「KAKEXUN」クラウンドファンディングがスタート | 忍之閻魔帳

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▼「KAKEXUN」クラウンドファンディングがスタート

カケズン KAKEXUN 飯野賢治 飯田和敏

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故・飯野賢治氏が遺した企画を
「ディシプリン」の飯田和敏氏らが引き継いで形にしようという
新作ゲーム「KAKEXUN」のクラウドファンディングが20日よりスタートした。
当初の目標額は1,500万円だったのだが、本日のニコ生によると
第1弾として500万円を調達してゲーム画面を見せられるところまで作り、
第2弾としてさらに1,000万円を募る2段階方式に切り替えたとのこと。

以下、放送内容のまとめ。

・20日午前1時より受け付けを開始し
 現在(放送時)までの参加者は23名、金額は38万9千円
 放送終了後の21時30分現在は参加者26名、金額は43万5千円

・参加にはクレジットカードが必要だが、クレカ未所有者でも
 プリペイドカード(Visaの場合はVisaプリカ)などで参加可能

 *目標未達の場合に返金が難しいので不可の可能性が濃厚になったとのこと

・四則演算をベースに、種の誕生と滅亡を絡めたストーリーが展開
 クリーチャーなども登場

・参加は最低金額が500円、上限は100万円
 金額別の特典は以下の通り。



カケズン KAKEXUN 飯野賢治 飯田和敏
・チケット500円の特典
 コレクター限定アップデートの共有(新作情報)
 サイト上よりパスワードを使って専用サイトにログインする

・チケット3,000円の特典
 その1.クローズドBBSに招待
 その2.PC用壁紙
 その3.飯野人形、ローラ人形の3Dデータ(3Dプリンタで出力可能)
 その4.公式サイトに名前を掲載
 その5.オリジナルステッカー

・チケット10,000円の特典
 その6.開発専用のコミュニティへ招待
 その7.Wrp、Warp2、KAKEXUNのロゴが入った特製Tシャツ
 その8.KAKEXUN ゲームプレイ権(α版をプレイ可能)

・チケット13,000円の特典(80名限定)
 その9.飯野家結婚式の引き出物「夫婦マグカップ」セット(ユノミーゼロ)

・チケット30,000円の特典
 その10.KAKEXUN特別イベントにご招待
 その11.ゲーム内に登場(石版などに名前を表記)
 その12-1.KAKEXUNライブラリより関連本を1冊プレゼント

・チケット50,000円の特典
 その12-2.KAKEXUNライブラリより関連本を2冊プレゼント
 その13.あなたの想いをゲーム内に音声メッセージとして残せます
 その14-1.製作MTGに参加できます(1回)

・チケット100,000円の特典
 その12-3.KAKEXUNライブラリより関連本を3冊プレゼント
 その14-2.製作MTGに参加できます(2ヶ月に1回)
 その15.KAKEXUN設定資料集&ビジュアルの特製電子書籍
 その16-1.Warpメモリアル資料(まぼろしの企画『Mの魔』(仮)
 ローラの息子が剣を持って闘うシーンなどあり)

・チケット300,000円の特典
 その12-4.KAKEXUNライブラリより関連本を5冊プレゼント
 その14-3.製作MTGに参加できます(1ヶ月に1回)
 その16-2.豪華版・Warpメモリアル資料
 その17.ゲーム内のレベルアップ/ブースターアイテム

・チケット500,000円の特典
 その18.飯田和敏によるゲーム作りワークショップ開催(2日間)
 その19.あなたの写真からクリーチャーを造形し、命名権を与える

・チケット1,000,000円の特典
 その20.飯野賢治着用Versace(ヴェルサーチ)セット


クラウドファンディングの成否は、目指す作品の魅力はもちろん、
プロジェクトに携わる人間の本気度もかなり関わってくると思うのだが
今回に限っては、丑三つ時までダラダラと続いている宅飲みの様子を
中継しているような緩さ(お遊び感)が悪い方に作用したように思える。



印象的だったのが、取り急ぎ作ったというプロモ動画(↑)が公開された時。
そこに映し出されたのは「2×●=8」などの穴埋め式の数式。
「要は暗算だろ」「DSっぽい」といったコメントが相次ぐ中、
世界観の説明や暗算することの楽しさ、操作した時の気持ち良さを説明するも
「へりくつ」などの反論で一蹴されてしまい、落胆の空気を変えることのないまま
放送が終わってしまったと感じたのは私だけではあるまい。


発売中■3DS:「ものすごく脳を鍛える5分間の鬼トレーニング」

暗算が楽しいことは、初代「脳トレ」で衝撃を受けた私は良く知っているし
同じように感じたユーザーが多かったからこそ
「脳トレ」は社会現象を巻き起こすほどのヒットになったはず。
操作性の気持ち良さに関しても、「脳トレ」は手書き回答の心地良さを
快感と言って良いレベルで味わわせてくれるクオリティだった。

しかし、脳を使う楽しさや操作性の良さはそのままに
モードの充実と難易度の幅を持たせた続編の「鬼トレ」はヒットしなかった。
前作と比較して何一つ劣る点はなく、全ての面で文句なしの
パワーアップを施しているにも関わらず、である。

iOS 脳力+ 支払い技術検定 iOS Threes!
配信中■iOS:「脳力+ 支払い技術検定」
配信中■iOS:「Threes!」(ユニバーサル)

アプリに目を向けてみても、「美しい釣り銭の受け取り方」を
瞬時に判断する「支払い技術検定」には暗算の楽しさがたっぷり詰まっているし
簡単な計算&操作性の快感で言えば、現在もiOSアプリランキングの上位に
ランクインしている「Threes!」はその典型とも言える。
価格は「支払い技術検定」は無料、「Threes!」は200円。

「KAKEXUN」が従来の脳トレと違う魅力を持っているのかは、正直まだ分からない。
もちろん、そうなるべくで開発は続いていくのだろうし
飯田氏が「ちょっと気持ちいいだけの脳トレ」で終わらせない方であることは
これまでの作品からも明白だ。
しかし、スマホ界隈に溢れる良質の無料(または安価な)知育系アプリが
コンシューマーの知育ブームを駆逐した現在は
もう「newtonica」が受け入れられた時代とは違う。
スマホ向けであっても、相当にブラッシュアップされていなければヒットは難しい。
差別化の肝が世界観だと言われるのかも知れないが
気軽に遊ばせる快感重視のゲームならば
こってりした設定はかえって邪魔にもなりかねない。
キービジュアルに込められたバックストーリーの解説に時間をかければかけるほど
どこをターゲットにして売っていくつもりなのかが分からなくなってくる。

参加者への特典内容からして、対象者はかつて業界の風雲児と呼ばれていた
飯野氏率いるワープがゲーム業界を騒がせていた頃のファンだろう。
飯野氏が直接宅配してくれるおまけ付きの「エネミーゼロ スペシャルボックス」に
20万円の価値を見出したかつてのファンであれば、
(引き出物のマグカップまで出してくるのは、さすがに悪趣味過ぎるが)
遺品オークションとして5万10万あたりまでは出すかも知れない。
しかし、作品単体として見た場合「KAKEXUN」はまだ未知の要素が多過ぎて
クラウドファンディングへの参加を検討しているユーザーに
財布を開かせるのは現時点では難しいと言わざるを得ない。

利益還元のない出資を募るからには、せめてそこに「夢」を見せてくれなければ。

サイトには「2014月5月19日00:00までに目標に到達した場合のみ
ファンディングが実行されます。」
との記載がある。

では集まらなかった場合、飯野氏の残した「種」はどこへ行くのか。
金が集まらなかったから止めた、となるのか。
プロジェクトに携わる方々が不足分を出してでも形にするぐらいの気概があるのか。
500万には何とか到達したとして、+1000万が集まらなかった場合に
それまでに集めた資金はどうなるのか。
クラウドファンディングは目標額に達しなければ全額返済が基本だが
二段階に区切っているため、500万だけ集めてドロンもあり得るわけで
その辺の説明が一切ないのも気になる。

飯野氏の遺した企画があるから、それを形にしたい

でもどう考えたって売れそうにないよねコレ

ならクラウドファンディングで資金集めちゃう?

よーし、最高額の1500万で募集だ!

あれれ、思ったより反応薄いね。じゃあ500万からにするか

では困るのだ。
想い出作りをしたいなら自腹でやれば良いし
勝算ありと確信した企画ならば、もう少し真面目にやって欲しい。
飯野氏の一周忌にどうしても発表したかったからまだコンセプトが固まっていない旨の
発言もされていたが、命日に発表というセンチメンタルな感情を優先して
作品そのものの魅力を毀損しては元も子もないのでは。

飯田氏にはかつて「ディシプリン」のインタビューで
お世話になったので非常に心苦しいのだが
そういう意味で、本日のニコ生は私には少々不愉快だった。
ゲームを作るのだから、真面目一辺倒でやれとは言わない。
しかしユーザーから資金を募る以上は、酒場トークで終わってはいけない。

ちなみに、「KAKEXUN」が目標としている1,500万円は
達成すればクラウドファンディングとして最高額になる。
現時点の最高額は、美術品収集を趣味として暮らしている
老夫婦を追ったドキュメンタリー「ハーブ&ドロシー ふたりからの贈り物」。
当BLOGでも取り上げた素晴らしいドキュメンタリーの続編である。
アメリカから730名、日本から915名が参加を表明し
総額14,633,703円を集めて撮影、制作、配給、宣伝の全ての費用を賄った。
夫妻の人柄が充分に知れ渡った作品の続編でこの金額である。

「飯野氏の遺作」の一点突破でこれを超えるのはほぼ不可能。
作品そのものの魅力は全くの未知数。
残り2ヶ月をかけてどんな形でプロモーションしていくのかは不明だが
「飯野さんを偲ぶ会」の座興に集まるのはせいぜい数百万まででは。

当BLOGでは今後も成り行きを見守っていきたい。

カケズン KAKEXUN 飯野賢治 飯田和敏
・3月20日23時現在の参加人数は26人
・現在までに集まった金額は435,000円
・目標金額は5,000,000円
・残りは60日

3DO ショートワープ Short Warp

私の宝物のひとつ。シリアルは『3491/10000』