ってくるだろうが、

・ストレンジを導くエンシェント・ワン(ティルダ・スウィントン)
・ストレンジの相棒となるモルド(キウェテル・イジョフォー)
・ダークサイドに堕ちた兄弟弟子のカエシリウス(マッツ・ミケルセン)

この3人についてはもう少し掘り下げて欲しかった。
エンシェント・ワンはどうやってあの地位についたのか、
モルドの心変わりも唐突過ぎてとって付けたように見えてしまうし、
カエシリウスに至ってはダークサイドに堕ちた理由も曖昧にしか語られない。
本作の肝はそれぞれの掲げる正義の激突にあるはずだが、
主張の背景がほとんど見えないために、
悪い言い方をすればワガママを言い合っている子供の喧嘩に見えてしまうのだ。
ティルダ、キウェテル、マッツは皆オスカーやカンヌで受賞歴のある
演技派ばかりなのだから、もっと奥深いストーリーにしなければ勿体ない。
2時間半かけても良いので、あと少しストーリーに厚みを持たせて欲しかった。

とはいえ、デビュー作でこれだけ面白ければ上々。
「キャプテン・アメリカ」も「マイティ・ソー」も
シリーズは2作目からが面白くなっているので
単独主演第2弾や、いよいよクランク・インした
「アベンジャーズ インフィニティ・ウォー」などを経て
ストレンジ人気はさらに上がっていくはず。
今後の活躍に期待したい。

映画「ドクター・ストレンジ」は現在公開中。




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