ジュニアサッカーメモリーズ~憧れのMF10 -5ページ目

10番との出会い 第3話

走りながら学校に向かう亮と稔の眼に、背の高い小学生の後姿が映った。

二人はその小学生に追いつくと、大きな声で挨拶をした。


「仁君、おはよう!」


背の高い小学生は、少し驚いた表情で振り向くと、亮と稔だということに気づき、笑顔で応えてくれた。


「オス!亮、稔。元気がいいな」


大石仁(じん)。

洋光小学校に通う6年生だ。

洋光イレブンのキャプテンでセンターハーフ、そしてもちろん10番を背負っている、みんなの憧れの先輩だ。


「仁君、決勝観ましたか?」


亮が話すよりも先に、稔が大きな声で問いかけた。


「おう。もちろんだ!」


「やっぱり」


「お前らも観たのか?」


仁を真中に挟む形で、3人は歩きながら話した。


「はい。もちろん!」


二人は、ハモりながら答えた。


「ははは。ガキは早く寝るもんだぞ」


「そんなこと言ったって~」


大人びた話し方をする仁の言葉に、戸惑い、返す言葉を探している稔の横から、亮が話しかけた。


「仁君、オレたちでワールドカップ、優勝しようよ」


「優勝?」


「そう。日本代表になって、優勝しようよ」


「ははは・・・。優勝か・・・。そうだな」


少しだけ呆れた表情で仁が答えると、今度は負けじと稔が話しかけた。


「仁君、ワールドカップに出るためには、どうしたらいいの?」


「ワールドカップに出る?」


「そうだよ。出たいんだよ!」


仁は、遠くを見つめながら考えた後、諭すように話し始めた。


「そうだな・・・。まずは日本代表にならなくちゃだめだな。でもな、日本は一度もワールドカップに出場してないんだぞ。だから、もっともっと練習して、上手くならなくちゃいけないんだ。上手くなって、強くなって、洋光イレブンが日本一になったら出れるかもな。」


亮と稔は、歩きながら話す仁の横顔をまじまじと見たあと、その視線を互いの顔に移した。


「稔、日本一だってよ」


「おう!日本一だな」


「でも仁君、どうやったら日本で一番になれるの?」


亮は真剣な表情で、仁に問いかけた。


「さぁな。オレにもわからねぇや。」


「ええ?仁君も知らないの?」


「知らねぇよ。でも、勝ち続ければ、いつかは日本一になれるだろうよ」


「そっか~。日本一か・・・。」


「稔、オレらも日本一になろうぜ!」


「そうだな!」


「頼もしいね~。4年坊は・・・。」


仁は真剣な表情の亮と稔の顔を交互に覗き込み、最後にこう言った。


「まぁ、頑張れや!」


「うん!わかった!!仁君、じゃあね!!」


二人はそう言うと、仁を残して再び全力で走り出した。


 朝から元気なやつらだ。


仁は半ばあきれながらも、深夜のワールドカップを観ていたという二人を嬉しく感じた。

二人の後姿が、徐々に小さくなっていくのを見つめながら、学校へと歩を速めた。

「稔、放課後サッカーやろうぜ!!」


「そうだな。オレたちでワールドカップに出ようぜ!!」


「ああ」


校門をくぐると、そこには眩しい朝陽に照らされている見慣れたグランドがあった。

あまりの眩しさに一瞬目をつむった亮の瞼の裏には、熱狂するリバープレート・スタジアムの白い紙吹雪の映像がよみがえってきた。



  第4話 に続く・・・


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