レゴの掲げる想像力讃歌。映画「LEGOムービー」 | 忍之閻魔帳

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▼レゴの掲げる想像力讃歌。映画「LEGOムービー」

海外での特大ヒットは追い風にならず。

「アナと雪の女王」が100億突破ペースで快進撃を続け
さらに春休みを狙った話題作が立て続けに公開された煽りをモロに受け
完全に空気と化しているのが「LEGO ムービー」。
公開規模に全く見合わない不入りに青ざめた劇場は
2週目にして上映回数を減らしたり小さな箱へと切り替えたりしているようだが
「LEGOムービー」は紛れもない良作であり、これほどの不入りになる作品ではない。

戦犯として考えられるのは、放送作家の鈴木おさむが監修を手掛けた
日本語吹き替え音声による予告編映像ではないかと思う。
絶対に取り入れてはいけない、数ヶ月で廃れる旬のギャグを
贅沢に盛り込んだおかげで絶妙なうすら寒さを醸し出していたあの予告編で
「これは止めておくか」と決めた方も多かろう。
ご安心を、本編には予告編で使われていたようなギャグは出てこない。
何故ワーナーはあのような自爆予告を製作したのか理解に苦しむ。

監督は「くもりときどきミートボール」のフィル・ロード&クリストファー・ミラー。
声の出演はクリス・プラット、ウィル・フェレル、エリザベス・バンクス、
ウィル・アーネット、リーアム・ニーソン、モーガン・フリーマンなど。
日本語吹き替え版は主人公・エメットの声を森川智之が務める他、
沢城みゆき、山寺宏一、矢島晶子、羽佐間道夫、玄田哲章など実力派揃い。
本編では吹き替えキャストが素晴らしい演技を披露しているのだが
予告編は別キャストな上に鈴木おさむの滑りっぱなしギャグで
ネガティブイメージしか植え付けないので、敢えて海外版を紹介しておく。



皆さんは子供の頃、レゴブロックをどのようにして遊んでいたか覚えているだろうか。
ひっくり返したバケツからこぼれ出したパーツをとりあえず繋げてみる。
形などどうでもいい、ひたすら繋げまくると、段々と何かに見えてくる。
そしてついに、何の変哲も無いブロックに命が宿る。
馬になったり、飛行機になったり、長時間かけて作った城を怪獣で壊したり、
パーツを作り、舞台を作り、そこにストーリーを付けて・・・
みんなそうやって、無限に広がる想像力を駆使しながら遊んではいたはずである。

大人になると、メジャー作品のセットを購入して
パッケージや見本の通りに作ることに喜びを感じ始める。
寸分のズレもない美しいフォルムや完璧に構築された世界に酔いしれる。
楽しみ方としては、どちらも正しい。
しかし大人になると、子供の頃のような想像力だけを頼りに
0から何かを造り出す作業からは遠ざかり、
己の生み出した世界を守るためにどんどん狭量になっていく。

映画「LEGOムービー」は、たくましい子供の想像力を絶賛しつつ
そこを通ってきたはずの大人にも「ねぇ、思い出してごらんよ」と語りかける。
子供は子供の目線で、大人は大人の目線でそれぞれに楽しめるよう作られている。
「子供の想像力を伸ばす玩具」として
「大人の自己満足を満たす装置」として
全世代に愛されるレゴブロックの商品コンセプトを
これほど完璧な形で映画にするためには
製作者によほどのレゴ愛が無ければ無理だったろう。

何故こんなにもキャラクターが早口でしゃべりっぱなしなのか。
何故こんなに”ガチャガチャ”しているのか。
序盤の展開や台詞運びを少々うるさく感じていた私は
遠い昔にごっこ遊びをしていた頃の自分の姿を思い出し合点がいった。

そうだ、ごっこ遊びとはごちゃごちゃしているものだった、と。

ブロックで作った怪獣や正義のヒーローを手に持ち、
ストーリーや掛け合いまで全て自作していたあの頃を。
「エメット」だった私は、いつから「おしごと大王」になっていたのか。
そう気付かされた時、映画の中でも大きな変化が起こる。
レゴブロックだけで作られた世界に、突然実写がなだれ込んでくる。
これはある意味禁じ手なのだが、レゴと実写が混ざり合う終盤の展開によって
物語は大感動のエンディングへと着地するのである。
ウィル・フェレルがキャスティングされている意味が最後の最後で分かった。

まいった、これはやられた。

子供は1,500万個ものブロックで構築された壮大なレゴの世界に大歓喜、
大人は名作へのオマージュにニヤリとし、まさかのエンディングにホロリとくる。
動員数は天と地ほども差が出てしまったが
完成度で言えば「アナと雪の女王」とも互角以上の出来映えである。
3D版にこだわる必要はなし、2Dでも充分。
娘と行くなら「アナ」でもいいが、息子と行くなら絶対に「レゴ」を選ぶべし。

映画「LEGOムービー」は現在公開中。

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
  タイトル:LEGOムービー
    配給:ワーナー
   公開日:2014年3月21日
    監督:フィル・ロード&クリストファー・ミラー
   出演者:ウィル・フェレル、クリス・プラット、他
 公式サイト:http://wwws.warnerbros.co.jp/lego/
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★


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